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農家な俺は大農園ならぬ大悩艶~召喚されてチートなのは俺ではなく野菜の苗だった~  作者: 喰寝丸太


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第77話 家電

 フライパンと食器は順調に売れている。

 ポテチとカップ麺もだ。

 ついでにぼったくりの電卓もだ。


「サバル国に止めを刺すか」


 俺は呟いた。


「恐ろしい事を言うな」


 ランドルフに若干引かれた。


「俺としては謝ってもらいたいだけなんだ。そして、神器を手放してくれたらもっと良い」

「貿易だけで事を成すのは、高望みだな。実力行使する以外に方法はないだろう」


「なんでサバル国は国境を閉鎖しないんだ」

「無理だな。一国だけを締め出しても、他国経由で商品は入ってくる。全ての国の国境を閉じるなど自殺行為だ」


「関税をかけたらいいじゃないか」

「知らないのか。税は掛かっているぞ。だが、抜け道がある。貴族は関税が掛からないのだ」


「じゃあ、商人が貴族の御用達になれば」

「ああ、無税だな。だが、貴族は商人から毟り取る。それが言ってみれば税だ」


「それじゃ、関税を2倍になどできないな」

「そうだな。貴族が喜ぶだけだ」


 よし、商品を開発しよう。

 手始めにドライヤー、ミキサー、照明、洗濯機、コンロ、掃除機、エアコンだな。


「魔法陣を書けば容易いが、魔力はどうする?」


 ランドルフにそう聞かれた。


「それを解決したんだ。じゃじゃーん、ホームセンターの木材」

「それをどうするのだ」


「電卓を売って気がついた。電池を売る商売はぼろい。ぼったくれる」

「なるほど清浄な魔力が詰まった木片を電池にしようというのだな」

「そうそう」


「本体はなんで作る?」

「ホームセンターで銅板が安く手に入る。これで作ろう。魔法を使えば加工は容易いだろう」

「そうだな」


 俺とランドルフとで魔道具を作り上げた。


Side:サバル国の国民


 俺はある商会に勤めている使用人だ。

 特別に大した仕事はしてない。

 帳簿をつけたり、商品の説明をしたりの毎日だ。


 ある日、俺はある日上司に呼び出された。


「最近、ピピデの国からカデンという商品が入ってきているのを知っているか」

「いいえ、知りません。すいません不勉強で」


「いや、いい。それらを集めたから、使用した感想が欲しい」

「分かりました」


 いくつかの魔道具を家に持って帰る。

 この洗濯機というのはでかいな。

 荷車に載ったから良いが、家のどこに置こう。

 説明書を読む。

 排水が出ますとある。

 じゃ、家の裏だな。


 俺は洗濯機を家の裏に置いた。

 その姿は銅製の大きい寸胴鍋だ。

 なになに、デンチをセットして下さいだと。


 説明書に従って、木片を本体にセットする。


 衣服を洗濯槽に入れ、起動の魔法陣に魔力を流す。

 水が生成され洗濯槽の衣服が水魔法のウォーターコントロールで水洗いされる。

 洗剤を入れるとなお良いとある。


 洗いが終わり、排水される。

 うわ、汚い水だな。

 洗剤無しでもかなり洗える。

 すすぎに入った。

 綺麗な水で洗って仕上げか。


 洗濯が終わり、ドライの魔法がかけられ乾いた。

 便利だ。

 何もしなくても洗濯が終わってしまった。

 こんなの売れない訳がない。


 やばいぞ。

 もう、洗濯のたらいなんかは売れない。

 特に富裕層は買わないだろう。

 物の価値が変わる。


 今度は恐る恐る掃除機を試す。

 風の魔法で掃除機の吸い込み口からゴミが吸い込まれる。

 これも便利だ。


「あなた、今日は早いのね」

「ああ、商品のテストを頼まれた」

「あら、掃除をしてくれる魔道具なのね。素晴らしいわ。でも高いんでしょう」


「ええと、説明書に書いてあるな。『魔道具カデンは基本レンタルです。デンチはお買い求め下さい。買い取りは要相談』とある。うちで使えない額じゃないな」

「契約しましょうよ」

「そうだな」


 カデンとは不思議な名前だ。

 流行っているデンタクと共通する文字がある。

 何か関係があるのかも知れない。


 それにシゲル神の名前が彫ってある。


 俺はデンチを定期的に買う生活になった。

 だが、後悔はない。

 家事が早く済むおかげで、余暇に仕事や勉強が出来るからだ。


 今日は新製品の食器洗い機をレンタルしてきた。

 これも便利そうだ。

 汚れた食器をセットするだけで綺麗にしてくれるらしい。


 女房は既にシゲル神の信者だ。

 感謝の祈りを奉げている。

 最近出回っているシゲル神の経典によると、シゲル神は植物の神らしい。

 ほう、ならば趣味で家庭菜園でも始めるとするか。


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