ティラノ信者を敵に回した結果、駄作扱いされたサバイバルモンスター映画の大傑作。
■ジュラシックパークⅢ(2001年アメリカ映画)■
恐竜の「登場演出」がピカイチ。
時短やスキマ時間、倍速再生など「時間が圧倒的に足りん」と感じる人が多い令和時代。
そんなタイパ重視のあなたにおススメの映画がコレ!
一作目を予習する必要はあるが、情報化社会の現代ならミリしらでも見れる範囲かと。
本作は一作目を手掛けたスピルバーグ監督からジョンストン監督にバトンタッチした三作目。
「主役恐竜の世代交代」といわんばかりに当時、謎に包まれていたスピノサウルスをメインにひっぱり出して新たな脅威を設置。
家族ドラマは最小限に抑えられ、アトラクション型のサバイバルアドベンチャー要素を盛り込んで作られました。
前作からだいぶ年数が経ったため、「スピルバーグファン」や「一作目を神聖化する信者」が幅を利かした時期に公開されたこともあって、映画の公開時点でもハードル高めで厳しい評価を喰らいました。
そして本作が不評扱いされた最大の原因。
それは、今までの恐竜映画がやってきた伝統「ティラノ最強論」を破壊する展開を入れたこと。
これによって、世界中のティラノ信者を敵に回す結果に。
そこへさらに追い打ちをかけるかのように、恐竜の研究が進んでスピノの生態が年々明らかになるにつれ、フィクションに口出しする「恐竜警察」が本作のスピノに対する扱い方を批判する材料に使い、さまざまな界隈とも結託してアンチ活動を続けた結果、公式も本シリーズの続編やグッズを出すたびにスピノを雑に扱うことが暗黙のルールとなり、「三作目は駄作」と評することがあたかも「正しい」かのような不憫な扱いに。
私は声を大にして言いたい。
【え・・・。
評価するところ、そこじゃなくない?!】
スピノのありえない強さばかりフィーチャーされてますが、映画の原点に立ち返っていただきたい。
映画とは観客を少しの時間たのしませるためのエンタメコンテンツであること。
本作はそれを見事にやってのけている。
尺が短いゆえに会話シーンにムダが一切なく、恐竜の出番は早くてしかも多い。
近年のハリウッド映画のようにVFXばかり使うことはせず、等身大の恐竜のロボットなどを用いた撮影もされてるため、恐竜が出てくるシーンの大半は非常にリアル。
『ミクロキッズ』『ジュマンジ』を手掛けた監督なだけあってキャラクターの描き方もよく、なかでもビリーはドラマに波乱を招くジョーカー的存在としてコンパクトだが、見応えある展開に運んでくれる最高のポジションだった。
短時間で恐竜の島へ降り、短時間でスリルを味わい、ラストの余韻もしっかりある。
携帯電話の着メロが鳴るシーンや、橋を渡るシーンは一度見たら誰でもきっと心に残るはずだ。
「ティラノが~」とか、ジュラシックシリーズとしてどうか、というよりも「短時間でたのしめる娯楽映画」としてはこれほど優れた作品はめったにない。
ドラマは薄っぺらいかもしれないが、低く見ても「優秀作」
「駄作」として蹴っていい作品ではないと私は感じる。