外国からの襲来!日本の自衛隊が国民を守るために戦後初めて引き金を引いた瞬間。
■空母いぶき (2019年)■
もし、現代日本が外国と戦争になった時、日本の自衛隊は果たして外国に勝てるのか?
・・・って考えたことは?
最新技術の兵器を使って他国と戦うところをフィクションでもいいから見てみたいあなたにおすすめです。
本作のなにが面白いかって、主人公である秋津艦長が何を考えてるのかまったく読めない事。
シリアスな場面でもずっと「笑ってる」んです。
厳密に言うと口角があがってて、笑ってるように見えるだけなんですが、それが薄気味悪いんです。
他国からの宣戦布告に日本国内では戦争反対派が多いなか、秋津館長は戦う事にワクワクしてる様子が見てて面白い。
現実にいてほしくないですが、「超えてはいけない一線を超えてしまう人間」を見れるのがフィクションでしか味わえないところ。
そんな不敵な笑みを浮かべる秋津艦長と戦いに消極的な新波副長とのぶつかりもドラマとしては見どころですが、今作はやはり「戦闘シーン」が一番の見どころ。
なかでも迫ってくる敵国の戦闘機に対し「撃ってはいけない」という日本人の信条に縛られ、なかなか引き金を引けないなか、守るべき国民や仲間、家族のために引き金を引くシーンは見もの。
見せ場で高鳴る劇伴も素晴らしいし、関西弁をふるって攻撃命令を出す浮舟艦長の姿もカッコよく実際にいるわけではないとしても、フィクションだからこそのハッタリ感が効いててあそこは胸が高鳴りました。
・・・ただ本作に対する世間の評判はかなり悪いです。
なぜかというと、盛り上がりが少ない事、そして最大の問題は「他力本願で解決しちゃうこと」
本作は「戦争反対」をポリシーとして守ってしまい、せっかく戦える状況が整ってるのに戦うことを回避しようとするせめぎあいを重点的に描いてるので、アクションシーンが少なめ。
さらに戦いとは無縁のコンビニパートをやたら挿入してるので、全体的に盛り上がる場面が少なく、退屈な時間がほとんどなのが残念。
さらに戦いの解決方法が自衛隊の実力でも、政治家の努力でもなく、まさかの本田翼演じる記者の力というところがガッカリポイント。
「日本の弱い面をそんなリアルに描かなくてもよかったのに…」と誰もが思ったはず笑
フィクションなのだから自衛隊が本気でドンパチするシーンをもっと見たかったし、秋津艦長の薄気味悪いキャラも個性がつよくて面白いキャラだったので、映画じゃなくて連続ドラマとして見たかったなと。
そんな本作の悪い部分を補ってるのが同じ原作者の実写映画および配信ドラマ『沈黙の艦隊』です。
こちらは戦闘シーンに力を入れており、ガンガン戦ってくれます。
艦長も秋津と似たようなキャラなのでなにを考えてるか分からず、次にどうやって米国艦隊をしりぞけるのかワクワクさせてくれます。
・・・ですが、『沈黙の艦隊』の悪い部分を補ってるのが『空母いぶき』だったりもする。
『沈黙の艦隊』って見せかけの騙し攻撃がやたら多く、壮大な茶番をずっと見せられるので、一線を超えないけど迫力満点の戦闘が充分ある『沈黙の艦隊』と、一線を踏み越えた本格的な戦闘はするけど戦闘回数は少ない『空母いぶき』
どちらがいいか?
これは見る人によって考えは違うので好みの問題になりますが、どちらの要素もあるのは同じ原作者の漫画およびアニメ『ジパング』かと。
こちらは第二次世界大戦時代にタイムスリップした日本の海上自衛隊が日本軍と米軍の戦いに介入するお話で、なかでも面白いのが歴史上では死ぬはずだった草加大佐を救助してしまったことから草加は未来の歴史を知ってしまい、これから生まれる多くの犠牲を減らそうと自衛隊の圧倒的な強さを利用するところ。
草加の言ってることは正しい。
けれど、多くの日本人の命を救うためなら米国人を何人殺しても構わないという危険な考え方が、自衛隊たちの感情を揺さぶってくるのです。
ドラマも素晴らしいですが、個人的にめちゃくちゃ面白かった場面は敵である米国のリアクション。
当時米国が開発中だった兵器技術を備えた自衛隊が目の前にあらわれ、圧倒的な火力と現代の最新技術を目の当たりにした戦時中の米国兵の驚きっぷりは必見です。
日本と米国が共同でつくった兵器が、第二次世界大戦時のアメリカ軍に火を噴くという面白いシチュエーションを堪能できます。
ただ『ジパング』はアニメにもあるんですが、アニメーションがイマイチなので見るなら漫画がおすすめ。
それでもアニメで見る人に言っておくと、大人の事情で配信サービスではカットされたオープニングテーマ「羅針盤」は聴くと心が昂ぶります。
アニメ映像付きはYouTubeには無いですが、ニコニコ動画だと「ジパング (2004) OP」って検索すれば見ることができますのでぜひっ!