これぞ日本版シャイニング!近年の都市伝説にも影響を与えた一作
◼︎サイレン FORBIDDEN SIREN (2006年日本映画)◼︎
{あらすじ}
父の仕事と弟の心の治療もかねて夜見島にやってきた娘は島の住民から島の掟を言いつけられる。
“サイレンが鳴ったら絶対に外に出てはならない。”
島の掟に隠された真相とは…。
【原作人気がどデカすぎて低評価を喰らった不遇の良作】
本作は日本の島を舞台にしたジャパニーズ怪奇ホラー映画。
そう、知る人ぞ知るホラゲ『SIREN』の実写化だ。
……と書くと嫌な顔をすると思うが、とりあえず聞いてほしい。
たしかに本作は『SIREN』の実写化という意味では失敗作である。
原作をそのまま実写化したら間違いなく日本映画史に残る名作になってたと思う。
けれど、ゲームのことは一度頭から消して純粋な心で本作を見てみると、意外とホラー映画としてよくできていることがわかる。
本作はギャグや鬱展開に走りすぎる堤監督作品とは思えないほどドラマのトーンやシリアス度が一定に保たれており、『SIREN』の素材を用いた別次元の話としてみると、どんでん返しの部分は結構面白い。
ただ襲い来る脅威はチープなメイクを施した劇団式の仮装したゾンビもどきになってるし、ホラーとして粗い部分はある。
しかしそれを補ってるのが「森本レオ氏の怪演」だ!
温和でおっとりとしてて誰にでも優しそうな森本レオ氏が劇中でもそのままの優しげなトーンでどんどん何かに取り憑かれていくような芝居や演出が見事に効いており、なかでも森本レオ氏がスコップ片手に夜な夜な娘に襲いかかるシーンはクッソ怖い!
子供が見たらトラウマ確定間違いなし。
森本レオ氏のイカれた親父の暴走は映画オリジナルゆえのインパクトがあり、あの部分だけは間違いなく原作を超えている。
島を舞台にした日本版『シャイニング』といった感じに作られた本作は島の掟や謎のメモ、赤い服の女、怪しい村人、島の不気味な唄など多くの謎が用意され、最後に明かされる結末には「なるほど!そういう発想も面白いな!」と感心させられました。
主演女優の市川由衣さんの儚げな存在感も素晴らしく、意外性あるラストも人によって賛否あるでしょうが、途中から作風が暴走しがちな堤監督作品のなかでは一番まともな作品なので、原作うんぬんは抜きにしてホラーとしてのハードルも二段階下げて見るのがおすすめです。
ちなみに近年の都市伝説に「自殺電波塔」というのがある。
自殺電波塔の内容を読むと本作の結末と似通ってる部分が多々あるので、おそらく本作をみた誰かがネットの掲示板に書き込みをしたんだと思う。
自殺電波塔というお話はジェイソン村という都市伝説の続きで、そのジェイソン村の元ネタは『SIREN』の元ネタになった実話・津山三十三人殺しからきているので、ホラゲー繋がりで誰かが本作に辿り着き、都市伝説として流布した可能性が高い。