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第24話 喋ったら……解るよな?

場所を変え、二人は夕食もあるカフェへ移動。


「その、偶々エリオ君と一緒に森で活動してるのを見て、親しい仲なのかなと思って声をかけました」


「……正直、仲が良いかは解からない。でも、最近一緒に行動してるのは確かだ」


嘘ではない。

これまでに二回ほど一緒に森へ入り、狩りを行った。


とはいえ、友人かと尋ねられれば、速攻でノーと答える。


「そ、そうなんですね。あの、それなら……エリオ君の好みのタイプとか、教えてくれませんか」


(うわぁ~~~……メスの顔してんな~~~)


なんだかんだでここまでエリオのクールイケメンフェイスに対し、そこまで大きな嫉妬心や劣等感を抱いては来なかった。


しかし、目の前の現状を見せられては……先日の模擬戦で、あの顔面偏差値七十のご尊顔に一発ぶち込んでおけば良かったと思ってしまう。


「異性のタイプだろ?」


「はい、そうです」


そういった話題に関しては話したことがない。


だが、大前提として必要な要素だけは解っていた。


(どうせエリオがこの子に……アミラに興味持つことなんてないだろうし、どうせなら……って、駄目だ。さすがにそれは駄目だ)


中々にゲスい交渉内容が頭に浮かんでしまい、煩悩を消すために自身の顔面を殴った。


「っ!!??」


突然の奇行に、当然アミラは驚く。


「あいつの威勢のタイプだよな……あいつは多分、容姿云々はそこまで関係無いと思うんだよ」


「っ……お、同じハーフエルフか、もしくはエルフ以外には興味がない、とかないですよね」


「多分な。んで、そういう事情よりもエリオが優先するのは、自分の隣に立てるだけの強さを持ってるか否かだ」


「っ!!」


アミラのランクはDであり、エリオと同じではあるが……が、客観的に総合的な実力は及ばない。


「戦闘スタイルは軽戦士だろ。それなら、まずは絶対に接近戦での実力はエリオを上回らないとスタートラインに立てない」


「うっ、やっぱりそう、ですよね」


剣技のスキルを有しているアミラだが、以前見たことがあるエリオの接近戦に驚愕。

一度も本気で模擬戦を行ったことなどはないが、接近戦であれば絶対に勝てると断言出来ない。


「技術的な話は、先輩に聞くのが一番だろう。後は……あれだ、そもそもそういうのは話しかけないことには始まらねぇ」


ギール……タレンの場合は、相手が同じパーティーメンバーだったこともあり、そこで勇気を振り絞る必要はなかった。


ただ、今までそういった後輩の相談に乗ってきたことは何度もあるため、まず肝心な行動は何なのか解っていた。



(はぁ~~、エリオの奴……羨まし過ぎるぜ)


カフェでの食事が終わり、アミラは改めてギールに頭を下げ、その後は何事もなく解散。


(ネイさんみたいな美人が傍にいるから、アミラみたいな良い女が意識を向けていても、気付かねぇのか?)


心の声を口に出すことはなかったが、それでも明らかに不満げな表情が顔に浮かぶ。

今までの冒険者人生で、一度も本当のモテ期が来たことがないギールにとって、異性からそういった相談を受けることが……よっぽどきてしまう。


(……あ~~~~、ダメだ!!! 行こう!! 金はあるんだ、惜しむことはない!!!!)


ムラムラする気持ちを発散するため、そのまま宿に戻ることはなく……夜の街へ足を運んだ。



「なぁ、ギール」


「なんだ?」


「ギールは……恋人とか、いたことあるのか」


「っ!!!???」


アミラから相談を受けた七日後、予想だにしていなかった内容を耳にし、ギールは例えではなく……本当にその場で固まってしまった。


「おい、俺の話を聞いてるのか」


「あ、おう……勿論、聞いてるぞ」


しっかり耳に入っており、内容も理解している。

理解しているが……会話のキャッチボール中、いきなり変化球を投げられてボールが股間に当たった感覚なため、いつも通りの対応が出来なかった。


「残念ながら、今までに恋人はいたことないよ」


「そうか……なら、過去に気になる異性とかいたのか」


予想外の会話は一瞬で終わることはなく、しっかりと恋バナとして続いた。


「あぁ、いたよ。まっ、全部叶わぬ恋だったけどな」


「そう、なのか?」


「なにをそんなに不思議そうな顔してるんだよ」


「不思議に思ってるんだ。当然だろう」


「……そうか」


これまた予想外の評価を受け……決して異性からではなく野郎からの評価ではあるが、僅かに口角が上がるぐらいの嬉しさを感じた。


「ところで、俺にそんな質問をするってことは、ここ最近異性となんらかの接触があったのか?」


「アミラという冒険者に、一緒に狩りに行かないかと声をかけられた」


「へぇ~~~……で、断ったのか?」


「あぁ、一人の方が良いと断った」


(だろうな、この金玉カピカピハーフエルフ)


理性は残っているため、思っても決して暴言は口に出さない。


「だが、そしたら今より強くなって、また誘いますと言われた」


「それはそれは、根性がある女性冒険者だな」


恋心を持っているころは知っていたが、色んな意味で根性を持っているのだと知り、ギールの中で少し評価が上がった。


「そういった態度を取る冒険者は初めてだった……」


「人生で初めて、少し気になる存在となったわけか」


「あまり詳しくは解からないが、そういうことなのだろうな」


生意気な態度は相変わらず。

しかし、その頬はほんのりと赤くなっているのを、ギールは見逃さなかった。


「お前は、俺よりそういうことに関して詳しそうだと思って相談した」


「詳しいというか、一応それなりに経験はあるが……あまり期待するなよ」


ギールはエリオのため、ということで今後冒険者として旅をするのであれば、あまり一人の人間に固執しない方が良いと伝えた。


ギールとしては遊ぶ楽しさも伝えたいという気持ちがあったが、エリオがそういうタイプではないと解っているため、色んな意味で失敗しない心構えなどを……そこまで恋愛経験を積んでいないにもかかわらず、一丁前に伝えた。


因みに恋バナ終了時、エリオは「この話を父と母に伝えたら、全力で殺す」と、本気の殺意を放ちながらギールに忠告した。

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