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第2話、テディガール

こんばんは。

覚えてくれているかなぁ、僕の名前。

そうそう、僕はエリオットだよ。

僕のお友達を紹介するね?


今回は、テディガールだよ。

テディガールは優しくて、とっても美人。

素敵で、今は日本の博物館に、住んでるんだ。


なぜかって?


テディガールは世界でも有名なシュタイフのテディベアであるし、それに、とってもテディガールは、賢いんだよ。

1904年に生まれた、テディと言うことだけでは違うんだよ。


元々テディベアは、子供たちのおもちゃとして生まれたんだ。


テディガールは、ボブ・ヘンダーソンと言う人の愛し続けたテディベア。

でも、ボブさんのお兄さんのベアだったけれど、譲ってもらったんだって、本当に大事に大事にしていたんだよ。

ボブさんは、本当にずっと一緒。

ボブさんは、戦争に行くときにもテディガールを連れていったんだ。


昔だからね、でもその写真、戦争に行ったときに、出撃するって言う前に、テディガールと撮ったものだって。

で、普通なら大変でも、先に入って必ずいたんだよ。


戦争の苦しみはあるけれど、ボブさんは戦争が終わらない、世界の終わりになっちゃうと困るから、ちゃんと、任務として戦い……。

そして、軍役が終わると、家に二人で帰ったんだ。


そして、ボブさんは、ボブ・ヘンダーソン大佐と呼ばれているんだ。

ボブさんはもう一人の友人と考えたんだ。


「戦争は終わった。これからは、テディベアを『癒しのベア』として世界中に出ていって、講演や子供たちにテディベアを知って貰おう」


ボブさんは、テディガールと各地を転々として、テディベアは素敵な家族だって言うことを積極的に講演したり、テディベアのことについて知って貰おうと思ったんだ。

それにテディガールは真ん丸の瞳に、赤茶色のモヘアと言う布で作られたけど、その気品、美しさがあるんだよね。

皆は大戦や紛争によってボロボロになった国々、もしくは、生き延びた友達の持ち主を知って、ボブさんは、


「テディベアは皆のお友達で、世界のみなさん、戦争は愚かしいものです。テディベアを見てください」


「子供たちは小さい頃から一人で寝る、その寂しいときに抱っこしてあげられず、しくしくしています。大きくなりませんが、テディベアは、家族のように大事にしてください。平和な世界を作りましょう」


と言うことを、世界中伝えていったんだ。


でも、どうしても戦争は無くならない。

悲しくて泣いていると言っても無理だよね。


そして、いつかは知らないうちに大人になって、年を取る。

ボブさんは、永遠と共にいたいと、死ぬまで愛し続けたんだ。


ボブさんは亡くなったけれど、テディガールは、写真などと共に、オークションに出品された。

そして、日本人の手に渡り、伊豆にあるテディベア博物館に今は静かに時を待っている。


オークションで当時の値段で、1200万円とも、1700万円とも言う価格で、ボブさんの写真や色々な記念品と共に譲られたんだ。

世界中も、その高額のベアとして知られるようになったんだ。


でも、僕は寂しいな……。

お金よりも、何よりも、大事なものはあるよね?

ひとりぼっちは寂しい。


でも、ボブさんの意思を引き継いだ、テディガールがずっと待っているのは、誰だろう……?

ボブさんが又会いに来てくるのかも、知らない。

でもその時に僕も、ボブさんに会えるといいな。

そう思っているよ。


そう言えば、テディガールは最初別の名前で呼ばれていたんだ。

その名前は、


「テディボーイ」


でも、戦争の空き時間などで一緒に行くと、お友だちが、


「テディガール」


と呼ぶようになり、テディガールに名前を変えちゃったんだって。


テディガールに会いに来て?

僕達の兄弟も沢山いるよ。

そして、君たちとピクニックに行こうよ。

そうして『テディベア』の歌を歌って?


僕たちは、口が聞けないからね、だから皆の邪魔はしないよ。

その代わり、疲れて休むときには、寝ちゃうからね。

夜がよくおしゃべりしてる子もいるんだよ。

僕達のお友達は世界中にいるからね?

仲良くしようよ。

それと、腕を引っ張ったりは痛いからね?

それはやめてね?


じゃぁ、今日はおやすみなさい。

いい夢を……。

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