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第33話 思い出せる?

「それじゃ、早速行こうか」


翌日、予定していた時間に両者とも遅れることなく集合。


普段はナリッシュがリーダーとして助っ人であるギールに対応するのだが……先日の一件もあって、表情から不機嫌さが完全には消えていない。


(私たちが走る速度に全く遅れない……本当に彼はDランクなのかな)


アルブ鉱山に到着するまでの道中、ガルネたちはパーティー内で一番脚が遅いファナに速度を合わせて移動。


ファリエが主導となってハードメタルリザードを探し、討伐するということもあり、ギールの速度やスタミナを無視しての移動は、一種の篩でもあった。


(もうそろそろアルブ鉱山に到着するけど、表情に疲れは一切ない……というか、ファナの方が疲れてるね)


道中、森に生息するモンスターとの戦闘を避けるために、いつもより速い速度で移動していたこともあり、到着後は一旦立ち止まって息を整える。


「おっ、ファリエの奴らじゃねぇか」


「はぁ~~、相変わらず綺麗どころが揃ってる、な……おい、ちょ待て。あの野郎は誰だ」


「ッ!!!??? あのファリエが、わけ解からねぇ野郎と一緒に行動してる!?」


周囲の騒ぐ同業者たちに対して「わけ解からねぇ野郎」という言葉に関しては、四人とも同感だった。


「ファナ、もう大丈夫かな」


「うん。大丈夫」


大事な後衛職の息が整い、本格的にハードメタルリザードの捜索、討伐が開始。


鉱山内でもなるべく他のモンスターとの戦闘は避けるが、どうしても空間的に避ければ面倒になる戦闘もある。


「シルバーゴーレムっ! 皆戦るよ!!」


ギールとしても、シルバーゴーレムとの戦闘は好都合。


(……おいおい、マジか。マジかよ、ふざけんなよ)


Cランクモンスターとの戦闘ということもあり、いつも通りオルディ・パイプライブを発動。


その結果、縛りの内容はスキルと魔力の使用禁止、であった。


(あれか、俺一人じゃないからか……クソ。しょうがないか)


縛りの内容はスキルと魔力の使用禁止だけではなく、戦闘が終わるまで攻撃を十回与える。

もしくは止めを刺さなければ、報酬である硬化のスキルが奪えない。


(ちっ、仕方ねぇ)


後でファリエに……特にナリッシュからグチグチ言われたくないため、切り札の一つである短剣を抜いた。


シルバーゴーレムの体はそこら辺の短剣で斬り裂けるほど脆くはなく、逆に斬るではなく壊すことに優れたハンマーなどで攻撃しても、破壊出来るどころか壊れることもある。


(なんなのあの短剣……絶対にDランクの冒険者が持てる武器じゃないでしょ!!)


世の中にはランクに縛られない強さを持つ者がいる。

それは先日の一件で頭が冷え、そういった者たちがいることを認めた。


しかし……いくらランク以上の腕があったとしても、稼げなければ優れた武器や防具は買えない。


「ふっ!!」


ギールが振るう火を纏う短剣は弾かれることなくシルバーゴーレムの体を斬り裂き、確実にダメージを与えていた。


(これで十回。それなりに仕事はしたし、後は……あいつらに任せても良いだろう)


硬化を手に入れる為のミッションは終了。

それ以降、適当にシルバーゴーレムの気を引きながら戦闘に参加。


数分後には無事に討伐が完了し、硬化のスキルを奪うことに成功。


(ソロで活動してるみたいだけど、全然パーティーで戦うことに不慣れじゃない……というか、寧ろ慣れてる?)


装備の質からして、まずDランクなのかと疑いたい。

そしてソロで活動しているにも関わらず、初めて一緒に戦うファリエたちの動きにしっかりを合わせ、攻撃も仕掛けられる。


(ん~~~……彼が彼女であれば、今すぐにでも勧誘したいね)


裏リーダーを務めるガルネは非常にギールを高く評価していた。


他三人も大なり小なりではあるが、初めて臨時パーティーを組む謎の青年の実力を評価。



「ギルドへの報告も終わったし、吞みにいこうか」


「俺は遠慮する。じゃあな」


本日の仕事を終えてドーバングへ帰還。

報告や買取を終わらせ、ガルネはギールも一緒にという意味を込めて誘った


「……な、なんなのよあいつは!!!」


しかし、そんなガルネの誘いをあっさり断り、ギールはフラフラと人波に消えた。


「あれじゃねぇか? ナリッシュの第一印象が最悪だったからじゃねぇか?」


「理由としては、それが一番大きいと思う」


「うっ」


鳩尾に鉄拳を食らったような表情を浮かべ、過去の愚行を思い出す。


「そうだねぇ……確かに、ナリッシュの第一印象は良くなかったと思う」


「はぐっ!?」


二発目のボディを食らい、もはや瀕死状態。


「でも、個人的な勘なんだけど……それだけじゃない気がするんだよね」


「そうなのか?」


「だって、彼がこう……敵意? を向けてたのはナリッシュだけであって、私たちには普通の態度だった」


「そうだな。特に不機嫌な感じじゃなかったのは確かだ」


「……ギール君は、過去にナリッシュと何かあった、ということ?」


パーティーの賢者であるファナの言葉に、ガルネはその通りと頷く。


「そうでなければ、ずっとナリッシュに対して不機嫌な状態が説明できないんだよね……と言う訳で、ナリッシュ。頑張って思い出して彼に謝ってね」


「えっ!!?? ちょ、なんでまた謝らなきゃいけないのよ!」


「今日一緒に探索して思ったけど、彼の戦力は本当に貴重だよ。正直、私たちだけでハードメタルリザードを倒すとなると、戦力が足りない」


自分たちだけでは倒せないと口にするガルネだが、できれば自分たちだけで倒したいという熱い闘志は持っている。


「という訳で頼んだよ!!!」


「うっ……と、とりあえず思い出しはするよ!」


必死にギールという青年と過去に出会ったことがあるのか? という事に関して思い出そうとするが……当然、今のギールはタレンではないため、どれだけ思い出そうとしても思い出せるわけがなく、数日間が経過。


数日間の間に数回Cランクモンスターと遭遇することはあったが、結局一度もハードメタルリザードの足跡すら発見出来ず、捜査は難航。


連日捜査で溜まった疲れを解消するために、翌日は休息日に指定。


「あら、どうも」


「……どうも」


そんな休日に、ギールとガルネは偶々……本当に偶々とある店で遭遇した。

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