表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/95

第二十四話 本能寺の雷鳴

天正十年(1582年)六月初旬──。


羽柴秀吉はしば ひでよしに仕官した伊東祐兵(いとう すけたか)


その陣中にて、才覚を少しずつ認められつつあった。


とはいえ、まだ重用には至らぬ身。


祐兵(すけたか)は、かつての領地・日向を取り戻す日を夢見ながら


地道に働き、礼節を欠かさず、人との縁を大切にしていた。


「よき時節が来るはず……信じて参るのみです」


阿虎(おとら)の方の言葉に、祐兵(すけたか)は黙って頷いた。




六月二日、夜が明けきらぬ刻──。


「本能寺が……焼けておりまする! 信長公が……!」


本能寺のある京は大混乱となっていた。


備中にて毛利率いる中国攻めを行っていた


羽柴軍へ伝わるのに時間はかからなかった。


「何だと……信長公が……討たれたと申すか!」


羽柴の陣に激震が走る。


明智光秀あけち みつひでの謀反──。


京にて、織田信長が本能寺にて急襲されたとの知らせが


急報として駆け巡ったのである。


秀吉の陣では、即座に軍議が開かれた。


「羽柴様、如何いたしましょう! 明智が都を押さえております!」


だが、秀吉の表情に、焦りはなかった。


「かの光秀、計略に長けたるものの、兵の動きは未だ鈍い。今こそ攻め時じゃ」


「されば……中国の毛利との講和は……?」


「それは任せておる。今より京へ動かす。まずは備中高松より急ぎ、光秀を討つ!」




祐兵(すけたか)は、秀吉のあまりの決断の早さと


周囲を動かす求心力に息を呑んだ。


この方の下に付いたのは、やはり間違いではなかった──。


祐兵(すけたか)よ、お主には、秀吉様より仰せがあるぞ」


掃部助(かもんのすけ)に呼ばれ、秀吉の前に進み出ると、秀吉はにやりと笑った。


「日向の伊東、これよりわしと共に都へ()せよ。明智を討つ戦、わしの天下の第一歩よ」


祐兵(すけたか)は深く頭を下げた。


「この身、尽きるまで、秀吉様の御旗(みはた)のために」


本能寺の変──それは一つの時代の終わりであり、


そしてまた、新たな時代の幕開けでもあった。


乱世に再起を賭けた男たちの物語が、再び動き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ