①
※画像はイメージです。
SE:ジングルベルが鳴り響く。
素直:わあ、おっきなツリー。
笑顔:本当だね。きれーい。
素直:あ、ねえ笑顔笑顔。クリスマス限定のケーキ味のたい焼きだって!買わない?
笑顔:もう素直。私達はケーキを買いに駅前まで来たんでしょう?それに夕飯が食べられなくなっちゃう。だからダーメ。
素直:えー。たい焼き……。
笑顔:ほっぺ膨らましてもダメなものはダメ。早く帰るよ。モキュちゃんもお家で待ってるし。
素直:あ!ねえ笑顔、あれっ。
笑顔:ん?どうしたの?
素直:あそこの噴水の縁に座ってる人って。
笑顔:え?なに……って、サンタさん!?
素直:本物かな。
笑顔:真っ白なおヒゲに赤い服。これはサンタさんに間違いなし。
素直:でも何かちょっと落ち込んでるみたい。ちょっと話しかけてみようよ。
笑顔:うん。
サンタ:はぁ。
素直:あの!サンタさん、ですか?
サンタ:おや?君たちは。
素直:私達ケーキ買いに来たんです。そしたらあなたの事を見かけて。
サンタ:ほーほっほ。そうかそうか。ああ、私はサンタクロースだよ。
笑顔:やっぱり本物のサンタさんだ!
素直:あの、何か悩んでいませんか?
サンタ:はは、ありがとう気にかけてくれて。サンタにだって悩みはあるのさ。
笑顔:私達で良かったら力になります!
サンタ:ありがとう。優しいね。だけど気にしないでくれ。君達はクリスマスの街を楽しんでおいで。
素直:困ってる人が近くにいるのに放っておけません。
サンタ:とりあえず、隣に座るかい?
素直、笑顔:失礼します!
素直:あ、その写真の子可愛いですね。私達より少し下の子かな。
サンタ:この子は私の……すまないさっきは嘘をついた。私は本物のサンタじゃないんだよ。ただの雇われサンタだ。子供の夢を壊してすまない。
笑顔:ううん、子供の夢を想う人は皆サンタさんになれるから、おじさんは立派なサンタさん。
サンタ:君達は本当に優しい。この子は私の息子でね。今年で5歳になる。妻に顔がそっくりで全然私に似ていないんだ。だが本当に良い子でね。なのに私は、クリスマスだというの最愛の息子にプレゼントをやる事も会うことも出来ない。
素直:どうして?
サンタ:大人には色々と事情があるのだよ。だがクリスマスに一度だけ奇跡が起きるのならば、あの子の為に最後に父親らしい事をしてやりたい。
笑顔:ねえ素直。
素直:うん、あの!私達と一緒にその子に会いに行きませんか?
サンタ:えっ?いや、だが、会いに行っても迷惑になるだけだ。それに私には父親の資格なんてない。
笑顔:そんな事ない。あなたが私達に息子さんの事を話す時、すごく愛の音が溢れていた。
素直:あっ閃いた。
サンタ:ん?
素直:お父さんとしてじゃなくて、サンタさんとして会えばいいんだよ。
サンタ:何だって!?
笑顔:素直ナイスアイデア!サンタさんならバレないし、一度顔見に行くだけなら大丈夫だよ。
サンタ:しかし…。
笑顔:ほらそうと決まったら早く早く!
サンタ:ちょ、ちょっと待っとくれ!
◎サンタさんの自宅
素直:あそこがサンタさんの家?
笑顔:あ、写真の子。
サンタ:健太…。
サンタ:やっぱり駄目だ。会いに行くなんて無理だ。どうせあの子も私の顔なんて見たくないに決まっている。
笑顔:勇気を出して。私達もついてるから。
素直:そうだよ。それに今はサンタさんの格好だし、きっと大丈夫。
素直:あ、お母さんが外に出て行ったよ。
笑顔:買い物かな?サンタさんチャンス。
サンタ:よし分かった。勇気を出して行ってくる。
素直:頑張って!
笑顔:私達はここで見守ってる。
サンタ:よし、(深呼吸をして)
SE:インターホンを鳴らす
健太(息子):はーい、誰ですか?
サンタ:ほーっほっほ。ワシはサンタクロース。ここにいい子がいるって聞いたんだが本当かな?
健太:サンタクロース?本物?
サンタ:ああ、本当だとも。君は健太君だろう?
健太:えっ、何で僕の名前を知ってるの?