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Sniper  作者: yosuke
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(好きな食べ物はなんですか?ハンバーグならこちらの携帯090……へ。チキンドリアならこちらの携帯090……へ、お願いします♪)


俺の番号はハンバーグ、渡辺くんの番号はチキンドリア。俺は敵の好みを探っていた。


「おいー!そんなこと聞いてどうするんだよ!100歩譲ってハンバーグはいいとしてもチキンドリアってなんだよ!!」


「だって渡辺好きじゃん?チキンドリア……」


「そう言う問題じゃ……しかもお前の前で食ったこともねーわ!あ……」


予想とはずれて会社の電話が鳴ったんだよね。そしてまた渡辺くんが受話器を取ったんだけど、ここで初めて俺たちはエンジェルボイス、略してエンボイを聞くことになった。


「どっちも嫌いです……」


きたよこれ?あのね?なんて言うか少しハスキーな感じでさぁ♪想像してた以上にナース声だったんだよね。まぁ、ナース声ってなんだよって話なんだけど……おもいっきり2人でテンション上がったね?こりゃ明日一雨来るね?俺たちの歓喜の涙雨だね?


「どっちも?どっちも嫌いなの……あっ……切れた……」


「おい!なんで切られちゃうんだよ渡辺!!もっと話繋げろよ!そんなんじゃ逆探知出来ねーだろ!?」


「逆探知もなにも相手見えてるじゃねーか……てかさぁ、もっとちゃんとした質問してみようぜ?」


「なぁ……チキンドリアくん……すっかり大事なことを忘れてしまっていたよ……」


「なんだよ?……」


「もう掃除の時間終わってみんな来るんじゃね?……」


すっかり忘れていたんだけど、もうすぐ違うフロアを掃除していた事務のお局さん、女子社員含めてみんな事務所に来ちゃうんだよね。これは一旦休戦するしかないと踏んだ俺はまたスケッチブックに書きなぐりましたよ?そして凛とした表情でスケッチブックを掲げたんだよね。


(また後でメールします!)



「これメールなのかよ!!」


渡辺くんの言葉にちょっとイラッときたけど、俺はまた満面な笑みを浮かべてその「ナース.ne.jp」にスケッチブックで送信したんだ。チラっと見えたナースさんの顔が少し笑ったように見えた。俺が天を仰いでガッツポーズしていたらぞろぞろと一斉に女子社員達がここのフロアに集まって来てさぁ。みんなおはようございます!なんて挨拶してる中、俺は真っ先に事務のお局さんに挨拶しに行ったんだよね?


「おはようございます!あのこれ……このオペラグラス……貸してもらっててもいいっすかね?」


「え?いいけど何に使うの?(笑)」


俺は数秒考えた。だってさ?向かいのマンションのナースさんと交流を深めるためなんて絶対口が裂けても言えないじゃん?そんなこと言ったら恋人も居ない女子社員からかなり陰湿な嫌がらせ受け兼ねないじゃん?ここは脳ミソフル回転ですよ。


「えっと……先日……野鳥の会に入りまして……珍しいスズメがこの辺に生息してるらしいんですよ……」


「なにそれ?捕まえたら見せて」


「あぁ~いいですよ?あ~でもどうかな……なんせそのスズメを見つけるのにはまずドラゴンボールを7つ集めないと……休憩時間にでも探そうと思ってるんですけどね……ハハハのハ……」


完璧である。我ながら上手く道理の行った答えである。俺がそんな模範回答をしている間、渡辺くんは自分のデスクに戻り必死で笑いを堪えているようだったけど、俺はとにかくその場を凌いでナースさんを一瞬だけオペラグラスでチラ見したんだよね。あれ、居ない……。


「渡辺くん……スズメさん居なくなっちゃったわ……」


「寒いし中に入っちゃったんだろ?……」


「しかし……謎だらけだな……そもそも今時ハンバーグ嫌いな人が居るとはな……」


「そこじゃねーだろ……」



とりあえずいつものように仕事に戻り、業務をこなしてたんだけどさぁ。やっぱり気になっちゃうよね?時折、事務のお局さんやヅラ部長含めたその他もろもろの人達の目を盗んでは、ナースさんを探したんだけどベランダに姿は見つけられなかった、ここで1つの仮説が立つわけだ。もしかしたらナースさん病院で仕事中なんじゃね?今頃あのハスキーボイスで体温計見て「ちょっとお熱がありますね~?」なんて言ってるんじゃね?まぁ、俺のほうがお熱上がってるけどね?とにもかくにもこの後、定時になるまで姿が見えなかったんだ。


「お疲れ様でした~♪」


アホっぽい女子社員の声に気付いて時計を見たらもう定時過ぎてたんだけど、どうにもこうにも気になるよね?とりあえず渡辺くんとやっていた○×を一時中断してまた覗いてみたんだ。あ、なんか覗くって悪い事してる感があるけど、先に仕掛けてきたのは向こうだからね?こちらは言わば被害者ですよ?8-2でこちらの勝ちですよ?それでね、もう手慣れた手つきでオペラグラスを1回転させてまるでガンマンのようにターゲットを覗き込んだんだ。


「あ!渡辺!部屋の電気点いてるぞ!あ!こっち見てる!」


「おおー!とりあえず誰も居なくなったし続きのコンタクトしようぜ!?」


俺は西部の荒野をひた走るガンマンのようにオペラグラスを渡辺くんに渡すと、まるでウェスタンハットに身を包んだガンマンのように更なるメッセージを、まるで酒場で喧嘩を吹っ掛けられるガンマンのように送ってみたんだ。


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