表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/68

第25話 餌をあげないタイプ?

(こりゃ、集中しないと駄目だな)


三回目のエリオと一緒の狩りも無事に終了。


久しぶりに飛び抜けたイケメンに超絶嫉妬した二日後、一応目的に当てはまるモンスター……Cランクモンスター、リザードマンと遭遇。


「シャァァアアアアッ!!!」


(一体だけなのは、運が良いな!!!)


既にオルディ・パイプライブは発動済み。

使用スキルは三つまでという縛り。

討伐時に奪えるスキルは、剣技。


剣技スキルは既に習得しているが、同じスキルを奪うことにより、練度が加算される。


(クソっ!! 剣技だけだは、やっぱり俺より上だな!!!)


身体強化、剣技の二つを使用しながらリザードマンとの激闘に応じる。


ギールには魔力というスキルに縛られない武器があるが、Cランクモンスターになると、魔力を体や武器に纏うことが出来る。


「シャァアアアアッ!!!」


「嘗めんなっ!!!!」


どこかで拾ったロングソードによる斬撃に対し、ギールも負けじと剛剣で対応。


(ちっ! 刃はボロボロだが、もしかしなくても質は向こうの方が上か?)


鍔迫り合いは引き分けで終わり、再び火花散る激闘が再開。


「おわっ!?」


剣技スキル、昇波は下から斬り上げることによって、一部に衝撃を集中しつつも、全体的に下から衝撃を与える。


現在のギールが所有する剣技の練度では、まだ発動不可能な技。


(この感じ……オーガより上、じゃないか?)


フレイムドラゴンを除けば、ギール史上ソロで戦ったモンスターの中で、総合的な実力は一番……かもしれない。


かといって、ギールはこの状況を捨てるほど日和ってはおらず、宙で回転しながらギリギリ昇波を回避し、ロングソード同士の戦いから逃げずに立ち向かう。


(はぁ、はぁ、クソっ!! 普段使わなくても、一本ぐらい、上等な剣を買っとけば、良かったな!!!)


生まれ変わったことによってスタミナも向上しているが、リザードマンとの戦闘は物凄く神経を削り……戦闘時間以上にスタミナをごりごりに削っていた。


「シャッ!!!!」


「っぶね!!!!」


貫通力が強化された突き、撃突をギリギリのところで回避。

服が敗れはしたが、皮に掠った程度。ダメージはない。


(このままじゃ、ジリ貧か!!!)


再び鍔迫り合いになった……その瞬間、三つ目のスキルを解放。


「シャッァアアアッ!!!!????」


ここぞというタイミングで、切り札の一つであるブレスを発動。


ギールを鍔迫り合いで潰すことしか頭になく、完全に虚を突かれて顔面を焼かれた。

魔力などに耐性を持つ鱗を有しているが、完璧な不意打ちは見事に視界を塞ぎ、好機が生まれる。


顔の無事を確認するために手が顔の方に向けられた瞬間、ギールは素早く突きを喉元に放つ。


「ジャ、ァ……ァ」


剣先が首の骨ごと貫き、その命を絶った。


「ったはーーーーーー、はぁ、はぁ、はぁ……はぁ~~~」


苦しい緊張感から一気に解放され、地面に腰を下ろす。

嗅覚感知で周囲には同業者やモンスターがいないことは確認済み。


(フレイムドラゴンとの戦いでも、何度も死を予感したけど……使う者が刃物だからか、こいつとの戦闘は何度も予感させられたな)


全体的にギールより大きく、魔力を纏う技術も有している。

加えて、剣技の腕に関しては圧倒的に戦い慣れている。


(まっ、それなりに成長出来た気がするから、良いんだけどな)


読みの深まり、オルディ・パイプライブによる剣技の吸収。

リザードマンの剣技を奪った事で、ギールは基本技であるスラッシュ以外にも、昇波と撃突が使用可能になった。


(……でも、剣技の腕に関してはあれだな、せいぜいレオルがDランクの最後の方か、Cランクになった時ぐらいか)


何年も傍に居たからこそ、親友の剣技がどれだけ他者と比べて優れているかが解る。


元は同じスキルを手に入れたからこそ、数歩前に進めても……よりその距離を強く感じる。

とはいえ、その距離に打ちひしがれていたところで、その差が縮まる訳ではない。


(とりあえず、解体しないとな。肉は……今のうちに食べてるか)


解体後、いつもの様にアイテムバッグに入らないであろう肉は、なるべくその場で食べつくした。



数日後、四回目のエリオと一緒の狩りで、二人は巨大な岩の塊と遭遇。


「うわっ、ゴーレムか」


「珍しいな」


基本的に鉱山や山の外に出てくることはない、巨大で防御力が高いモンスター。


ランクはDと、二人で戦うのであれば、そこまで恐れるランクのモンスターではない。

ただ、その堅さはランクCに届く。


(チっ! 前より身体能力は上がって腕力もあるんだから、ハンマー……は

場所を取るか。メイスでも買ってれば良かったな)


スピードはDランクの中でも遅いため、二人の攻撃は全て当たるが……どの攻撃も中々致命打にはならない。


「エリオ、魔石の位置は分かるか!」


「あぁ、問題無い」


「頼んだぞ!!!」


身体強化と腕力強化、プラス魔力を纏うことによる強化を重ね合わせる。


懐に潜り込んだギールは両掌をゴーレムの腹に押し当て、後方へ勢い良く押し飛ばした。


「はっ!!!」


直後、吹っ飛んで体勢を大きく崩したゴーレムに向かって、数本の十本近いウィンドアローが放たれる。


放たれた風矢はとある一点に集中し……体内の魔石が露出。


「よっ! っと」


再び軽やかなステップでゴーレムの極太両腕による攻撃を避け、魔石を無理矢理掴み取る。


モンスターの第二の命でもある魔石を奪われては、たとえ頭を破壊されても動き続けるゴーレムであっても、機能停止は避けられない。


「ナイス加減だな」


「当たり前だ……しかし、お前は良くあの剛腕の間を潜り抜けようと思えるな」


「恐ろしいとは思ってる。ただ、一応持ち味は速さだからな。活かさないと勿体ないだろ」


オーガの猛攻に比べたら、ゴーレムの剛腕は速さが足りない。

一定の恐怖は感じれど、ギールからすれば立ちすくむほどの恐怖ではなかった。


「そういえば、あれからアミラとは何かあったのか?」


「いや、何も」


「んだよ……魚を釣っても餌はやらないタイプか?」


「…………何を良いたいかは解るが、そもそも釣った覚えがない」


意識せずともモテるイケメンの否定に、ギールは思わず唾を吐いて悪態を突きたくなった。


(それはそれで質が悪いってやつだと思うぞ、エリオ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ