3話 基本魔法とはなんぞや.2
全力での声を張り上げ悶えた後、すっと頭が冷えて冷静になった。
「なあミルン」
「はい、なんでしょう?」
幾度かの醜態を見たせいかミルンの反応が普通というか若干冷めた目で見つめて来る可愛い。
「いや、さっき言っていた使える人には使えるってやつな、誰か使っている人みたことあるのか?」
「はい、ありますよ。近くの村の人が畑仕事をする際に『飛んでけー』って種を飛ばしているのを遠くから見た事があります!」
魔法の話だからか若干尻尾が揺れているのを眺めながら少し考えてみるやっぱり可愛いモフりたい。
ふむ、どんな方法で使えるんだ?
なんか一本恵みの発毛剤のやつは詠唱? 呪文? を唱えて使ってるって言ってるし効果は声の範囲。農家さん?『飛んでけー』ってなんだよ何処まで飛ばす気だよ種範囲指定とかどうするんだよってぐらいアバウトだしそもそも属性魔法と固有魔法の二つに分けられるってじゃあ俺の基本魔法はどっちなのというか基本だから属性なのか? いや、基本だからといってイコール属性とは限らないか。ということは固有魔法なのか? そもそも何をもって基本とするのかの定義が解らんしこのファンタジーに来てからあれ? 何日過ぎた? そもそも何で俺ここに来たんだ? どうやって? まてまて考えを戻そうあっ、尻尾モフりたいなー揺れてる揺れてるあー考え過ぎて頭いたくなってきたなぁあもうめんどくさいなうんめんどくさいというか喉渇いた水飲みたいな水っのみたぁああい。
「うぉーたー」
だらけた声で言ってみた。
ピチャッ
うん。何も起きないよなぁ。
ピチャッ ピチャッ
うん? 雨か?
俺が天井を見上げた瞬間、ボロ屋の屋根を突き抜けて、顔面目掛けて大量の水が滝の如く降って来た。
「おぼぼぼぼぼっえほっ! ぐへっ! 鼻入った! てかいつ迄降って来るんだよっえほっ!」
「あぁ!?」
「えほっぼぼぼぼっ!」
「天井に穴が!」
何かミルンが凄い唖然としていると言うかいつ迄続くんだ水!
ちょっとキレ気味に念じたらピタッとおさまった。
なんで?
「屋根が…天井が…」
一度外にでて家? 小屋? ボロ屋? の状態を確認している。
何かボロ屋から更にグレードダウンしてもはや何で立ってるの柱と言わんばかりの状態である。
「すまんミルン、まさかこんな事になるなんて。屋根はその辺りの森から木を切って直すからちょっとだけ時間をくれ!」
ミルンの犬耳がシュンとしている。
「グゥゥ…分かりました。でもこれで流さんが魔法が使えるって判りましたね!」
こんな事があっても、冷めた目でも、やっぱり優しいなミルン可愛い。
「うっ…」
水に濡れ過ぎてもはや俺に濡れていない箇所は無いという姿の為マジで身体が冷えてきたというか小がしたいっ!
「すまんミルン。直ぐ戻るからちょっと行ってくる」
俺が押さえている箇所を見て理解したのか
「早く行って来てください!」
顔を真っ赤にして近くの森を指差した。
森の手前で赤ジャージを下ろし、開放!
「ふぃーでるでる」(下を向いている)
プギィ。
「あーまだでるでる」(下を向いている)
プギィプギィ。
「あースッキリ」(下を向いている)
プギィプギィプギィ。
「うんっ良し」(ジャージを上げて前を向く)
プギィ。
「いやぁああああ覗きよぉおおおお!?」
「プギャアアアアアアアオヴァヴァ!!」
豚野郎(漢)は突然に。