つめ
おまへの中のアルマゲドンが
やわらかに
犇めいている
花のよに
うてな零ぼれ
むしに喰われ
さかりの時にすら
破滅をすでに
内包している
あまやかな
ことであるよなあ
しにがみは
おんなの
すがたを
しているんだろ
くりーむ色の膚と
ざわめく赤の谿を
擁した
おんなだろ
おまへの
よなおんな
かもしれぬ
むしろ
おまへ
は
しにがみ
かもしれぬよなあ
錆びた肉も
ねじれた爪も
すべて
ふくめて
はな
くさりゆく
優艶は
くさりゆく
ゆえに
優艶
なのであろ
そそぐ
宇宙線、アンドロメダ、租界外租界内
ミスタードーナツ、中心こそ空洞
大悟、対語、産後、珊瑚礁崩壊
骨折り損の
クロノスの
テロメアクライシス
双眼、一眼、裸眼、一隻眼
判官九郎、苦労半眼
九十九里病院、百丈野狐
ミリオンダラーとアラーとブラー
あぶらあせ、女殺油地獄
韜晦道、五十三次
つらつら
数多
あまねき
津々浦々
いま
気付いたが
おまへのせなは
世界で
わたくしは
つめのさきの沙粒
それしきの
はな
なのかもしれない
ともに
くさり
果てる
破てる
大小の
はなよ
吾と君。
久遠という名の
沙に消ゆる花の
つめあと一筋。
了。