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「もしもし、君は今その女を庇って私達の発砲を阻止した!従って犯人蔵匿の罪で君も完全に包囲されている!」
ええええええええええ!?
ちょっと待ってちょっと待って、なにこの展開?これあれ?俺もミポリンと捕まるってこと!?いやいやその前にミポリンて本当に何者なんだよ!本当に女スパイなの?あれか?ウチの会社の国家機密、「大山さんがちょいちょい会社の備品を持ち帰ってるっぽい説」を暴く為に派遣されたロシアの特命部隊からやって来ましたってか?いやいやいや待て待て、それ国家機密でもなんでもないし、ミポリンの顔はどう見ても大和撫子だよ!ヤマトナデシコとオノノイモコってなんか口に出して言いたくなるよね?それよりも大山さんはウチの会社のパートのおばちゃんだからね?はんにんぞうとくの罪でって普通読めないからね?
「もしもし!本当になんなんすか!?俺何も解らないし彼女はいったい何者なんすか!?」
俺はミポリンには聞こえないようにモスキートボイスで話してみたんだ。ミポリンはこちらを不安そうな目で見つめている。いやいやいや、俺の方が数百倍不安ですからね?やっぱり可愛い娘にはトゲがあるよね?この状況はトゲありすぎだけど。
「今その質問に当局は答えられない。君がその女と関係がないと言うのならばこちらの指示に従ってもらうまでだ。まだ女はこちらには気付いていないようだな?女に怪しまれずにこれからのこちらからの質問にはYesかNoで答えてもらう。そして君には指令を出させてもらう。」
俺はミポリンの顔を少しチラ見してまたモスキートボイスでこう答えたんだ。
「イエス」
とにかくこの状況から抜け出すためには、ミポリンと俺は関係がないって事を証明しなければいけないって思ったんだよね。だってほら?包囲されてていつ撃たれるか解らないじゃん?それを回避するには何だってするし話しますよ?大山さんが会社のトイレットペーパーを堂々とまとめて持ち帰っていた事も話しますよ?
「それではこちらの動きを女に悟られないように女のマンションへ行け。」
俺はもう後には退けない事を改めて知ったね。これはきっとミポリンはスパイなんかじゃない。俺は確信していたんだ。きっとミポリンはテロリストなんだと。現に今ミポリンのおかげで大山さんがテロにあってるからね?会社の備品パクってんの知れ渡っちゃってるからね?俺はかなり深く深呼吸をすると、その反動で少し裏返ってしまった声でこうまた答えたんだ。
「イエス」




