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第15話

「まもなく期末試験が始まろうとしている」

「ふむ」

「期末試験では実技の科目も採点される」

「ふむふむ」

「実技の試験はダンジョン探索だ。そしてグループ採点となっている」

「ふむふむふむ」

「グループ人数は6名、私、ビッツ、リン、ティアと4名は決まっている」


 説明が長いぞ王子。ちなみにビッツは魔術の天才君、リンは剣の天才君の名前だ。


「ジョフィ、君の主人のネイリスを誘ってくれないかな」

「ああ、そりゃこっちからお願いしたいほどだ」

「ミンとシアじゃなくていいので?」


 剣の天才君がそう王子に問いかける。


「ミンとシアって誰?」

「ああ、俺達と同じように王子の護衛を兼ねた生徒だよ。双子の兄弟なんだ」


 ああ、そういやモブにそんなのいたか。


「彼女にはそれだけの価値があると思っている」


 ほう、この王子、人を見る目はあるな!


「最後の1人だが……クルーカを誘おうと思う」


 ……そいつはまずいな。この試験、実は特定のグループに全滅フラグがある。そのグループのリーダーがクルーカ――最後の攻略キャラだ。

 厳密に言えばクルーカ1人は助かるので全滅ではないが……最深部のボス戦でパーティが全滅しかかっているとこにヒロイン光臨、クルーカに回復魔法を掛け、二人で乗り切るというスタートだ。


 このクルーカ、俺達より5つ年上で、現役の剣帝、騎士になるべくこの学院に通いだしたとのこと。最初から強い、お助けキャラなのだ。

 ちなみに、そこで助けられたクルーカは、ヒロインにぞっこんになり、そのヒロインに騎士の誓いを立てるのだった。


「ちょっとちょっと、そこの剣帝さん、オレ達従者は試験中どうするの?」


 オレは王子の護衛の剣帝にそう聞いてみた。


「私は王子の護衛ですからな。一緒については行きますぞ。ただし、命の危険がない限り手は出しませんがな」


 剣帝さんの言うことには基本、各パーティに試験官として大人がついて行くことになってるとのこと。従者ももちろん、護衛を雇って行くのも有りらしい。ただし、従者・護衛が手を出せばそこで失格になる。

 そうすると、先回りして……ボス倒せねえよな。フェン介連れてくか? パーティに王子の護衛いるし、ネイリスさんの護衛は大丈夫だろ。


 それか、試験が始まる前に瘴気の発生する穴を塞ぐか……この世界の崩壊原因、瘴気の大発生だ。

 瘴気とは、生きとし生けるもの全てに敵対する存在を生み出す力の源、そう、モンスターの発生源となるものなのだ。


 この世界は6柱の神様が作り出したことになっている。

 で、神様にも色々あって、ヒロインを転生させる神様は最も人間を愛する神様。

 その逆に、そもそも世界を――穢れたこの世界を作り出すこと自体に反対していた神様もいる。


 そんな、人間は穢れジャーって神様が、瘴気という設定を作り出したようなのだ。

 で、この神様、こそこそと他の神様に知られないように瘴気を溜め込んでいたらしい。


 それがとうとう許容量を突破してあちこちから漏れ出すようになり、モンスターの大発生が起こると。

 そしてそれは、今度潜る初心者用のダンジョンの最深部、ボスの間にも起こり、強力なモンスターがボスとして登場するということになっている。


 オレがそんな設定を思い出しながらネイリスさんを捜していると、


「ジョフィ、ここに居たのか捜したぞ」


 逆にネイリスさんから呼び止められた。


「実はだな、ティア様より今度のグループ試験、一緒に組まないかと話があってな」


 嬉しそうにそう言って来る。ふむ、先にティア嬢から話がいっていたか。


「そこでだな、試験前にダンジョンの下見に行こうと思うのだが」

「え、それって有りなの?」

「有りも何も、行ったことないのは私くらいのようなのだ。帝都の学院では、中学部で誰もが一度は攻略を成し遂げているらしい」


 なるほど。中学生でも攻略できるような低難易度なのか。それであのボスじゃぁ、油断してても仕方ないか。


「いいですね、フェン介とセバスチャンは?」

「今回の話、私はティア様の期待に答えたい。それぐらい私1人でもなんとかせねば足手まといはごめんだからな」

「ふむ、ということは」

「中学生でも攻略できる場所なのだ。基本私が1人で攻略を目指してみる。もし駄目そうなら手を貸してくれ」


 せめてどっちかは連れて行った方がいいな。こっそり話をしてみるか。フェン介ならネイリスさんに気づかれず尾行も可能かな? あいつなにげにハイスペックだしな。


「よし、それでは行こうか」

「は?」

「今から行ってちゃちゃっと終わらせて来よう」

「いやいやいや、準備は? 装備は?」


 大丈夫なのかこのネイリス嬢、もしかして、ダンジョン初めてとか……


「ん? 初めてに決まっておろう、田舎にダンジョンなどなかったからな!」


 いやー胸張って言われても。

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