表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

輪廻転生してでも邪竜と呼ばれる君を愛する為に俺は呪いを掛けた。

作者: 日森

異種婚っていいよね!

Twitterとかで異種同時の結婚系のイラストを見てると無性に書きたくなりました。

 ある岩山の洞窟にて、血濡れた洞窟内で腹から血を流す一人の男と溢れ出す血を押さえ付けて血を流さまいとする頭に黒いツノを生やした一人女が嘆いていた。


 俺は最低だ…彼女を泣かせまいと言った矢先に彼女を泣かせてしまった。


 『妾を一人にしないと言ったでは無いか■■■!………御願いだ。もう一人にしないと言ってくれたではないか!■■■!』


 彼女が泣いているのに、俺は彼女の涙を拭ってあげたいのに腕に力が出ない。


 『御願いだ、孤独は嫌なんだ! ■■■と出会ってから妾は沢山の初めてを教えてくれた■■■を失うなど嫌だ!』


 わかっているよ…彼女は初めて出会った時から彼女は孤独になろうと俺を避けていた。いや、彼女は置いて行かれる事を恐れて、人を避けていたんだ…。 

 だから、俺は無理矢理に彼女から離れなかった。そして君は打ち明けてくれた。『置いて行かれるのが怖い』と、聞いた時は俺は『俺は君を一人にしないと言った』でも俺の考えは甘かった。


 『御願いだ!神よ!■■■を私から奪わないでくれ! 死なさないでくれ! 頼む!妾は…妾はもう■■■を失ったら…妾はもうこれ以上の孤独に耐えられるわけが無い!』


 彼女は俺の腹から溢れ出す血を必死に押さえ付けらが溢れ出す血は一向に止まらない。

 駄目だ…彼女を一人にしたく無いのに意識が薄れていく…彼女が何をしたって言うんだ。彼女だって一人の女であって誰かが支えてあげないと消えてしまいそうな彼女を一人になんて出来ないんだ。


 『■■■…嫌だ! 死ぬな!妾を一人にするのか!妾と約束を破るのか!? いつもみたいに妾が知らない事を教えてくれ…もっと笑うというのを教えてくれ! ■■■!!』


 ポタポタと彼女の瞳から落ちる雨の様な涙に打たれながら俺は必死に意識を保とうとするが身体は一向に言う事を聞いてくれずに身体から力が一方的に失われるだけだった。


 『■■■…■■■!■■■!!』


 彼女は俺の名前を呼び続ける。俺は必死に彼女を泣かせ無い為に動かない身体と頭を考える。

 そして、彼女に一度だけ話した童話を思い出し、片腕だけがゆっくりと彼女の顔に触れる事が出来た。

 俺は彼女の顔を触れた瞬間に出せた言葉はこうだった。


 『ヒューヒュー…あぁ、良かったまだ、君の瞳から溢れる涙を拭え…て…』

 『■■■!』


 違うよな…俺が彼女に言いたい言葉はこれじゃあ無い。彼女を安心させる言葉だ…これ以上彼女の泣き顔を見たいじゃあ無い。彼女が笑顔をもう一度を見たいけど多分それは叶わないだろう…。


 『ヒュー…よく聞いて…くれ、■■■…俺は…もう長く……無い』

 『止めよ! こんな時に冗談を言わないでくれ、■■■!』

 『…でも…ずっと前に話した童話の……輪廻…転生をして……君に逢いに……行く…』

 『嫌だ!妾は今を生きる■■■が好きなんだ!だから…だから『フフ…』!?』

 『君から…先に好きを……言われるなんて…情けないな……俺…』


 あーあ…先に言われてしまうとは…一人と男として、情けない。 本当なら今日ここで彼女に告白するつもりだったのに彼女を敵視する者達に襲われてピンチになった彼女を守った矢先にこんな事になるなんてな……情けない。


 『■■■! 情けなくない! 今ならまだ、言えるだろ! 言ってくれ妾に! 好きと言ってくれ!』

 

 言ってあげたいが…今の彼女に言ってしまえばさらなる悲しみを植え付けてしまう。だから、俺は彼女にこう言った。


 『いや…まだ、君に好きは言えない』

 『ッ!? なんでだ! 妾を好きなん――』


 俺はそっと指を彼女の唇を添えながら話しを続ける。


 『今…言えば……君は…俺と…再会するまで……深い…深い悲しみの日々をあけ…くれる……俺は…好きな……子には…泣いて欲しくない…そんな日々を…送って欲しく…無い』


 そう…だから、今から言う言葉は最初で最後の最低な行為だ。 

 輪廻転生が仮に出来たとしても彼女は俺を怒るだろう…でもこれしか、無いんだ。


 『輪廻転生が…もし出来て……君に逢えたときの出たしの言葉に……したいんだ』

 

 そう―これは今の俺が出来る精一杯の彼女への呪い()の言葉…。


 『ッ今では、駄目なのか?』

 『うん…今度は…俺から……いわ…せ…て…くれる…?』


 最低だ…本当に俺は最低な男だ。叶うかもわからない輪廻転生という名の願いに俺はかけた上に彼女にまで呪いをかけてしまった。


 『…例え、■■■が輪廻転生とやらで、復活したとしても…妾は見分けが付くかわからないのだぞ?』

 『…じゃあ……竜の姿で…待っていてくれ……再会の…時に…『好きの言葉』…と……この岩山に咲かない花で作った…花冠を君…の…頭の上に……のけるよ……それまで…は…ま……っ…いて……』

 『っ!!■■■!■■■!!――!!!』


 あぁ…ごめん…聞こえないや……■■■…どうか、俺が…逢いに……行くまで……待っていてくれ……。


 男の手は力が抜け、滑り落ちようとするが女がそれを阻止しようと手を自身の頬に当てたまま涙を流す。


 男は深い眠りについた。血濡れた洞窟内に一人の女の泣き叫ぶ声が響き渡るが彼女を涙を止めてくれる者は一向に現れる事は無くなった。

 その日、女の泣き叫ぶ声は山から響き渡るが、のちにその声は消え、山から黒い竜が空を舞い上がり、雄叫び声を上げると岩山の何処かの洞窟内へ入っていった。


 山近くに住むに人々は黒い竜を邪竜と呼び、恐れる日々を送る事となり、何度も何度もその邪竜を滅そうとする戦士、騎士団が動くも誰もが返り討ちに合い、帰って来るものは誰もいなかった。

 

 何年、何十年、何百年と邪竜はその岩山から離れる事は無かった。


 

 叶うのかさえわからない願いをした男との約束を守る為に黒い竜は傷だらけになった身体を見ながら呟く。


 「のう…■■■。妾は後何年待てばいいのだ? 待つにしろ…妾はすっかり、ボロボロの傷だらけになってしまった。 これでは人の姿に傷だらけの姿になってしまう…そんな妾を綺麗と言ってくれるか?…■■■よ……妾は早く逢いたい」


 妾は■■■をずっと待っているが一向に来てくれない…願いがきっと叶わなかったのだろう…。

 もう、妾はこれ以上は待つ事が出ない…年が経つにつれて、■■■の記憶がボヤけていく事が辛い…出会って時からの記憶も共に笑った記憶も好きになってしまった記憶も全部消えそうになっている。これは長命種の解けない呪縛とも言えるだろう…。

 もし、記憶が全て無くなってしまった時は妾はただの化け物でしか、無くなってしまう…。例え、■■■がここに戻って来て約束の言葉をかけてくれても記憶を無くした妾はそれを忘れて攻撃して、殺してしまうだろう。そんなの嫌だ…好きな人を殺したく無い。だが、その時が来た時には、妾を襲った国…妾の大切な人を殺した者達に復讐の果てに殺し尽くしてやる…例え、負ると分かっても…■■■が望んでなくとも!……。


 「――それで、■■■に逢えたら尚更いいな……しかし、それにしても、眠いな、あぁ、とても眠い…今日は此処らへ――」


 黒い竜はドシンと重たい身体を地面に崩れ落ちる。


 「ッ!……力が…出ない……むっ! 人間か!」


 黒い竜は洞窟の入り口を見ると一人の青年とそれにつづく美少女がそこに立っていた。


 「よし! これで邪竜の討伐完了だ!」

 「流石、勇者様です!」

 「ふむ、主君ならやり遂げると分かっていたでござる」

 「止めを戦わずして倒すとは」


 何かを言っているが妾は身体中から怒りが込み上げて来た。また、妾を殺しに来たのか! 何故、いつも、妾の前に会いに来る者は名声を求めて妾を殺そうとする! あの時も好きだった父も母も仲間も初めて抱いた好意を持った■■■を奪っておいてまだ足りぬか! なんて傲慢な奴等だ! 妾がお前たちに何をした! 生きる上で必要な狩りをしただけだろう! 

 

 「ふ、ふざけるな人間共ぉおおお!! 妾は!妾はこの程度ォオオオ!」

 「ゲッ、やっぱり毒の煙を焚いただけじゃあ駄目か! なら、魔法だぁああ!」

 「勇者様を援護しますよ!」

 「「「おぉ!!」」」


 妾はボロボロの身体で戦い勝ち、生き残った…戦った人間は如何やら数百年前に妾から■■■の命を奪った国の勇者パーティと呼ばれる者達らしい。妾はその勇者達との戦いは流石に応えたがなんとか勝ちとったが妾の身体はもう限界だった。

 もう、身体はピクリとも動かない。妾は自身が死んでしまう事を悟った。今から死んでしまうというのに妾は怖く無かった。なぜなら、死ねば■■■に逢えると思ったからだ。

 もう、妾は疲れたのだ生きるのに…好きだった男がもうこの世にいない事に生きる理由がもう無かった。

 ゆっくりと瞼を閉じた。おそらくだが、妾が目を変えるのはもう二度、無いだろう。

 

 これでようやく…彼に逢える…。


 目を閉じれば真っ暗な世界に呑み込まれようとしていたその時、誰が妾の頭を手を添えると呟く。


 「『黒精霊よ、衰弱する者に、黒の癒したまえ』」


 声からして若い男の声だった。


 「ごめんな()()()…五百年もかかったよ」

 「ッ!?」


 妾はその癖の様な呼び方をする者はこの世で一人かいない。閉じていた目をすぐに開いて見るとそこには褐色の肌をしたダークエルフの男が立っていた。


 「おはよう■■■…起きて早々だけど聞いてください」


 妾が起きた事に少し驚くが男は■■■と初めて出会った時の様に優しく顔で妾を見つめながら息を吸って話す。


 「俺は出会った時から■■■という竜人族の女性に一目惚れしました。初めは貴女と話し相手しか、出来ませんでしたが今だから言えます。俺は■■■が大好きです。俺と付き合ってください」


 男は言葉にすると鞄から色とりどりな花冠を取り出して竜の姿である妾の顔に近づいて花冠を頭の上に載せる。


 『―― この岩山に咲かない花で作った…花冠を君…の…頭の上に……のけるよ』

 「あ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」


 妾は竜人姿を解いて人の姿となって男にボロボロと瞳から流れる涙を流しながら抱き付いた。

 男は止めきれずそのまま倒れ込むが妾はそれを無視して今までの鬱憤を男にぶつけた。

 

 「あ"あ"あ"あ"妾を…妾を!何年待たせた!妾にあんな呪いの様な言葉をかけよって!」

 「ごめん…あぁしないと君は俺を追って死んでしまうと思ってから」

 

 男は申し訳なさそうな顔しながら妾の頭をゴツゴツした手で優しく、暖かく、ゆっくりと撫でながら謝罪する。


 「でも、約束は守ったよ。■■■…君への告白と花冠を君の頭の上に載せるところまでね」

 「そうだが!妾は、妾は!…寂しかったお前がいない夜は寒くて、綺麗な石を見つけたのにそれを一緒に見てくれる者がいなくて! 妾を殺して名声を得ようとする者達に何度も何度も挑まれて! 何度も死ぬ思いをしたのだぞ!」

 「それは本当にごめん…」

 「許さぬ! お前が…お前が!あんな呪いを掛けなければ!」


 妾はそれ以上先を言おうとしたが男は妾を片手で強く抱きしめた。妾は顔を上げると男も涙を流していた。


 「ごめんな…君がそんな苦しみをしているのに早く駆け付けられなくてごめん」

 

 妾を片手で抱きしめる力を強くしながら話しを続ける。


 「言い訳にしか、ならないだろけど、俺も輪廻転生の願いは叶ったのに君が住んでいる山よりもずっと先の大陸に生まれてしまって、遠い遠い先で君が待っているのに道中の天候や天災で中々君の元へ向かう事が出来なくてごめん」


 男はボロボロと妾と同様に涙を流しながら答える。


 「何度も何度も君の事を諦めようする馬鹿な俺がいた。でも君が泣いている姿を思い出す事で前に進めた。そして、やっと再開できたと言うのに俺は、俺は君を片手でしか抱きしめてあげることしか、できない俺が情けない!」


 妾も今更、気付いた。愛しい人は片腕が無かった事に…。


 「ま、待て! お前、片腕はどうしたのだ!」

 「大陸を渡るために船で渡っていた途中で何度も海獣に襲われて腕を喰われた…当然だ。何度か君との再会を諦めようとした俺が悪いんだ。その罰が当たっただけだ…」


 男は自身の罰というが妾にとっては愛しい人に片腕がない事の心配しか、出来なかった。

 だが、男は自身よりも妾を安心させようと片手で抱き寄せる。


 「もう、俺は君を一人にしないよ…■■■」

 「馬鹿者…馬鹿者…妾もそれは同じだ■■■」


 五百年前の邪竜と呼ばれた女性は愛した人族の男を失った。異種族でありながら、竜人族の女性に恋をして、命を狙われた女性を守る為に命を失った。だが、男は死に際に童話に出てくる『輪廻転生』に運命をかけ、男は竜人族の女性に思いを告げる為に呪いをかけた。女性もまた、その呪いにかかり、その約束を守る為に死ぬ事も許され無い生き地獄を見た。

 だが、男が願った『輪廻転生』は成功した。しかし、竜人族の女性がいる大陸とは全く別の遠い…広大な海を挟んだ遠い大陸の長命種に転生してしまった。

 男は厳しいと旅に追いやられ、竜人族の女性は名声を得ようとする者達に何度も襲われるも二人は思いを告げる為に聞く為に運命に抗い…再会出来た。


 「…遅くなったが…先程の告白だが…」

 「あ、あぁ…」

 「よろしく頼む…長命種でお前よりももっと歳上な女性で上手くやっていけるかわからんが…こんな妾をもらってくれ」

 「あぁ…良かったよ…俺の告白は大成功だな…」

 「うむ」


 二人はぐしゃぐしゃな顔で顔を赤くした二人。愛の告白を受けた者と愛を受け取ってくれて安堵した者はゆっくりと口を重ねた。


 そして、岩山から邪竜と呼ばれた竜は突如として消えた。消えた理由は知られてい無い。ある者は寿命で死んだのでは?と言う者やまた、何処か遠くに去っていたのでは、と言う者と様々な声が上がったが真実は分からない。


 だが、邪竜が消えたとわかった一ヶ月前に片腕のない褐色肌が特徴的なダークエルフと頭にツノを生やした女性が岩山から手を繋ぎ合わせながら去っていたの見たと言う旅人がいたそうだ。

 旅人はそんな二人組を見て口にした。「二人とも泥まみれなのにまるで長い呪縛から解き放たれた様に清々しく道を歩いていた」と…。

感想と評価がありましたらお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ