間話 ミユンの休暇.2
空を見上げると、太陽がまだ真上に来ていないので、今の内にやっておこう。
そう思ったので、ミユンの畑に来ました。
「ここにも、時計を置けば良いのに。それじゃあ、どっこいせええええええっ!」
ズボボボボボボッとお芋を引っこ抜き、ウサ鞄へ収納しつつ、また引っこ抜く。
「抜き終わったら、これを撒くっ」
魔龍のう◯ちを、ふんだんに使用した、地の精霊ミユン特製の、肥料玉。
それに、ミユンのスキルを合わせれば、土の活力が漲り、収穫後に寝かせる必要も無く、直ぐの作付けが可能なの。
「おーいもっ、おーいもっ、ホクホクおーいもっ。おーいしーいおーいもっ」
お芋は病に罹りやすいから、種芋の選定をしっかりとして、土の中へ埋め埋めします。
「おーいもっ、おーいもっ、ホクホクおーいもっ。屁ーがでーるおーいもっ」
ミユン一人だと、時間がかかるから、妖精達も集めて、短時間で終わらせるの。
『ミユンさまーっ、お芋重たいよーう』
『食べて良い? これ食べて良い?』
『精霊なのに、屁が出るの?』
「ごちゃごちゃ言わずに働くのっ!」
周りを見ると、結構なお歳の獣族や人種が、同じ様に働いている。老若男女問わず、皆んなが一生懸命に、自分達の任された土地を、汗水垂らして耕している。
「良い光景なのっ」
楽をせず、されど無理をせず、真面目に働く者達の姿は、とても誇らしい気持ちになる。
「良しっ、ミユンの畑完了。次は、冒険者ギルドに行って、依頼の確認っ」
領主であるヘラクレスが、どうしてもと懇願した為、ミウが嫌々了承した、冒険者ギルド。
商業ギルドはまだらしいけど、この地のお野菜を狙っている商人達が、チラホラ見えるの。
「来ても意味無いのに……」
そもそもこの都市では、勝手な商いは許されておらず、お野菜の販売が出来るのは、ミウに認められた者だけ。王都の偉い商会が来ても、泣いて帰るしか無いの。
「二、三ヶ月もかけて来るのに、手ぶらで帰る商会の偉い人……笑えるっ」
そんな事を思いながら、ギルドへと向かっていると、遠くの畑で、お馬鹿を発見した。
「おいっ! 急げ!」
「お前も手を動かせ! さっさと積んで逃げなきゃ、見つかっちまうだろ!」
「うひゃあ、まじで取り放題だぜっ!」
ジアストール側からなら、探せばああして、お馬鹿の侵入が可能なの。罠にかけられているとも知らずに、哀れな盗賊達です。
のんびりとお馬鹿に近付き、挨拶する。
「なにしてるの?」
「っ!? 何だ……餓鬼じゃねえかよ」
「おらっ! あっち行けっ!」
「おい待てよ。そいつ、そこそこな見た目だし、捕まえて売れんじゃね?」
ミユンをそこそこ扱いっ……まあ良いの。
「まだ若いのに、勿体無いの」
「あんっ? おい聞いたか! こいつ、この見た目してっ、婆さんみたいな事言ってんぞ!」
「おいコラっ! 舐めてんのかあああんっ!」
「おい嬢ちゃん。痛い目に遭いたく無けりゃ、大人しくしてろよぉ?」
一人の盗賊が、シュっと腰からナイフを取り出し、ミユンに向かって歩いて来る。
本当に、お馬鹿な人達です。
「ミユンがやると、使い物にならなくなるから、早く確保して下さいなっ」
ミユンのその言葉で、畑から飛び出す者達。
「お前何を────んげっ!?」
「なっ、アリジ────ごぉぉぉっ!?」
「ひっ、何だこいつら────あばっ!?」
ドゥシャの教えを受けたミウが、移住者の獣族達を集めて作った、守備隊とは別の集団。
「お怪我は御座いませんか、ミユン様」
「無いの。お勤めご苦労様っ」
「労いのお言葉、有難う御座います」
パパが教えた、迷彩服と言うモノを着て、畑の中からジッと、盗賊達を狙っていたの。
土の上だから、ミユンには分かるけど、普通の人なら、見つける事は困難です。
「この三人の処遇は?」
「領地への無断侵入及び、窃盗にて、男二人は強制労働五年。ナイフを抜いた者は、歯を五本抜いた後、強制労働二十年になります」
「良い労働力なの。逃がさない様にね?」
「勿論です。それでは、失礼致します。その者達をあの場所へっ! 撤収っ!」
「「「了解っ!!」」」
今の話をしていたのが、リーダーなの。
顔にも迷彩をしてるから、誰だか分からないけど、ミウの一番弟子らしい。
「犯罪者達を捕まえて、美味しい労働力の確保なんて、流石ミウ……良い性格してるの」
哀れな盗賊達が、自分達の持って来た荷車に乗せられて、そのままさようなら。
「……冒険ギルドに、ささっと行こっ」
予想外の事があったけど、気持ちを切り替えて、ちゃんと休暇を楽しまなきゃっ。
農耕都市ハーベストラヴァーは、色々な職人達の力で、拡大し続けている。
居住区、商業区、特別区と分けてはいるが、この都市の大半は、居住区で占められており、農家達がメインの、素晴らしい都市である。
その居住区の端っこ。
少し大きめの家。
「……ミウが嫌がったから、この外観っ」
一階建ての、冒険者ギルドである。
王都やファンガーデンだと、立派な石造りの階層建てなのに、ここだと木造一階建て。
「こじんまりした、良い作り……と言う事にしておかないと、ギルド長が泣いちゃうの」
「……うん、後ろに居るんですけどねぇ」
「あっ、ショボいギルド長っ」
「御免ねぇ、ショボくて……ははっ」
このガリっと細い眼鏡のおっちゃんが、ここのギルド長なの。
「白髪が増えた?」
「もう歳だからねぇ。増えもするさ」
「禿げる?」
「この見た目で禿げても、威圧感無いからね。ほら、中に入るんだろう?」
「お邪魔しますっ」
ギルド長の後ろに、ピッタリとくっ付いて、いざ、ギルド内を拝見します。
次回投稿は、4月11日、朝七時半予定っ!




