表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第一話 閻魔様

「ようこそ、最後の審判へ」


目の前にいるスーツを着た男はそう言うと、椅子に座るよう促してくる。


「ありがとうございます、失礼します」


これは私の癖なのだろう。私は椅子に座るとスーツを着た男を観察する。

年齢は自分と同じくらいだろうか?かなりの男前だ。

時計はしていないが、ネクタイとネクタイピンは高級なものだと感じる。

口元は笑ってるように見えるが、作り笑いにも見える。私も笑顔で返してみる。


「何も質問しないの?」


スーツをきた男は私に聞いてくる。

気になることは沢山あるが、まず聞いておきたいことを質問してみる。


「あなたは神様ですか?それとも閻魔様ですか?」

私は信仰心などはないが、興味がわいたので聞いてみることとした。


男は驚いた顔をし、少し考え、

「どっちかというと閻魔様かなー?ほら神様っておじいちゃんや女の人ってイメージあるから」

と笑いながら言われる。


『いや、イメージの問題では....』

そう心の中で思ったが、笑顔で

「わかりました」

と伝える。


スーツを着た男は笑いながら

「でも面白いね!みんな自分のことやこの場所が気になって質問するのに。私の事について質問した人は初めてだよ」

と言い、握手を求めてきた。

拒むこともない、私は握手を返した。


「閻魔様と呼べばよろしいでしょうか?」

私はスーツを着た男に尋ねた。


「閻魔様でいいよ、丹羽俊樹君」

彼は笑顔で言った。


「閻魔様、よろしくお願いします」

握手を外し、私は座りなおした。


その後、私は閻魔様について質問しながらいろんな話を聞いていた。

閻魔様は話すのが好きなのだろう。活き活きと自分のことを話される。

傾聴しながら、彼が話終えるのを待ってみる。


話が終えたようだ。閻魔様は満足した顔をしながらため息をつき

「あのー.....俊樹君は.....動揺も感じれないし、死んだことわかってるのかな?」

と聞いてくる。


私は頷き、

「はい、ビリオンで死にました」

と笑顔で答える。


閻魔様はため息をつきながら

「そうだね・・・」

と呟く。


彼は真剣な顔に戻り、

「審判の前に最後に質問はあるかな?」

と私に聞いてくる。


私はずっと気になることを聞いてみた。

「私が担当した・・・昨日亡くなられた40代ぐらいの男性の方は天国にいけたのでしょうか?」


彼は眉間に皺を作り

「1日100件以上みてるんだよ?40代の男性だけでも昨日20人いたから誰かわからないよ。それにしても変な質問するね」

と言った。私は少し落胆したが、しょうがないと納得した。


それをみた閻魔様は、しゃうがないなぁと呟き

「ちょっとまってて」と言い。

頭をかきながら、巻物みたいなのを開き、調べ始めた。


「まぁ、昨日の40代男性はみんな天国に行ってるから天国だと思うよ」

と笑顔で教えてくれた。私は安堵し、ほっとしたのか、涙がこぼれた。


「それでは閻魔様、お願いします」


閻魔様は一呼吸入れ、

「丹羽俊樹、あなたに審判を言い渡す。」

と言った。


私は目を瞑り、閻魔様の言葉に集中していた。


「丹羽俊樹、あなたは人の為奉公してきました。そして人のために人生を歩んできました」


「しかしあなたは自分の心を殺しすぎた。感情を捨てすぎた」


「よって、あなたの行き先は天国でもない地獄でもない。【転生】とします」





『え.....』





私は頭が真っ白となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ