第16話 国際問題と、王子の揺らぎ
医療システムの国際展開は、
想像以上の速度で世界を変え始めていた。
「魔法石の輸入量が、
三割も減りました」
財務官が、王城の会議で報告する。
「原因は明白です」
理美が言った。
「医療の効率が上がった。
無駄な魔力消費が減った」
それは、正しいことだった。
だが――
魔法石を輸出の主力にしていた国々にとっては、
死活問題だった。
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◆ 抗議と圧力
次々と使節がやって来る。
「貴国の医療改革は、
市場の均衡を破壊している!」
「魔法石の価格が暴落している!」
エドワルドは、静かに言った。
「我々は、誰かを貧しくするために改革したのではない。
人を救うためだ」
だが、
外交は理想だけでは動かない。
時に、武力行使もちらつかせる。
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◆ 第一王子の動揺
一方、第一王子アルベルトは、焦っていた。
(国が揺れている)
(そして、自分は、まだ何もできていない)
弟――第二王子アレクシスの存在が、
頭をよぎる。
聖女の自由を尊重し、
他国にもはっきり物申す弟。
(……あれでは、
国王の座を継ぐのは、どちらがふさわしいのか)
アルベルトは、
王子としての、自分自身に問い始めていた。
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◆ 直治の一言
そんな会議の後。
直治は、ぽつりとエドワルドに言った。
「……この国は、財務と医療を中心に、変わり始めています。
民も、それに期待している。
……それを、誰が、支えるか」
エドワルドは、静かに頷いた。
「……分かっている」
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医療改革は、
人を救いながら、
同時に世界を揺らしていた。
そして、
王子たちの運命もまた、
その渦の中へ、
引き込まれ始めていた。




