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第2話

「どうしたセバスチャン?」

「いえ、あちらの方でなにやら動物が暴れてるようでして、暫しここでお待ちを……」


 遠くで人間の声がする。あそこまで行けば……


「うぉい! あれなんでこっちまで襲って来てんだよ!」

「仕方ないのにゃ。ワイバーンがたかが猫の言うことを聞く訳無いのにゃ?」

「だったらどうしてそんなの呼び出したの!?」

「出てくるものはランダムにゃ☆」


 このアホ猫……オレがワンコロの注意を引き付けてる内に召喚魔法でモンスターを呼び出した訳だが、出て来たものが3メートルはあろうかという巨大な飛竜。しかも制御不能ときた。


「おいお前、風の魔法使えんだろ、ちょっとあれ撃ち落せよ!」


 オレは一緒に走って逃げているワンコロにそう言う。ワイバーンは風の魔法に弱かったはず。


「何で俺がそんなことしなきゃなんねえんだよぉ! お前らが呼び出したんだろが!?」

「もうそんなこと言ってる場合じゃねえだろ? このままだとお前も一緒にあいつの腹の中だぞ!」


 ワンコロは泣きそうな顔をして、


「……魔法は使えねえ」


 そう言ってきた。


「は?」

「オレは落ちこぼれなんだよぉ! 魔法がまったく使えなくて群れから追い出されてこんなとこまで流れ着いたんだよぉ!」


 なるほど、ルーンウルフだが、中身はただのワンコロだったと。

 オレはワイバーンに向かって手当たりしだい辺りの物をぶん投げて追い払おうとするが、さっぱりダメージになっていない。しかもそのせいかオレを集中攻撃してくる。

 あっ、あいつら2匹で狭い穴に入り込みやがった。


「お、おいっ! オレも猫に戻せ! そこ入れねーだろ!」


 2匹はそのまま奥へ消えていった。置いてくなよ! ……ということは、あれオレ一人でなんとかせにゃいかんのか?

 恐る恐る後ろを振り返ると、ちょうどこっちへ突っ込んで来てるワイバーンが!

 とっさに横に転がりながら避けるオレ。ワイバーンはそのまま地面に激突し、もうもうと砂煙が上がる。そのままばたばたと翼をはためかせ暴れ始める。

 どうやら穴の中に頭を突っ込んで動けないっぽい。


「よしっ今のうちに!」


 オレは人間の声が聞こえた方に走り出す。


「な、何事ですかな!?」


 そこには執事風のおじいさんが警戒しながら裏路地を覗き込んで居た。


「ワイバーンが現れたんだよ! ワイバーンが現れて襲って来たんだ!」

「な、こんな街中に!?」

「それは誠か! すぐにそっちに行く!」


 遠くから女の子の声がする。


「お、お待ちくださいお嬢様! お嬢様は馬車の中でそのまま……」


 おじいさんの制止を聞かず女の子は裏路地に入って来て、


「くぁwせdrftgyふじこlp!」


 オレを見て声にならない悲鳴をあげる。まあ、なんせ今のオレ、……素っ裸だからな。ぷらんぷらんだぜぇ。

 と、後方で轟音が響き渡る。振り向くと路地の一角が崩壊していた。そして顔の焼け爛れたワイバーンがこっちを凝視してくる。

 あれか、頭が抜けないからそのままブレスでも撃ったのか? でもそれオレの所為じゃないよね? なんでオレを睨んでますか?

 ワイバーンは頭を低く構えたかと思うと、そのまま超低空飛行でこっちへ突っ込んで来た。でかい図体で体当たりをかましてくる気か?


「お嬢様お逃げください!」


 おじいさんが剣を抜き突撃する、が、ワイバーンはひと羽ばたきすると、おじいさんを飛び越しオレに向かって来る。完全にロックオンされてるなあオレ。


「下がっていろ!」


 女の子がそう言いながら大盾を構えワイバーンの突撃を受け止める。しかし、その軽い体重では抑えきれず浮き上がってしまう。


「くぁwせdrftgyふじこlp!」


 オレはとっさに浮き上がらないように女の子にしがみ付いたのだが、女の子は真っ赤な顔になって意味不明な言葉を発しながら体勢を崩してしまう。


「おい、しっかり押さえとかないと!」

「ハダカでしがみ付くなこのバカモンが!」


 あ、もしかしてあたっちゃった? いでっ、剣の柄で殴らなくても……


「ぐはっ!」

「セバスチャン!」


 後方からワイバーンを攻撃しようとしていたおじいさんが吹き飛ばされた。どうやら尻尾で反撃されたようだ。

 ワイバーンが頭をもたげ口を開く。


「まずい、ブレスが来る! 離れるぞ!」


 げっ、こんな近距離でか? なんでそんなに激オコなんだこのワイバーン。

 オレと女の子は距離をとろうとするが、それより先にワイバーンからブレスが放たれ地面に激突する。


 ――くっ、一瞬意識を失っていたぞ。どうやら直撃を免れたが、爆風で吹っ飛ばされたようだ。ワイバーンはどこだ!?

 辺りには武器を吹っ飛ばされてうめいているおじいさんと女の子だけ?


「召喚時間が終わったのかな?」


 オレはとりあえず落ちてた剣を拾って辺りを警戒する。


「居ないな……」


 どうやら最後のブレスは時間切れになりそうだから無理やり吐いたのか。


「くっ……」


 そうだ二人を助け起こさないとな。

 オレはとりあえず倒れてる女の子を助け起こそうと、


「くぁwせdrftgyふじこlp!」


 かがんだオレのあそこが女の子の目前に――ゴスッ!


「くぁwせdrftgyふじこlp!」

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