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4 【くず餅きなこのゲーム配信#1】キャラメイク


 先輩に腹パンされ目を覚ますと、さっきとは正反対に一面の黒。いや、これは……


「あ、やっぱりログアウトしてる」


 きっとVRヘルムに内蔵された安全装置か何かが作動して、自動的にログアウト処理されたのだろう。


 不意に尿意を催す。なんだか最近ちょっと酒飲んだだけでションベンがしたくなるな。俺も歳か?

 再ログインする前にトイレに行っておこう。トイレに行っトイレ、なんつって。




 しっかり残尿を搾りきって再びログイン……の前に、半端に入ってたチューハイを呑み干す。温くなると不味いしモッタイナイお化けも出るし。


「うっし、給油完了」


 時計を見ると既に3時をまわっていた。こんな深夜なのに態々見てくれているリスナーには感謝だ。


「じゃ、ゲームスタート」








『あ、戻ってきた』

『きなこちゃん復活』

『おお、きなこよ死んでしまうとは情けない』


「うん?あっ、戻ってきたな変態」


 そう言って振り向いた先輩には……ケモノ耳が生えていた。


「変態ただ今戻りました。先輩その耳どうしたんですか?」


「あんたが戻ってくるまで暇だったから、キャラメイクの説明をしつつ、わたしのアバターを作ってたのよ。あんたもちゃちゃっと作っちゃいなさい」


「はぁ、了解です」


 先ず目に入ったのがケモ耳だったからそれにツッコんだが、他にもツッコミどころはあった。なんやその乳は。パット何枚入ってんのかと聞きたくなるほどに突き出た胸部。推定でEかFはありそうだ。

 しかしそこに触れて、逆鱗にも触れてしまっては堪らないので取り敢えず指示に従う。


 ある程度のイメージは覚えているので、たまにコメ欄のマッマに伺いつつ5分程でアバターを完成させる。


「マッマ達、こんなもんでどうかな?」


『ええやん』

『思った以上に可愛いな』

『こんなに大きくなって……』


 マッマ達の反応は上々。先輩も、


「ふーん、そんな感じなんだ。ま、いいんじゃない?それも安価で?」


「そうですね。絵が上手いマッマに描いて貰いました」


「そうなのね。じゃ、次はステータス調整よ。STR、VIT、INT、MND、AGI、DEXのステータス合計値60ポイントを好きな様に振っていって。それぞれの意味は分かる?」


「STRが筋力、VITが耐久、INTが知力、MNDが精神力、AGIが敏捷でDEXが器用さ、って感じですか?」


「そうね、概ね当たってるわ。あと、種族とかも変えられるけどどうする?」


「種族は……安価で決めます。ステータスは振り方のテンプレとかあるんですか?」


「安価好きねー。テンプレって言うか、どういうプレイをするかによって変わるわね。

 前衛アタッカーなら、INTとMNDを削ってSTRとVITに振って、タンクならINTとDEXを削ってVITに振る。

 逆に魔法職なら、STRとVITを削ってINTとMNDに振ったりね」


「そうですか。じゃ、プレイスタイルも安価で」


「あっそう……好きにすれば?」


 先輩の許可も下りたし、コメ欄に向けて話しかける。


「じゃあマッマ達、出番だよ」


『待ってました!』

『最低限攻略ができるスタイルが条件だな』

『マッマの辣腕が火を吹くぜぇ……』


「んー、じゃ、辣腕マッマの10個下のコメで安価ね。出来ればステータスポイントとプレイスタイルも書いてー」


『おk!死なない様にV極タンクで』

『IM30づつで魔法アタッカー』

『DEX40、STR10、VIT10の鍛治師メイン物理前衛サブ』

『敢えてのそのままとか』

『意外とMI30のテイマーバッファーとかオススメだよ』

『1番躓きにくいのはSTR15・VIT10・INT10・MND5・AGI15・DEX5』

『AGI極ヒーラー』

『STRとAGIが10、DEX40のロングレンジアーチャー』

『SVIMA9D15商人』

『S20A40のグラップラー』

『SAD20NINJAプレイ』

『INT極魔法少女』


「うっわ、ここぞとばかりにコメ書くね。えっと10個目だから……なになに?『S20A40グラップラー』?」


 グラップラーって、親子喧嘩で有名なアレ?


「このグラップラーってのはどんなプレイなの?」


『お、ワイのか。

 グラップラーってのは、防具武器のガントレットとレガース装備の格闘家ジョブや。VITは装備で補って、速攻で避けて殴って殺すスタイル。広範囲魔法が致命的な弱点やな』

『結構詳しいな』

『まさに脳筋プレイ』

『Chaotic Universeは未プレイやから、無かったらスマンな』


 躱して殴るって、要するにボクシングみたいなもんでしょ?あんまし頭使わなそうだしいいんじゃないか?


「じゃあ、それでいこうか。S20A40ってのはSTRに20、AGIに40振るって事でいいの?」


『せやで』

『祝!暴力系脳筋ニートヒロイン爆誕!』

『草』

『草』


「間違っては無いけど字面すげぇな。種族とかはどうする?」


『安価する?』

『やっぱ変えるべきだろう』

『何がいるの?』


「んー……ヒューマン、獣人、エルフ、ドワーフ、フェアリー、巨人、小人、あとガイノイドってのがあるね」


『多い……多くない?』

『全部で8種類か?』

『マシュプネキの時はサラッとしか見れんかったからな』


「獣人は、犬人、猫人、鳥人、角人の4種類だね、って……ちょっと待って、マシュプネキって何?」


『はぇ〜色々いるんやねぇ』

()()()マロ()リン()()を略してマシュプネキやで?』

『はよ安価しよーや』


 そもそもマシュマロプリンネキが何か分からんし……いいや、気にしないようにしよ。


「はいはい、じゃ『はよ安価しよーや』の10個下で。あくまでもステータスとシナジーのある種族ね』


『猫人だろ』

『巨人』

『ガイノイド』

『犬派なので犬人で』

『ドワーフ』

『獣人の角人』

『小人!』

『ドワーフ』

『巨人』

『ガイノイドオナシャス!』

『チワワ可愛いよね』

『犬飼ってるのでチワワで』

『猫人の上位は虎と獅子やぞ』

『角人の語感が好き』


「はい、ガイノイドで決定。誰だチワワって書いたヤツ、チワワの2連チャンコメとかそんな事ある?」


 安価コメにツッコミつつ読み返しつつガイノイドを選択、ポーン♪という音と共にウィンドゥがポップした。


《ガイノイドを選択すると一部ステータス値が変化します。決定しますか?Y/N》


「あれ?ガイノイドにすると種族特性ってので一部ステータスに調整が入るみたい」


「あー、それ わたしが猫人を選んだ時も出てきたわ。SA1.1倍でINTが0.8倍の補正が入ったよ」


「やっぱ他の種族にもあるんですね。変更する理由も無いし勿論YESで。何がどう変わるのか楽しみだね」


『せやな』

『機械だし物理には強くなりそう』


 種族特性で変わったスターテスを見ると初心者感0のステ振りで、かなりのクセがありそうだった。


「こんな感じになったよー」




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:くず餅きなこ

Lv:1

性別:──

種族:ガイノイド

ジョブ:なし

STpt(ステータスポイント):0


HP:100

損傷度:0%

MP:100

STR:24

VIT:2(+2)

INT:0

MND:0

AGI:48

DEX:0


装備

右:なし

左:なし

頭:なし

胴:ガイノイドスーツ(上)(V+1)

腰:ガイノイドスーツ(下)(V+1)

脚:なし

アクセサリー

1:なし

2:なし

3:なし

4:なし

5:なし

種族特性

STR+20%

VIT+20%

INT-40%

MND-40%

AGI+20%

DEX+20%

スキル

ユニークスキル

【マシンボディ】【物理特攻】【魔法弱点】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




 目立った変更箇所は性別とユニークスキルくらいか?

 機械だから性別がなくなって、女性的なのは見た目だけになった。けど、見た目さえ女ならば特に問題は無いな。


 ユニークスキルはガイノイドに由来するものだろう。それぞれの効果は、


【マシンボディ】

特定のアクセサリーを装備することによって、アクセサリーの効果に対応したステータスが変更される。


【物理特攻】

物理与ダメージの増加補正(小)物理被ダメージの減少補正(小)


【魔法弱点】

魔法与ダメージの減少補正(小)魔法被ダメージの増加補正(小)


 てな感じで、より脳筋になった。

 こうやって見ると、ピーキーな性能だな。完全物理型だから、魔法はそもそも使えないし殴られたら死ぬ。魔法ステータスが両方とも4割減ってどういう事だよ。


 けど、キャラとしては特徴的だから配信に使うなら良いのかもしれない。

 自分のロボっ娘キャラをじっくり愛でていると先輩に催促された。


「きなこ終わったー?出来たんなら、はよゲーム始めようぜー」


「うっす先輩」


「ちっちっち、先輩じゃ無くてちゃんとプレイヤーネームを呼ばんかね」


 プレイヤーネーム?そんなん言われても知らんし……


 と思ったが、視界端のメールのマークがピカピカ光ってるのに気付く。

 そのマークをタッチすると『マシュマロプリンさんからフレンド申請が来ています。承認しますか?Y/N』との事。

 あれ、これってさっきスルーしたコメ欄の……


「あの、もしかしなくても『マシュマロプリン』って先輩のプレイヤーネームですか?」


「お、気付いたかね きなこよ。和菓子モチーフのくず餅きなこ と、洋菓子イメージのマシュマロプリン、う〜ん、我ながら良いセンスだ」


 マシュマロの様な、プリンの様なおっぱいが元だろ、とは口が裂けても言えない。何故なら、もう一度腹パンを喰らう度胸がないからだ。

 だから俺は、可哀想な子を見る様な目で「素敵ですね」とマシュプネキの言葉に同意するしかなかった。これもパワハラになるのだろうか?

 

 





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