第3限 桜並木道
着替え終わった俺はもう中学生ではなかった。
鏡の中の俺は、はたから見ても高校生。実感は湧かない。
「もう準備ができたんだし、早く行きなさい。初日から遅刻なんて、とんでもない。」
急におかんに言われて、ふと我にかえり、急いで右ポケットには携帯、左ポケットにはタバコ、後ろポケットには財布。お決まりのセットをおさめて、髪をセットすれば完璧。
「いってきま〜す」
その一言だけ言って家を出た。チャリに跨がり、少し足で漕いでから出発しんこー。
中学の時は家から近くてチャリ通はしてなかった為、チャリ通ははじめてだった。
家から高校までだいたい20分くらいで着く距離で行きは下り道、帰りは上り道と起伏の激しい場所だった。
そんな道をチャリで漕いでて、気持ちよく坂道を下り、春の空気や風のやわらかさがめちゃ気持ちがいい。
「今日はマジ天気いいし、このまま学校ふけて公園でのんびりしたいもんだぁ〜。」
こんなゆったりした気持ちで学校に向かっていると、案の定、学校の近くの川沿いにある公園に立ち止まっていた。
俺はその公園から見える景色に見とれていた。
俺のこれから通う高校は川沿いにあるのだが、その公園からは川沿いにつたって桜並木道がずっと広がっていた。終わりが見えないくらいにずっと。
川のせせらぎ、風で散ってゆく桜の花びら、春の暖かさを感じれる日差し、何もかもが目の奥に伝わってくる。
これから始まるであろう高校生活に期待させてくれる何かを送り届けてくれるかのように。
口にはタバコがくわえられいて、すでに火もついていて、あと少しでフィルターのとこまで親玉がきていた。
「あちっ。」
火の熱さでふと我にかえって携帯を見てみると8時40分になろうとしていた。入学式の時間は8時30分。
「やっっべぇ〜。」
ピカピカの茶色いローファーで吸い殻を踏み潰すと、チャリに勢いよく跨がり、ペダルを勢いよく踏んだ。車を追い越す勢いで漕ぎまくった。
「何してんだよぉ〜。俺。」
そんなわかりきったバカの事を考えながら学校へ向かった。




