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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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間話 ミユンの休暇.4



 真っ白な"厚み"のある白粉。

 ベッタリと"塗りたくられた"口紅。

 ギチギチに"脂で"固めた、巻き髪。

 フリルの付いた、色鮮やかなドレスに身を包んだ、"苦しそうな顔を誤魔化している"御令嬢達が、お互いに目線で、牽制し合っている。


『聞きまして? ツァブル家のメクマード様が、近々婚約されるのでしてよ』


『勿論、知っておりますわ。トーマン男爵様の御息女、アリムネル嬢とですわね』


『男爵家どうし、お似合いではありませんの』


 この三名が、ヘラクレスに無理矢理、女王が寄越したお見合い相手。

 アッサム子爵家三女、プリマード御令嬢。

 テルマン子爵家次女、ミリノア御令嬢。

 ポーイット子爵家御次女、ドクレア御令嬢。

 全員お化粧が濃くて、何だか気持ち悪いけど、ああ見えてまだ十代らしい。

 そっと扉を閉めて、ミウを見る。


「あの人達はっ、ヘラクレス様に相応しく無いっ。鼻が曲がりそうな臭いっ」


「それは同感なの。あの女王の手紙が届いて、僅か数刻で来たのだから、間違い無く、仕組まれた事だと思う」


「あの女王っ……許さない」


 ミウを怒らせたら、ガチで女王が危ないの。

 ここの犬人総出で、首都を襲いかね無い。


「ヘラクレスは、何してるの?」


「執務室で、お仕事中ですっ。こちらの事情も考えず、先触れも無く来たんだから、こちらの仕事が優先っ」


「女王の指示なのに?」


「知った事じゃないよ。まだまだやる事が、山積みなんだから。あの女達は放置です」

 

 むぅ……ヘラクレスが慌てている姿を、楽しみにしてたのに、これじゃあ見れないの。


「仕方無いっ。それなら、あの子達で遊ぶの」


「何する気?」


「ミウも、あの三人の腹の内を、知りたいでしょ? だからしっかりと、下呂させるの」


「それは……面白そうっ」


 ミウもやる気なの。それじゃあちゃんと、お着替えして、おもてなしをしなくちゃ。


「ミウのメイド服、余ってなあい?」


 いそいそとメイド服に着替えて、出涸らしの茶葉、色々と不味い御茶菓子を準備したら、いざ客室に突撃します。


 ゴンゴンッ────「失礼するの」


 強めにノックして、応答を待たずに入る。


「あらっ? 貴女はどなたかしら」


「案内をしたメイドとは、違いますわね」


「躾のなって無い、メイドですわね。ヘラクレス様にお伝えして、解雇させますわよ」

 

 今ミユンを解雇するって言ったのは、茶髪巻き巻きヘアの、ドクレア嬢。

 先ずはお前からなのぉ。


「ミユンです。お茶のお代わりと、特製(激辛)焼菓子を、持って来たの」


「あらそう? 不作法ですのに、気は効くのね」


「お茶を飲む前に、焼菓子を食べて下さいな」


(わたくし)から? まあ……良くてよ」


 ドクレア嬢は、そっと焼菓子を手に取り、上品に手を添えて、音も無く頬張る。


「あらっ? 何かお味が……っ、あああああああああああああああああああっ!?」


「どっ、ドクレア様!?」


「貴女! ドクレア様に何を食べさせたの!?」


「ほらっ、お茶を飲んで口を濯ぐのっ」


 ドクレア嬢は震える手でカップを掴み、そのお茶を一気に喉へと流し込み、「ぶふっ!?」っと吹き出して、凄いお顔になった。


「ミウっ! 今なのおおおおおおっ!」


「待ってました!」


「きゃっ! 何よもがっ……っ、ああああああ辛いいいいいいいいいいっ!?」


 ミリノア嬢も、完了しました。これで残るは、プリマード嬢ただ一人。

 特製焼菓子を持って、ジリジリと距離を詰める。


「ひっ!? なっ、ななな何ですの貴女達っ!」


「ミユンなの」


「ミウです」


「嫌っ、嫌ああああああっ! ぶふっ!?」


 三人目も完了なのっ!

 それでは今から、この特製焼菓子のお代わりを手に、尋問を始めます。


「さあっ! 何で急に来たのを白状するのっ!」


「ヘラクレス様に近付く悪いゴブはっ、このミウがっ! 許さないんだからあっ!」


「「「嫌あああああああああっ!?」」」


 部屋の中を逃げ回る三人を追い駆け、お口に無理矢理焼菓子を突っ込み、色々と情報を聞く事が出来た。

 そしてそのまま三人は、お帰りです。

 そこそこ楽しめたの。


「お見合いの目的としては、納得なの。でも、あの女王が使う手としては、お粗末な気がするし……側近辺りが仕組んだ?」


「良い迷惑っ。ヘラクレス様に見合う女性は、あんな厚化粧じゃ無いっ!」


 ミウの尻尾が、まだ逆立ってる。この怒りは、結構長引きそうだなぁ。


「それじゃあ、二階にいるヘラクレスに、この事を報告しに行くの」


「待ってミユン。先ずは、女王宛てに手紙をしたためて、送らないとだよ」


「それもそうなの。女王か誰かは知らないけど、脅しておかないと、同じ事をされるっ」


 ミウは即座に紙を用意して、物凄い勢いで書き始め、ミユンですら、羽ペンを持つミウの手が見えない程なの。

  

「それじゃあミユンも……」


 文面は、どんな感じにしようか。


 ジアストール王国女王、ルルシアヌ・ジィル・ジアストールに告げる。

 お見合いという姑息な手段でもって、ヘラクレスを籠絡し、他領地へ支援をさせようとするその行いを、即刻中止されたし。

 さもなくば、今後数年は、王都の作物が育たない様、ミユンの力を行使します。

 以上、地の精霊ミユンより。


「これだけ脅せば、安心っ」


「流石ミユンだね。容赦が無い」


「それはミウも一緒なの。それじゃあ、この手紙を送って、ヘラクレスに報告っ」


 手紙を三つ折りにして、封筒に入れたら、蝋でを垂らして、ミユンの印で封をする。

 こうすれば確実に、女王に届くのだ。

 

「手紙出して来るね」


「りょっ。ゆっくり待ってるの」




 次回は、4月13日朝7時半頃更新予定っ!

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