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Ideal’ Garden 〜ギルド職員は冒険者より多忙です〜  作者: RinRin
冒険者入門編 ―第1条―
43/55

第1項 『説明してください』



 多種多様、あらゆる危険と闘う冒険者に仕事を斡旋する、ギルド職員の朝は早い。


 モンスターも、悪人どもも、休むことなく今もどこかで人々を危険に晒しているのだ。


 その平和を脅かす脅威が存在する限り、冒険者は鍛え上げられた肉体、スキルを駆使して奔走する。


 そしてギルド職員もまた、その冒険者が働き続ける限り誠心誠意、真心込めてその仕事をサポートしなければならない。


 ……とはいえ、まだ太陽も出ていないような草木眠るこの時間のギルド館には人はほとんどいない。


 普段は耳を澄ましても聞こえないような穏やかな環境音楽に包まれながら、俺は掲示板の側に設置されているテーブルに着いて朝食代わりにリンゴをかじっていた。


 向かいには、12、3歳ほどの黒髪の少年……カザキリソウイチが座っている。


 彼は4日ほど前にこの世界にやってきたと思われる異世界人……『天使』と呼ばれる存在であり、現在住む家も食いぶちもないホームレス状態である。


 オースティン団長の計らいで一晩だけギルド館の空き部屋を使って寝泊まりしたのだが、こんなことをいつまでも続けるわけにはいかない。


 なんとか今日中に働き口と寝泊まりできる環境を見つけ出そうと、朝早くに起きてきてもらったのだが……。



「……ずいぶん元気そうだな、こんな朝っぱらから。普段から早起きなのか?」



 常人であれば未だ夢の中であろうこの時間帯に目の前の少年は背筋を伸ばし目を輝かせ、隠しきれないエネルギッシュな態度が行動の端々に現れていた。


 

「はい!僕、ここに来る前から毎朝4時に起きていましたから。このくらいなら全然平気です!」



「それは良かった。朝に強くないと冒険者はやりづらいからな」



 俺はカザキリの言葉にうん、と頷く。



「本当ですか!」



 そう……この少年カザキリソウイチは、数ある職業の中でもかなり危険度の高い『冒険者』をやりたいと言い始めたのだ。


 ろくに命のやり取りもしたことのないような平和な世界からやってきた人間が、である。


 最初はやめておいた方が良い、と忠告したいところだったが……元々俺が天使に会いたかった理由を考えると、無理に引き止めることもないと考え直した。


 そう……俺が天使を探していた理由は、その圧倒的な戦闘力の秘密を探るため。目の前の天使が冒険者になってくれるというのなら是非もない。



(まあ……他ならぬ本人がやりたいっていってるんだから、俺がどうこう言える立場じゃないんだが)



 それに、冒険者という職業はなりたい!と言えばなれるものでもない。



「言っておくが、冒険者はなれる確率の方が圧倒的に低い。前も説明したと思うが冒険者という職業は資格制でな、適性のある人間じゃないとなれないんだ」



「はい!頑張ります!」



 ……本当にわかっているのだろうか。



「残念ながら、どれだけ頑張っても適性のない人間は本当に一生なれない。冒険者になる手順は……」



「1、ギルドに申請して受諾してもらう」



「2、ギルド館に配属されている正規の占術師(テラー)に適性を見てもらい、素質があるなら役職(クラス)を決めて任意のスキルを降ろしてもらう」



「3、冒険者個人の情報が刻まれたカード『アミュレット』を発行してもらう」



「……以上だ。手順2の時点で適性なしと判断された場合わその場で弾かれる」



 俺の講釈に黙って耳を傾けるカザキリ。テンションが高い点はウェイライと酷似しているが、こうやってまじめに人の話を聞いてくれるぶんありがたい。



「あの…その適性って、完全に才能なんですよね?どれくらいの確率でなれるものなのでしょうか」



「そうだな。明確なデータは出ていないから体感的なものだが……だいたい100人に1人くらいだな」



 100という数字を聞いた途端にカザキリの表情が曇る。


 それはそうだ。100分の1など普通に絶望ものだ。



「それは思っていたより低いですね……不安になってきました」



 せっかく自分がやりたい仕事が目の前に転がっているというのにできないというのは、確かに辛いことなのかもしれないが。こればかりはどうしようもない。


 カザキリには悪いが冒険者にはなれる確率の方が低いため、適性がなかった場合を考慮して働き口の当てを確保する算段はつけている。



「まあまあ、なれなかったことを考えて鬱になるより、なれた時のことを考えて楽しみを膨らませておけよ。カウンターが開き次第すぐに申請しに行くから、それまでに役職(クラス)を決めておくぞ」



 そう言いながら俺は懐から羊皮紙を取り出し、テーブルの上に広げた。


 紙にはオーレン王国が定めた基準に従って分類された、10種類の役職(クラス)の名前が記されていた。



「こ、この中から選ぶのですか」



「ああ。ちなみに、冒険者には適正があると言ったが役職(クラス)にもある。選べる役職(クラス)の種類にも個人差があるんだ。10種類全部選べる奴もいれば1種類しか選べず選択の余地がない奴もいる。だから第1候補から第10候補まで、しっかり優先順位は決めておけよ」



「は、はい!」



 冒険者になるまでの手順を一通り教えた俺は、次は各役職(クラス)の特色の説明に入った。

 

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