表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/111

第40話 俺が王様?

「俺が使節と謁見? なんでそんな話に」

「相手がドラゴンスレイヤーをご指名だからだよ」

「それじゃしょうがないな。神器も持って来てくれているみたいだし。ご苦労様の一言も言わないと礼を失するか」


 俺はひときわ豪奢なテントで使節を迎えた。


「ヒースレイ国の使節です」

「遠路はるばるご苦労様。ろくなおもてなしは出来ないけど、旅の疲れを癒してほしい」

「こちらが神器になります」


 片膝をついて差し出された厳重に布で巻かれたその物体は杖だった。

 巻かれた布の隙間から赤黒い怨念みたいな物が立ち上っている。

 触りたくないんだけど、俺が受け取らないと駄目なようだ。

 仕方ない。

 俺は覚悟を決めて受け取った。

 手から負の魔力が流れ込んでくる。

 急いで清浄な魔力でそれを抑え込んだ。

 持っている手からバチバチと火花が散る。

 助けて大精霊。

 いつの間にか大精霊八人が俺の周りに居て神器に手を置いていた。


 光と火花が散り、段々と赤黒い怨念が小さくなっていき、しまいには綺麗に無くなった。

 終わったのかな。

 巻いてある布をほどくと白銀の杖が姿を現した。


「よくやった」


 女神の声が聞こえると杖は光になって昇天して行った。


「魔力は要らないから、褒美を下さい。地球と行き来できるスキルが良いです」

「それは駄目だ」

「なら、給料アップを」

「よかろう。給料を倍にしてやろう。嘘をつく訳にもいかないから、レベルも上げるぞ」

「あざっす。ステータス・オープン」


――――――――――――――――

名前:シゲル・リョクテ

魔力:9564/19787


スキル:

 サケタの種

 国家園

 名前ジェネレータ

 言語理解

 絶倫

 賢者タイム

 レベルアップ

 エイヨーN2

 エネメス

残金:

 1,680円

 次の給与まで21日

――――――――――――――――


 よし、1万の魔力アップだ。

 使節を見るとぽかんと口を開けていた。

 驚いたのか。

 何に驚いたのだろう。

 杖の浄化か。

 それとも女神の声か。


 まあ、いいや。


「ええと、下がっていいよ」

「ははっ」


 今日は使節の人間と夕飯だ。

 今から気が重い。


 夕時になり晩餐会が開かれる。

 メニューはカツカレーだ。

 もてなす時の定番になりつつある。


「この、カツカレーというのはピピデの宮廷料理ですかな」

「いえ、母国の料理です。ですじゃなかっただよ」


 偉そうにしとけってランドルフに言われたっけ。

 偉そうってのが分からないからタメ口でいいか。


「とても美味しい料理で料理人を引き抜きたいぐらいです」

「それは許可できないな」


 許可するも何も通販スキルで出した物だからな。


「母国はどちらでしょう」

「ニホンだよ」

「失礼ですがどこにあるのでしょう」

「極東にある島国だ」

「さぞかし、良い所なのでしょう」

「自然豊かな四季折々なところが外国人にも人気だと思った」

「なるほど。それは一度行ってみたいですな」

「機会があればね」


 機会なんてないけどね。


「奥方様はいらっしゃらないのですか」


 晩餐会に誰が出るかでもめたんだよ。

 それで誰も出ない事になった。

 変に思われないかランドルフに聞いたら、従えるつもりなら無礼なぐらいで良いと言われた。


「八人いるよ」

「それは剛毅ですな。王族でも三人ぐらいが一般的ですからな」

「縁があって結婚した。自慢の嫁だ」

「愛妻家でいらっしゃると。今度アクセサリーなど贈らせて頂きます」


「お構いなく」

「そうですか」


 あれ何か間違えたかな。

 もしかして、贈り物を拒否するのは失礼にあたるのか。


「やっぱり、遠慮なくもらっておく。故郷の習慣で、高価な物を貰う時は一度断るって教わったもので」

「習慣の違いは難しいですな。外交ではそれでたまに失敗もおきます」

「そうだよな。はははは」


 笑って誤魔化しちゃえ。


「ところで、戦争派の屋敷を叩き潰した攻撃は陛下が」

「あれね。秘密になっているのでノーコメント」


「ドラゴンスレイヤーになった時の武勇伝など聞きたいものですな」

「それがね。偶然なんだよ。偶然、猛毒をドラゴンの口に投げ入れたんだ。それは今飲んでいるお茶だよ」

「ぶほっ、これは失礼を」

「俺も驚いたんだよ。いつも飲んでいるお茶がドラゴンにとって猛毒なんて。でも他のドラゴンには効かないそうだよ」

「それは残念ですな」


 なんとなく微妙な雰囲気で晩餐会は終わった。

 これで良かったのかね。

 ランドルフを見るとニコニコとしてたから問題ないんだろう。

 使節は朝早く逃げるように去って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 返信ありがとうございます。 女神、自分の思惑ありでそれを主人公に言わない…つまり筋を通してないから…評価マイナス百!
[良い点] 明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。 [気になる点] 女神は一応約束は守るようですね、あまり多くは語らないようですがね。今のところ私の女神への評価は…約束を守っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ