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第12話 攻略!王子編!?

 ちゃっちゃらー、中間試験の結果発表!

 1位ティアラース、2位ネイリス、3位王子様……どうしてこうなった?


「ハハハ、今回は自信あったんだけどな……」


 王子様の歯の光り方が鈍い。


「王子、確か帝都の最高レベルの家庭教師を何人も雇ったって言ってなかったっけ?」

「それで3位じゃ浮かばれねえな」

「君達は私の傷に塩を塗りたいのかね?」


 家庭教師は一人に絞った方がいいぞ。方向性がバラバラだと身につくものも身につかないと思うが。


「ティア様1位です! おめでとうございます!」

「あなたも2連続で王子に勝るなど十分な快挙ですわね」


 君達、あんま大声で自慢してると王子様がすねちゃいますよ? 世の中には接待プレイと言う物もあるのですよ?


「また新しい勉強方法でも始めたのかね?」

「いえ、勉強方法は前回と同じですが?」

「と、いうことは今回は完全に実力で負けたと」


 そこの剣の天才君も言い方には気をつけよう。


「もし何か秘訣などあれば教えてもらいたいものだね」

「ああ、それはジョフィが――モゴッ」

「シッ、ネイリスさん、ジョフィのことはできる限り秘密にしておいた方がよろしいですわよ」


 ティア嬢がネイリスさんの口を押さえながらそう言う。

 それを見て王子の目の奥が光る。


「あー、ネイリス嬢、実はだな、ここに王家の秘宝である聖騎士の篭手がある。どうだね、これを貸し出ししようと思うんだが、ざっと50年ほど」


 この王子、買収に掛かりやがった。そういやゲーム中でも、ヒロインにさんざん王家の秘宝を貢いでたか。


「王子、それは卑怯ですわよ!」

「ティア嬢、私と君の仲ではないか、そんなことを言わずにぜひ!」


 この王子、手段を問わず攻めに掛かってるな。


「うっ、それは、そのぉ」


 ティア嬢はちらちらとオレに眼差しを向けてくる。


「あっ、そうだ王子。今日のお昼一緒に食事しませんかね?」


 オレがそう王子に問いかける。


「ふむ、食事に秘訣があるのかね?」


 ないですよ?


「いや、今日弁当作って来てんだよ、皆で一緒にどうかなって」

「ちょっ、ちょっとジョフィ!」


 ティア嬢が慌てたようにオレの手を引く。ん?その為にいっぱい作ったんじゃないの?


「ち、違います! あれは、そのう、ちょっと料理が楽しくなりすぎて……作りすぎただけです!」


 そう言って唇を尖らすティア嬢。そのギャップに萌えるわ。


「ハハハ、わざわざ弁当とはね。ここは、超一流のシェフに超一流の素材を用いた食堂なのだよ。仕方ない、今後は従者の人も食べられるよう口添えしておこうか?」

「あっ、そんなこと言っていいんですかね? 後で後悔しても知らないっすよ? そこの天才君二人はどうする?」

「そうだね、偶にはいいかもね」

「おう、俺はどっちでもいいぜ」


 ティア嬢の弁当をバカにする奴には天罰が下る。いや下す。


「ハハハ、いや仕方ない。皆がそう言うなら私も付き合おうではないか」


 ――しかして昼食時。


「な! なんだこれは!? う、ううう、うまいぞぉおおお!」


 王子の人格が変わっていた。

 ゲームの中には料理魔法と言う物があった。それで、セバスチャンにそういう物がないか聞いたところ、そんなものは存在しないと言われた。

 ちなみにゲームの中では、料理の素材を集め料理魔法を用いると料理ができるという仕様だった。ので、


「ちょっとティア様、ここに料理の素材があります。これを魔法で完成品になるよう念じてください」


 って言ってみた。

 そうしたら、なんと、ティア嬢はオレの言う通りに魔法で完成品にしてしまった。


「へえ、料理ってこんな風にしてできるのですね」


 って言ってた。無知とは恐ろしいものですなあ。セバスチャンの飛び出しそうな目玉が印象的でした。

 最初はティア嬢の知っている料理を、そして徐々にオレの世界の料理を身振り手振りを合わせながら作ったところ、カラアゲ・ハンバーグ・グラタン・ホットケーキ・プリン等、様々な料理が完成した。ヒロインはこれをもって攻略対象の胃の攻略に向かってたっけ。


「どうして弁当なのにあったかいの? うわーなにこれサクサクホクホクほっぺが落ちそう」


 カラアゲを食いながら笑顔を振りまく魔術の天才君。


「これ豚か! えっ、あの醜い動物がこうなるのか! うそだろおい…」


 トンカツにかぶりついて絶句している剣の天才君。貴族は基本豚なんて食わないんだっけ?


「ジョフィ君。ぜひこれを作ったシェフを紹介してくれ。言い値で雇い入れよう!」


 王子様がそう言って来る。


「いやー残念だけどそれは無理じゃないかな。なにせこれを作ったのは……ここにいる、ティアラース様なのだから!」

「「「な、なんだってぇえ!」」」


 3人が驚愕の表情でティア嬢を見つめる。いでで、ティア様つねらないで下さい。

 ティア嬢は真っ赤な顔でうつむいている。


「貴族が料理など、はしたないでしょうか?」

「い、いや、これだけのことができるのだ。もうそのような次元ではないであろう。いやほんと、后に欲しいくらいだ」


 王子様のその言葉にさらに顔を赤くするティア嬢。良かったですねえ。後はヒロインが王子様ルートに入らなければハッピーエンド。


「まあでも、王子は弁当より食堂の方がいいんでしたよね?オレ達は明日からもティア嬢の手料理ですが」

「ハハハ、ジョフィ君は冗談が上手いねえ」


 目が笑ってません王子様。

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