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5話 元勇者、新勇者のお供になる。

騎士のラルクと元勇者のリュートは互いに距離を取り剣を構える。



張り詰めた空気が周囲に充ちていた。



先に動いたのはラルクだった。剣を両手で持ち斜め上に振り上げると同時に走り出し、リュートに向けて剣を振り下ろす。



振り下ろされた剣をリュートは短剣で器用に受け止めて流す。そしてその勢いで体を回転させてラルクに斬りかかる。



ラルクは紙一重の所で躱すと、腰を落とし足下を狙い剣を横一線に振るとリュートは飛んで躱す。



その後も斬り合いが続く、一撃必殺を狙うラルクの攻撃は全ていなされ、リュートはカウンターによる反撃を仕掛け何度か攻撃を与えるが、騎士の頑丈な鎧に阻まれてダメージを与える事出来ない。



お互いに決定打が出ず、一進一退の攻防を続けている。



「このままでは拉致があかない、ならば!」



ラルクは剣を片手で持つと、高らかに掲げるとそのまま斬りかかる。その姿は今までの攻撃からは考えられない様な隙だらけの動きだった。



リュートがカウンター狙いで頭上に短剣を構えるとラルクは空いている手を前に翳す。



「裂か巻け!『ウィンド・ブレイド』!」



ヒュンヒュンという音を立てて収束した風が刃の形になり、リュートに襲いかかる。



短剣で受け止め流したがそれでも肩の所が鋭利な刃物で切断した様にパックリと切れている。



「フフ、よく躱しましたね私の魔法を」



ラルクはリュートを見ながら不敵に笑う。



「成る程、魔法騎士か…」



「そう、騎士全般から見れば力では劣るがこの魔法と剣術で今の地位に立っているのだ、甘く見ていると怪我だけではすまないぞ」



「なら、俺も魔法を使わせてもらおうか」



「何、貴様も魔法を使えるのか?」



「『フィジカル・ブースト』」



リュートの体の周りから淡い光を放つオーラが現れ体全体を薄く包みこむ。



「ハッ、どんな魔法を使うかと思えばたかが体力と筋力を多少底上げした所で私の魔法の前では無意味というもの」



ラルクは再び手を前に翳すとそこに風が収束し始める。



「喰らえ、『ウィンド…!?」



ラルクが魔法を放とうとした瞬間リュートの姿が視界から消えた。



「なっどこに消えた!」



ラルクがリュートの行方を追っていると、ラルクの懐にリュートが現れ、間髪入れず腹部に蹴りを入れる。

蹴られたラルクの体が吹き飛び木に背中を打ち付ける。



「うぐっ、ばっ馬鹿な、ありえない!動きがまるで別人ではないか!」



「これが俺とお前の力の差だ、約束通り葵は俺が守るお前は国に帰るんだな」



「おのれ、こうなれば」



地に膝をついていたラルクがユラユラと立ち上がると腰に差していたもう一つの剣に手をかけ鞘から抜いた瞬間気配を感じたリュートは咄嗟に後方に飛ぶが、腹部に横一線の傷が現れ血が吹き出る。



ラルクが持つ剣は、先程まで使用していたロングソードとは違い、刃の部分が狭く先端が尖っている。



「魔法を使う動きは無かった、まさか!」



「そうこれは我が家に代々受け継がれる風の魔剣『ゲイルスピア』、魔法と違い一振りすれば無数の風の刃がお前を襲い切り刻む」



リュートが再び素早い動きで翻弄しようとするが、ラルクが魔剣を周囲に振るとその軌跡に合わせ風の刃が形成され、リュートに襲いかかり中々距離を狭められないでいた。



「ハハハ、例え魔法で強く早くなっても近く事が出来なければ攻撃すら出来まい、今私への侮辱の言葉を撤回し謝罪をするのであれば今回は見逃してあげましょう」



「撤回しない、俺が言った事は事実だからだそしてそれを今から証明してやる」



「やれるものならやってみろー!」



ラルクは魔剣を大きく構え勢いよく振り落とすと、今までとは比べものにならない程の風の刃が周りの草木を吹き飛ばしながらリュートに襲いかかる。



「『ハイ・フィジカル・ブースト』」



リュートの体から凄まじい量のオーラが噴き出し始める。リュートは中腰に構え襲い来る風の刃に短剣横に振り抜くと、風の刃が2つに分断され森の奥と空に向かって消え去った。



「何だ、何が起こった? なんなんだお前は一派人如きにレベル21の私がここまで追い詰められる筈がない…」



「たったのレベル21か?」



リュートは一瞬でラルクの前に移動すると、ラルクは驚き膝から崩れ落ちる。



「この先俺みたいな奴やそれ以上の奴がゴロゴロいるその程度の力で自惚れている奴はこの旅では生き残れない、これで終わりだ」



「わっ分かった、私はここで降りるだから…」



「『チャージ・スラッシュ』」



勢いよく振り下ろされる短剣をラルクが咄嗟に魔剣で防ごうとすると剣同士が触れた瞬間、魔剣の刃が凄まじい音と同時に折れ回転しながらラルクの左頬を刻むと彼方へと飛んで行った。



ラルクは白目を向き倒れてしまう。それと同時にリュートの自身にかけていた魔法の効果が切れる。



「大丈夫ですかリュートさん?」



木陰に隠れていた葵が慌てて駆け寄る。



「あっああ、大丈夫だ」



「怪我をしているではないですか、じっとしていて下さい『ヒール』」



リュートの腹部の傷がみるみる癒えていく。



「ありがとう、助かるよ」



「いえ、それよりもラルクさんは大丈夫でしょうか?」



葵は倒れているラルクを心配そうに見る。ラルクは目覚める様子なくまだ倒れている。



「はったりはかけておいた、もう俺達に関わろうとは思わんだろ」



「そっそれならいいんですけど、あのこれからよろしくお願いします」



「あぁ、よろしく頼む」



戦闘を終えた俺は、頭が冷静になり今までの自分のとった行動が脳内にフィードバックされると改めて自分の行動に恥ずかしさを感じ、顔を覆っている布の下で顔を赤くしているのであった。

更新が少し遅れてしまいました、台風19号の影響が仕事に出ないか気にしながらも作業を進めたいと思います。

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