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第87話 エンジンの開発

 戦争が早く終わらないかな。

 最近、負の魔力の分布が朧気ながら分かるようになってきた。

 ピピデでは激減したが減るのは止まっている。

 ピピデの浄化は完了していると見て良い。


 ヒースレイでは激減。

 こちらも減るのは止まっている。

 浄化はほぼ完了していると見て良いだろう。


 サバルでは激増。

 エリーズでは増。

 デュラ国では微増。


 世界全体ではまだまだ増える傾向だ。


 戦後の事を考える。


「なに、ややこしい顔をしてんねん」

「ステイニーか。戦争が終わった後の事を考えてた」

「まだ、戦争は終わってない。そんな考えでは足をすくわれるで」

「そうだけど。ヒースレイは農業国。ピピデは畜産。サバルは何があるのかなと」

「鉄製品を作らしたら、ええのちゃう」


 うーん、なんか違うんだよな。

 工業と公害は切っても離せない。

 公害が起きると負の魔力も増えるんだろうな。

 要は二酸化炭素の削減みたいな物だ。

 太陽光発電みたいなクリーンな物が求められる。

 おまけに皆が笑顔になるような物が欲しい。


 平和になったら、草刈り機や管理機やトラクターなどを作りたいと前に考えた。

 これは良い考えだろう。

 荒れ地が農地に変われば清浄な魔力も増える。

 まずはこの線を攻めてみるか。


 職人を訪ねた。


「エンジンを作りたい」

「はぁ。それって何です?」

「筒の中で爆発させると筒の中の物が動くよな」

「銃も同じ仕組みですよね」

「それでだ。その力を回転に変換する。とりあえず図を描いてみた」


 描いてきた図面を広げた。


「なるほど。これは面白い」

「出来るかな?」

「作れると思うが、回転数を制御する機構が難しいな」


「魔法陣では限界があるか」

「3段階ぐらいは出来そうですが、それならこのギアですかこれを使った方が早い」

「滑らかに回転数を上げるのが難しいのか」

「やってみないと、なんともですね」


 試作品を作って貰える事になった。

 一週間後。

 出来たというので見に行く。


 魔法で動くエンジンは地球のエンジンと同じような音を立てて回っていた。

 まあできるよな。

 キャブレターが要らないし。

 電子制御も要らない。

 ピストンリングもぴったりしてなくても何とか使える。

 プラグや冷却装置も要らないからな。

 こんな単純な構造なら地球の小学生にも作れる。


「速さの調節は無理ですね」

「要は爆発の間隔と威力を制御するって事だよな」


 魔法陣の専門家ではないので答えが出ない。

 珍しい事をやっているので大精霊達が寄ってきた。


「面白い鳴き声の魔道具ですの」

「振動してるしなんか卑猥やな」

「ばか、何っ言ってるの。慎みを持ちなさい。慎みを」

「むっ、火の気配」


「エリザドラは仕組みが分かるのか?」

「分かる。爆発で動かしている」


「これを使えば耕す事が出来そうですね。精霊達にライバルが出来て張りがでそうです」

「うむ、不思議な魔道具だ。回転し続けるとは。応用は効きそうだ」

「この空気の吐き出しに香りを混ぜたら如何かしら。いい匂いを吐き出す魔道具なんて素敵ですわ」

「うるさいのはちょっと。子供のそばでは使わないようにして下さい」

「超不思議。爆発が何で回転になるの」


 大精霊達は思い思いの言葉を口にして雑談を始めた。


 エーヴリンが水魔法でも同じ事が出来ると言い始めた。

 そりゃやれば出来るかも。


 ステイニーは風魔法でも出来ると言った。

 俺が考えるに効率が違うだろ。

 実際に爆発の魔法陣が取り外され、エーヴリンがウォーターコントロールでピストンを動かす。

 確かに動くな。

 調子に乗ったエーヴリンは回転数を上げた。


「壊れてしまいましたの」

「でかしたエーヴリン。解決の道筋が見えた」


 なんだ、なんでこんな簡単な事に気づかなかったんだ。

 精霊が制御すれば良いんだ。


「エリザドラ、眷属の火精霊を呼んでくれ」

「良いけど、仕事させるなら褒美も用意しないと」

「褒美は何が良いんだ?」

「炎か、清浄な魔力ね」

「エンジンにはどっちもあるよ」


 呼ばれた精霊に説明する事にした。


「この棒の長さで爆発の威力と間隔を制御するんだ。できる」

「できるー」


 幼稚園児ぐらいの精霊がエンジンにとりついて消えた。

 さあやるぞ。

 エンジンを始動してアクセル代わりの棒を操作する。

 エンジンの回転数が上がった。

 精霊制御のエンジンなんて我ながら大発明だ。

 これなら兵器転用されない。

 兵器になったら精霊がへそを曲げるからな。

 エリザドラには頑張って眷属を沢山作ってもらおう。


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