七
視点が変わります。
-伏見 警備隊本部-
「千歳、状況は」
「異常熱信号、レベル黒、生存6。宇治は消滅」
勿論、陽和も生きてるよ、と付け足した。昴は恨めしそうの顔を歪めた。聞いてない、と。
「目がそう言った」
「…まだまだ、ということか」
昴はため息をついた。
「原因は判るか?」
「これ」
そう言って見せたのは直径五センチほどの小さな宝石。起爆宝石。警備隊が犯人捕縛のためによく使われる。色によって効果が違うのも特徴。一番威力の大きいものでも人一人死ぬほどの威力はない。致命傷をあたえられるだけ。それを見た昴は目を見開く。
「…相当な科学者でもいるのか」
「おそらく」
「そうか、詳しく調べる…より行動した方がいいな。もう遅いかもしれないからな」
その通りだ。あの小さなもので、あの異常な出力規模のものがあるとするなら、他にも何かあると考えるのが妥当。どうなってももうおかしくない。
「情報は頼んだ。」
彼の言葉に頷いた。
こうなったら、僕のやることは一つだ。僕は昔からはみ出しもの。勉強は得意だった。分からないことなんてなかった。ただその代償として、人との関わりを持つことができなかった。サヴァン症候群。天才的な才能を受け取る代わりの代償は重い。今はだいぶ回復したほうだが、ある程度認識のある人とは、頷くだけだが会話はできる。昴は五年かけてようやく会話ができるようになった。
ああ、そうだ。陽和がこっちに向かってると言い忘れた。
__まあいっか。
再びモニターを見つめ、キーボードを叩く。宇治街のレーダーに反応があった。地下に大きな空洞。
「見つけた」




