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5 【くず餅きな子のゲーム配信#1】チュートリアル①

アップデート1.0.1


・きなこ→きな子


・【コメ欄】の表記追加

「そんじゃ、キャラも作ったしゲーム始めようぜ」


「うっすマシュプネキ」


 マシュプネキことマシュマロプリンなるイカれたネームの先輩と共に、白い部屋から冒険の舞台へと向かう。


『アバターの作成を終了します。

 それでは準備が整いましたので冒険の舞台、フリダム大陸へと転移させます』


 簡素なアナウンス共に薄くなっていくきな子とプリンのアバター。

 少しづつ意識が薄くなっていき、やがて眠りに落ちるかのようにブラックアウトした。










 時間にして10秒程だっただろうか。いつの間にか、目を閉じて棒立ちの状態になっていたのでゆっくり目を開ける。


「おお……すっげぇ……!」


 まるでSF映画の舞台みたいな、黒と青を基調としたビル群の通りに俺は立っていた。

 上を見上げれば、夜空に薄ぼんやりと星が輝き、時折サーチライトの光が空を塗り潰す。


「ファンタジー設定って言ってましたけど、全然近未来じゃないですか……って」


 マシュプネキに話し掛けつつ振り向いてもそこには誰もいなかった。


「あれ?」


 フレンド欄からマシュマロプリンの名前を探すと[ログイン中]と表示されている。


「一体どうなってんだ?」


 そう零すと、タイミング良くチャットの通知を知らせる音がピコーン!と鳴った。


『もしもーし。あたしだけど、きなこは今どこにいんの?』


 送り主は案の定マシュプネキ。どうやら向こうも今の状況に疑問を覚えた様だ。


『俺がいるところは近未来っぽいビル群の所ですね』


『あーね、把握。私は居住がツリーハウスばっかのとこにスポーンしたから、多分スタート地点は選択種族によって変わるのかもね。

 うーん、これじゃあ合流するまではきなこのソロ配信にせざるを得ないわね』


 うわ、マジか。


『どうします?』


『そうね……こういう時こそ、安価で決めてみれば?』


 おいおい、正気か?このアマ酔っ払ってんじゃねぇだろうな。※酔っ払ってます


「マシュプネキがこう言ってるけどどうする?安価する?」



『するまでもないでしょ』

『だな、別に一人でも配信できるでしょ』

『もしかして恥ずかしいんか?』



「そりゃあ恥ずかしいけど……マッマ達が支えてくれるんなら、やってみようかな」



『当たり前やで!』

『マッマ達がついてるさ』

『何の心配もいらないぜ!』



「おぉう……みんな、ありがとう。……てな訳で、一人で配信頑張りますよマシュプネキ」


『そう、分かったわ。合流は……ま、いつでもいっか。リアルでも連絡出来るし、合流する必要がある時までは、お互い好きにやりましょ』


 トントン拍子で進む独り立ち計画。まだ生まれて1時間も経ってないのに……


「うーっす。ま、テキトーにやりますわ」


『そうして頂戴。あーしろこーしろってのは無いけど、強いて言うならきな子はもうVtuberデビューしてるんだから、常にその事を意識して行動しなさい。

 頭の上辺りをブンブン飛んでるコバエもどきが配信用カメラだから、それに目線を合わせて喋る。テキストを声に出して読む。コメントとの会話を忘れずに、その時思った事を素直に言うこと』


 めっちゃ喋るやん。あーしろこーしろ言うてますやん。


「はいはい、コバエを意識してキャバ嬢みてぇにベラベラ喋ればいいんですね」


『てめー面倒くさくなってんじゃねぇよ』


 面倒いわ偽乳プリン、俺のカーチャンかっての。


『あらかたのチュートリアルをクリアすれば他所に飛べる【ワープゲート】に登録出来るようになるから、そしたらワープで【フリダム王国】ってとこに飛んで。着いたらチャットで報告。分かったら復唱』


「フリダム王国にワープしたらチャットを飛ばす、ですね」


『説明しつつ観光だなんだをする分、時間が掛かっても大目に見るけどあんまチンタラしてんじゃねーぞ』


「うっす、うーっす」


『腹立つ……! てめー合流したら覚えとけよッ!』



【コメ欄】

『こわ……』

『マシュプネキに元ヤン疑惑浮上』

『職場でもこんなんなん?』



「まぁ、似たようなもんだよ。キレると怖いってだけで普段は優しいし、ケツがエロい良い上司だよ。

 マシュプネキ、マッマ達が怯えてるんで怒らんといて下さいよ、そのうちパワハラとか言われますよ?」


『やかましゃあッ!! 私がパワハラならてめーはセクハラだっつーの! 兎に角さっさと合流するぞ! もう切るかんな!』


 ……ブチギレですやん。生理か更年期か?

 先輩と合流する時にどんな事をされるのか……またキドニーか? 嫌だなぁ……


 嫌な予想にブルリと震えるが、そん時はそん時だ。抱きしめてケツを褒めてやれば大人しくなるだろう。


「そうだよな、マッマ」



【コメ欄】

『何が?』

『なにが?』

『いきなり同調を求められても……』



 そうか、マッマ達は俺と先輩の人となりを知らないんだから俺らのノリについていけないんか。いや、これも頭ん中で考えるんじゃなくて口に出さないとか。


「いや、ブチギレててもケツ褒めてやりゃあ大人しくなるだろうって思っただけ」



【コメ欄】

『うっわ、クソ野郎じゃん……』

『サイテー』

『いつもそんなんなん?』



 おいおい、ボロクソじゃねぇか。そんなん言われてもこの関係性が馴染んじゃったからなぁ……

 だって俺は生まれて1時間、言ってみれば0歳児だ。


「マッマ達よ……俺はまだ赤ちゃんだぜ? 叱るのも良いけど、俺は褒められて伸びるタイプなんだよ、もっと褒めてくれねぇと良い子に育たねぇぜ。ネグレクトするにはまだ早いだろ。

 仕事場でも大体こんな感じだからなぁ。ボロクソ言われるのもセクハラするのもお互い気になんないんだよな」



【コメ欄】

『仲が良いのか悪いのか……』

『ワガママな赤ちゃんだ』

『セクハラするの上手だね!』

『取り敢えず移動しない?』



「それは褒めてんのか? ……移動ね、そうだな、そうすっか。つってもなぁ……どこに行けばいいんかよく分からねぇし、どうしたもんか」


 チュートリアルっつってたよな。チュートリアルの内容は言って無かったが、それっぽい建物に行くなり、NPCに話しかけるなりすれば良いのか?


「おや、お困りかいベイビー?」


 行き先を決めかねてる俺に知らない女が喋りかけてきた。


「あぁ、はい。始めたは良いけど何をすればいいか分からなくて……」


「ノンノン、そんな他人行儀な話し方じゃなくて良いさ。娘を導き育てるのはママの義務だからな」


 気持ち悪いなコイツ。いや、それよりも……


「マッマ? 今マッマって言ったのか?」


「そうともきな子よ、私がママだよ」


「マッマ!」


 ギュッ!

 俺は自称ママに抱きついた。赤ちゃんだから考えるよりも先にママに甘えてしまうのはしょうがない。

 それなりの巨乳なのにガイノイドだからかほっぺたに返ってくるのは金属の硬さと冷たさ。まぁいいさ、合法的に胸にスリスリ出来るだけマシだ。


「おぉ、きな子は甘えん坊だなぁ。ほれほれ素直な子にはご褒美だ」


「あうあう」


 頭を撫でてくる女に思考停止して甘える。

 社会に出ると褒められる機会なんてゼロに等しいから承認欲求が満たされていく。が、それはそれとして。


「マッマは俺のフォロワーって事で良いのか?」


「よーしよしよしよし……

 ん? ああ、このゲームの事を調べてみたら意外と面白そうだったから、これ幸いと始めてみたんだ。インディーズゲームなのにDL版もあったしな」


 ダウンロード版もあるのか。インディーズの割にはしっかりした作りだな。


「俺の名前はツブアン、魔法職だ。女ボディだが中身は脂ぎった40過ぎのおっさんだが、存分に甘えてくれ」


《ツブアンからフレンド申請が来ました

 受諾しますか? Y/N》


 気持ち悪い自己紹介とフレ申請がきた。

 拒否する理由は無いので受諾。

 おっさんがおっさんに甘えるって高度なホモプレイだなぁ。

 

「初フレンド……いや、フレンド処女卒業だ。やったね! マッマ達、はじめてのお友達が出来たよっ」



【コメ欄】

『アクティブなマッマだなぁ』

『俺も始めようかな』

『脱処女おめでとう!』

『ホモォ……┌(┌ ^o^)┐』



 マッマ達も喜んでるみたいだ。これは良いすべりだしなのでは?


「ともかくチュートリアルだったね、そこら辺は移動しながら説明しようか」


「ありがとママ!」


 ニコッと笑ってマッマの手を握る。中身はおっさんズラブだが、(はた)から見れば仲睦まじい親子だろう。ツブアンのタッパは160ちょい、俺よりも20cm以上高い。

 おててギュッからのニコッのコンボでツブアンは、気持ち悪くデュフフとニヤつき「これが母性本能か……」と呟いている。間違っても母性ではなく父性だろうに。



【コメ欄】

『てぇてぇ』

『母子百合てぇてぇ』

『なお中身はおっさん同士』

『しっ! それは言わないの!』



 マッマ達はこんなんでもいいらしい。クソみてぇな性癖だな、おっさんズラブとか誰得だよ。

 おっと、ツブアンママが説明するようだ。俺はコメ欄からツブアンへと視線を移す。


「チュートリアル。このゲームでそれに分類されるチュートリアルは大まかにはギルド登録、戦闘、アイテム売買の3つになるらしい。

 ギルドの利用の仕方を学び、試しにクエストを受けてモンスターとのバトルを経験して、ドロップアイテムを売ったりする。大体こんな流れで説明を受けて、全部終われば自由に行動が出来る。

 攻略掲示板を見ただけで私も実際にやった訳ではないから断言は出来ないけどね」


 よちよちあんよに合わせてくれるツブアンママの優しさが身に染みる。ママだいちゅき♡


「そんでチュートリアルクリアで晴れて新人デビューってなる訳か。成る程ね、案外チョロそう


 ビル街をしばらく歩いたところでツブアンの足が止まる。目の前には上場企業もビックリのバカデカいビルが聳える。ファンタジーRPGという看板に唾を吐きかけるような違和感。


「そこら辺はチュートリアルだからね。時間が掛かる訳でも無いし面倒な手続きがある訳でも無いだろうさ。さてと、それらのチュートリアルをまとめて受けられるのがここ、【冒険者ギルド】だ」


 へっ、サクッとチュートリアルを終わらして偽乳に会いに行きますか!


「たのもー!」


 勢いよくギルドの扉を潜る。イキりベイビーのお出ましだぁ!










 

気がついたら13000PV超えててオイラびっくり


半年以上も待ってくれたブクマユーザーさん、お待たせ!


待っててくれてありがとナス!



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