表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sniper  作者: yosuke
3/13

(電話の声ハスキーっすね?もしもし、私メリー今あなたの後ろにいるの→携帯090……へ。そんなことよりどうしても俺の隣にいる渡辺くんの右頬のホクロが気に入らない→携帯090……へ。そもそもあんたらなんかに構ってるヒマない→会社電話03……へ。)


俺はまるで愛する者を失って復讐に挑むガンマンのようにスケッチブックを掲げてやった。これあれだよね?動揺してアワアワしちゃう感じだよね?きっと今ナースさんアワアワでオロオロだよね?俺は不敵な笑みを浮かべてナースさんの返事を待ってたんだ。


「なぁ……俺のホクロのことはそっとしといてくれないか……あ、ウケてる……」


オペラグラスを覗いてる渡辺くんが、もはや野鳥の会の会員っぽいことに一瞬噴いたんだけど、まぁそこは仕方ないとして、覗きながらそう言うもんだから俺も調子に乗っちゃったんだよね。ウケてる理由はわかんないけどもっと質問責めしてやろうと……。俺はゆっくりとスケッチブックをめくり、白紙の上に3分の1の純情な感情を書きなぐったんだ。



(何歳ですか?)


俺はとりあえずまた、初歩的なことから聞いてみることにしたんだけど、俺が見るところ22歳くらいかな?いや、もしかしたら18歳、いやいや、案外予想と外れて34歳、いやいやいや、渡辺くんのドストライクな42歳、まぁ、全然見当がつかないってところなんだけどね。しかも今ので渡辺くんの熟女好きがバレてしまってもいるんだけどね。



「あ……部屋戻っちゃったぞ!?それ聞いて向こうはどうやってこっちに伝えられるんだよ!何歳ですか?ってだけの質問可笑しいだろ!?」


「まぁ……待つのだホクロデッカチくん、これで相手がどう出るかを分析しているのだよ?言わばプロファイリングと言うやつなんだよホクロデッカチくん、君にはその意図が解るかい?ホクロデッカチくん」


「意図は解んないけど、ホクロデッカチくんだけ胸に響いたわ……おお!!」


「どうしたんだね?!ホクロデッカチくん!?」


「戻ってきた!あれ?なんか持ってる!」


「なんだね!?何を持ってるんだねホクロデッカチくん!?」



渡辺くんがそのホクロデッカチな顔に少し笑みを浮かべて、静かにゆっくりと俺にオペラグラスを差し出したんだ。とりあえず俺は覗いてみることにした。



(24歳です)


俺の勝利である。ナースさんもこちらの作戦にノッてきた。ノリノリである。しかも俺より達筆だし。なんかさ、広告の裏?みたいなやつに書いてあるみたいでさぁ、たまに風でヒラヒラしちゃって、最初見え辛くて書いてある数字が24なのか42なのかドキドキしちゃったよ。きっと42のほうだったら渡辺くんが神様に感謝のお祈り捧げてたね。俺はもう聞くなら今しかないと思った。皆さんも気になってるであろう最後の質問だね。聞いちゃいますよ?ズバッと聞いちゃいますよ?いいですか?本当に聞いちゃいますよ?やっぱウソウソとかなしだよ?俺は全ての腕力を駆使して全力投球で彼女に質問と言う名の白球を投げたんだ。



(ナースさんですか?)



「おいー!ナースだろうがなんだっていいよ!もっと大事なこと聞けよ!」


「待て待て……これ大事だろ?大事マンブラザーだろ?」


「ブラザーで切るな!ブラザーズバンドまでちゃんと言え……あっ……」


「どうした渡辺!?」


俺は嫌な予感がして渡辺くんからオペラグラスを無理やりに奪うと、部屋の明かりで薄っすらと見える彼女が掲げた文字に目を奪われたんだ。



(違いますけど……)



俺は愕然とした……全力投球した内角高めのストレートを、何気に手を出した感じでライトスタンドに持って行かれた感がハンパなかったのだ。もうね?8回裏だよ?どうすんのこれ?とりあえず深呼吸しようか?落ち着け俺、慌てるな。まだ慌てるような時間じゃない。



(看護師さんorナースさんですよね?)



(看護師でもナースでもありません……)



俺は右ひざを床に落とした。慌てない。まだ慌てるような時間じゃない。



(看護ースさんですか?)



(だから……合わせても違います……)



俺は左ひざも床に落とした。慌てない。まだ慌てるような時間じゃない。



(ナースさん風ですか?)



(なんですか風って……OLです……)



そして俺はうつ伏せに崩れ落ちた。渡辺くんがオペラグラスをオレの手からそっと受け取る時にため息を吐いて呟いてしまったんだ……そっちだったか……と……



「なんだあの娘OLだったのかー?!てか、もう暗くなっちゃって字が見辛いな……」


「OLだったか……あ?渡辺!ま……まさ……か!?」


「なんだよ?どうした?」


「OLってオフィスレーザーの略じゃ!!??」


「オフィスレーザーってなんだよ……あの望遠鏡からレーザーが出てましてここのオフィスにロックオン!ってやかましいわ!!(笑)」


「渡辺……俺そこまで言ってないや……」


「なんだよ……もっと優しくしろよ……あっ……」



渡辺くんからまたオペラグラスを取り戻して覗いたんだけど、ナースさん改めOLさんは部屋に入ってしまっていたんだ。まぁ外も寒いしね。だって今2月だよ?そしてもうとっくに定時は過ぎて、もはやこの時間サービス残業ですよ?でもOLさん仕事から帰ってくるの早いな、職場近いのかな?なんて思ってたら渡辺くんが口を開いた。



「今日はもう終わりにしよう……暗くて文字も読めないし、たぶんもう出てこないよ」


そんな弱気なことをホクロデッカチな渡辺くんが言うもんで、俺も今日は諦めることにしたんだよね。また明日に持ち込みだね、明日またサイツェンだね?正しい発音で言うとツァイチェンだね?



「んじゃ帰るか……渡辺……戸締まりよろしくな?」


「あぁ、おつかれー」



なんか今日は変な1日だったと思いながら俺は会社を後にしたんだけど、これで終わりじゃなかったんだ。CMの後もまだまだ続きます!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ