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第34話 必要な投資

二人とも偶々マジックアイテムが売っている、知る人ぞ知る名店に訪れていた。


「何かお買い物?」


「……一応な」


そう言いながら視線を向ける方向には……魔法を内蔵した武器、魔砲剣などがズラリと並んでいた。


(……クソたけぇ)


魔砲剣には複数の攻撃魔法、回復魔法や補助魔法が内蔵されており、使い切っていまうとボロボロに崩れてしまう。


魔力の量が多く、魔力操作の技術が優れていたとしても、根本的な才能がなければ習得不可能。

それが魔法スキル。


そんな魔法を戦闘者ではなく、一般人でも使えるのが魔砲剣。

形は剣以外にも短剣、槍や斧タイプのものもある。


「もしかして、魔砲剣を買うつもり?」


「ハードメタルリザードと戦うんだろ。万が一って考えじゃ温い。前金として金貨五十枚を貰ってるんだ。あんたもファナって魔法使いに頼るだけじゃなくて、魔砲剣の

一つや二つぐらい持っといた方が良いんじゃねぇか」


「……ふふ、君は見た目より優しいんだね」


「はっ? ……意味わからん。勝手に言ってろ」


あまり良い笑みを向けられるとムラムラゲージが溜まってしまうため、近寄らないでしほしい。


(この女、自分の見た目を理解してんのか? ったく、いきなりキラースマイルを向けてくんなっての)


心の中で文句? を吐きつつも、ギールの眼は真剣に飾られている魔砲剣を見ている。


(……チッ! たけぇけど買っておくか)


店員に声をかけ、ギールは一本の魔砲剣を購入。


「毎度、金貨二十五枚だよ」


「はぁ~~~……バカたけぇな」


心にしまうことなく口に出しながらも、きっちり金貨二十五枚を支払う。


購入した魔砲剣に内蔵された攻撃魔法はライトニングランス×三回分。

一発、約金貨八枚の攻撃。

前金の半分が消し飛ぶ金額だが、必要経費だと思い、我慢。


「ねぇ、少し訊いても良いかな」


「手短にしてくれ」


「ん~~、それじゃ先に一つ買っておかないと失礼だね」


ギールに言われた通り、ガルネはハードメタルリザード戦でも使えそうな魔砲剣を自腹で購入。


ギールの前に戻り、ナリッシュへの態度に関して質問。


「なんで、私たちのリーダーに対して不満な態度なのかな。あっ、別に責めるつもりはないんだ。ただ、単純に疑問に思ってね」


「……まっ、そりゃそう思うか」


ナリッシュに対してだけ、態度があからさまに違う。

そういった態度を取ってしまっていると、本人も解っていた。


「…………個人的な問題だ」


「それは、ナリッシュが悪い事をしたのかな」


個人的な問題、という答えだけでは引き下がらない。


「そうだな。あいつにはその気が一欠片もないだろうが、あいつが悪い」


大多数……ではなく、あの時ナリッシュは間違いなくタレンだけを貶した。

それは間違いなく、一瞬にしてギール(タレン)のメンタルを瀕死状態まで追い込んだ。


「そ、そっか。もしかして、過去にナリッシュと会ったことがあるのかな」


「どうだろうな。そこまで答える義理はない。じゃあな」


「あっ、ちょ。どうせなら喫茶店でつづ……あぁ~、フラれちゃったな」


喫茶店で続きでもと誘う前に、ギールはガルネの前から速足で消え去った。


(あの表情……多分、というか絶対に嘘はついてない。過去に会ったか否かをはぐらかしたのは気になるけど、ナリッシュが悪いってのは嘘じゃないだろうね)


その辺はナリッシュ本人に思い出してもらうしかないと判断。



(クソが、何でスキルと魔力が使用禁止なんだよ……スキルは奪えたから良いけどよ)


ここ数日、Cランクモンスターと遭遇することが度々あったが、オルディ・パイプライブを発動すると、必ずと言って良い程縛り内容にスキルと魔力の使用がNGとなる。


グラトニーアント、ロックセンチピードと言った巨大昆虫との戦闘時……五人で攻めているとはいえ、スキルや魔力が使えないとなると、いつも以上に頭を使って戦わなければならない。


それはそれで疲れるため、やや疲労が溜まっていた。

しかし、疲労の甲斐あって珍しく……絶対に人が習得出来ないスキル、蟲甲殻をゲット。

そして欲しかった属性では無いものの、念願の魔法スキル……土魔法を奪うことに成功した。


(……つか、本当にハードメタルリザードはいるのか? 最近ようやくそれらしい足跡を発見したけ、ど……ッ!?)


僅かな足音が聞こえた瞬間、即座に嗅覚強化を発動。


(似てる!!!!)


基本的には別の匂い。

しかし僅かな共通点を察したギールは、即座にナリッシュたちへ強敵の接近を伝えた。


「ッ!! ギルドからの報告通りの見た目ね」


「はっはっは!! 燃えてくるじゃねぇか!!!」


「ナディア、あまり前に出過ぎないでね」


「そうそう。私の仕事は奪わないようにしてね」


「お前ら暢気だな」


一般的なドラゴンより体が小さい四つ足のドラゴン擬き、リザードよりも数倍以上の体格を持ち、背中にはいくつもの結晶が付いている。


(この圧……同じBランクなだけあって、フレイムドラゴンそっくりだな!!!!)


乗り越えたとはいえ、偶々奇跡が重なっただけのスーパーウルトラミラクル。

狙って二度起こせる偶然はない。


(縛りは、スキルの使用が三つまでか……今までと比べたら有難い内容、って思うのはおかしいのかもな!!!!)


ハードメタルリザードがナリッシュに爪撃をぶちかまそうとするが、それを読んでいたガルネが間に入り、大盾でギリギリガードに成功。


それが火蓋を切るやり取りとなり、命懸けのバトルがスタート。


ギールは三つ目の内、一目のスキルは速攻で身体強化に決断。

身体強化と魔力を纏うことによる強化によって、ようやくある程度余裕をもって動ける。


基本的にナリッシュとナディアが前衛として攻撃に専念。

タンクであるガルネが上手く攻撃をガード、受け流す間に獲物をぶち込む。


前衛でもギールはヒットアンドアウェイに専念し、戦場をちょろちょろと動き回り、ハードメタルリザードのイラつかせるのがメインの仕事。

そして後方で待機しているファナは準備が整うと、氷魔法か風魔法の攻撃魔法を戦況に応じて使い分けてぶっ放す。


(クソがっ!!! ダメージが入ってるのか分かり辛いな!!!!)


攻撃担当の前衛、ギールも含めて三人の攻撃により、ハードメタルリザードは確かに血を流している。

ただ……既に戦闘が始まってから数分が経過しているが、依然としてパフォーマンスが落ちない。


(ブレスのショートバージョンを放つとか、器用な真似するな!!!)


ハードメタルリザード的に危険人物であるファナは所々で狙われ、その度に丸盾を装備して弾くギール。


冒険者たちもスタミナには自信があるとはいえ、このままではハードメタルリザード有利に戦況が進むのは明らかだった。

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