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第11話 肉を食べる

 今日の朝食は塩茹(しおゆ)でしたジャガイモにナスとゴーヤと鷹の爪の炒め物。

 それときゅうりの浅漬けだ。

 デザートはリンゴ。


 このところ同じメニューだ。

 野菜はともかく肉は増やせない。

 大精霊達は文句を言わずに食べているが、なんとかしてやりたい。


「ステータス・オープン」

――――――――――――――――

名前:シゲル・リョクテ

魔力:0/0


スキル:

 サケタの種

 国家園

 名前ジェネレータ

 言語理解

 絶倫

 賢者タイム

残金:

 183,740円

 次の給与まで21日

――――――――――――――――


 はぁ、給料日まで21日もある。


「しんきくさい顔をせんと。ほな、気分転換にいこか」

「そうだな。約束だったな」


 ステイニーと手を繋いで湖まで散歩する。

 荒野は相変わらず殺風景だな。

 湖に着くと大亀が周りの草を()んでいる。


「大亀、聖域の雑草が酷いんだ。お前友達とか、連れてきてくれないか」


 大亀が(うなず)く。

 雑草問題はなんとかなりそうだ。


「大亀はんとばかり話さんといて。うちだけをみてえな」

「悪かったよ」


 俺はほっぺをつんと突いた。


「お返しや」


 俺は両手でほっぺたをひっぱられた。


「いひゃい、いひゃい。降参だよ」


 そのあとお返しに柔らかい物を揉みほぐし堪能してしまった。

 そこからの【賢者モード】オフのコンボ。

 致してしまった。

 その目的で来ているのだからいいのだけれど。


  ◆◆◆


 聖域に帰るとキャロリアが精霊を集めて何やらやっている。


「空気の入っていない土は死んだ土です。一生懸命耕しましょう」

「ジャガ」


 精霊達が一斉に(うなず)く。


「ではお仕事に行って下さい」

「キャロリア、無理してないか。このところ毎日眷属を作っているじゃないか」

「土壌の魔力汚染は深刻です。早く対処しないと」

「焦る事はないよ。ゆっくりやれば良い。土作りは時間がかかるんだ。俺の隣家の内藤さんが畑を借りたんだが、土が死んでいる畑でな。カチカチの地面でミミズどころかゴミ虫さえ一匹もいやしない。結局まともに作物がとれるまで五年かかったと言ってたよ」

「私も五年を目標にします」

「そうしろよ」


「同じ作物ばかり植えていると取れ高が下がるのはなぜですか?」

「作物によって好物が異なるんだ。人間も好きなものは一杯たべて苦手なものは残すだろ。それと同じ事が起こる。連作障害というんだ」

「好物だけが減ってしまうという訳ですね」

「だから、作物を変えて植える。ただし、植物の科が同じだと不味い」

「好物が一緒だからですね」

「そうだ」


「私の好物はあなたです。私が独占すると連作障害が起きる?」

「いや起きないだろうけど、修羅場(しゅらば)になるな」

「なるほど。それとマンネリになりますよね。取れ高が減るじゃないですか」

「その辺は色々とやりようが。なんなら試してみるか」


 【賢者モード】オフ。

 新たな開拓をしてしまった。


  ◆◆◆


 草取りをしていると、大亀がやって来た。

 首で聖域の外を指し示すので、行くと仲間が大勢。

 大亀だけじゃない鹿や馬や牛の魔獣も居る。

 肉だ。

 待望の肉だと思ってしまった。

 俺の視線に何か感じたのか威嚇を始める草食魔獣達。


 俺はきゅうりを投げてやった。

 光に包まれ浄化される魔獣。


 魔獣達は聖域に入り雑草を食べ始めた。


「野菜は絶対に食うんじゃないぞ」


 分かってくれているようだ。

 こいつら賢いな。

 肉にして食おうなどと考えた俺を許してくれ

 肉を調達出来るのは何時の日か。


 肉、肉、肉ぅ。

 いかん禁断症状が。


 けちけちするのは辞めよう。

 和牛一キロ4,980円を五キロ買ってしまった。

 ナスとゴーヤと鷹の爪の炒めものだが、今日は和牛様が入っている。

 野菜炒めからほとばしる香りも今日は違う。


 ジュースも買って、さあ宴会するぞ。

 久しぶりの肉。

 うまーい。舌でとろける。

 そして圧倒的な肉汁。

 ジャガイモと一緒に食べても美味しい。


「おいひいですの」

「こういうの待ってたんや。もっとはよう出せや」

「今日も完敗ですわ」

「美味しい」

「夢のようです」

「記憶にもこんな美味い肉はないな」


 そりゃそうだろう。

 和牛だぞ。霜降りだぞ。

 異世界にそんな肉はないだろう。

 あるなら持って来いってんだ。


 そして宴会は大艶回に。

 お肉、大変に美味しゅうございました。


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