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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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12話 報告対策実行しましょう.1



 四月九日、午後三時。

 顎たぷたぷのチャッフ国王と、デンバー副団長、俺の三人でテーブルを囲み、報告を兼ねての、対策会議を実施中。


「以上が、円堂、ペペルーノの両名から、聞き出した情報だ。結構不味い状況じゃね?」


「そうだね。まさかこの僕が、魅了に犯されていたなんて、びっくりだよ」


「申し訳御座いません陛下っ。まさか我が騎士団に、スパイが居ようとは……」


「過ぎた事は仕方が無いよ。僕の脇も、甘かった訳だしね。そんな事よりも、これからどうするのかを、考えないとだよ」


 この国王、見た目通り懐が深いな。部下を叱責する訳でも無く、自分の責を認めた上で、どうすべきかを考えるか。


「つんつん。顎がたぷたぷしてるっ」


「ゆえてゆっ。たゆたゆやよっ!」


 それに、横の椅子から、タダイル君を抱っこしたミルンが、顎をたぷたぷしてるのに、笑顔を絶やさない国王とか、マジ凄いわぁ。


「ほっほっほっ。自慢の顎だから、良い感じに揺れるだろう? でも今は、大事なお話中だから、後にしてくれるかな?」


「あいっ!」


「仕方無いの。んしょっ、タダイル君と、向こうで遊んでますっ」


 そう言ってミルンは、タダイル君を抱っこしたまま、部屋の隅っこで、積み木をし始めた。

 ミルンは本当に、面倒見が良いな。


「てか、何でタダイル君が、ここに居るの?」


「育児分担さ。長男と長女が、次男と次女の面倒を見て、三男と三女は、僕と妃が、面倒を見ているんだ」


「何その仕組み……国王や王妃自ら子育てとか、乳母とか雇わないのか?」


「妃の決めた事だからね。出来うる限り、自分達の手で、愛情を持って育てたい。僕も同じ思いだから、雇っていないんだ」


 何この国王と王妃……今まで出会ったどの王様、女王、代表達よりも、人格者じゃん。


「まさか料理も、自炊なのか?」


「週に一回はそうだね。流石に公務があるから、毎日は出来ないんだ」


「忙しいだろうに、良く出来るな」


「僕と妃の、ちょっとした息抜きだよ」


 この国王っ、眩し過ぎる。

 どうやったら、この殺伐とした異世界で、ここまでの男になれるのか。


「おっと、話が大分、逸れてしまったかな」


「いんや、勉強になった」


「そうかい? それなら良かったよ。それじゃあ、今後の話をしないとだね」


「そうだな。デンバー副団長、地図は持って来てくれたか?」


「ああ。陛下、宜しいでしょうか?」


「良いよ。今更機密なんて、隠していても、意味が無いからね」


 デンバー副団長が、国王の許可の下、テーブルの上に広げた地図には、このヴォイド大陸に存在する、主要国家の位置、国名が、大雑把ではあるが、記されていた。


「良くこんなん、調べ上げたな……」


「騎士団のワニロが、長い年月をかけて、各国を巡り、ここまで調べてくれたんだ」


「ヴォイド大陸の北側にある、ジブルルド山脈より先は、何も書かれて無いんだな」


「そうだね。ワニロ曰く、天をも貫く山々が連なり、竜種達の巣が多く、先へと進めなかったらしいんだ」


「竜種って、ワイバーンとかか?」


「それ以外にも、地竜や炎竜などの、属性持ちも居たそうだよ」


 ジブルルド山脈って、死の山ですか? その山々には、近付かないでおこう。

 

「で、問題の三国がここか……マジでアッジスノード王国、逃げ場無いじゃん」


 地図で見ると、本当に分かり易い。崖に追い込まれて、逃げ場の無い状況です。

 

「ノブストンとディヒケンの、間にあるコレって何だ? 大きな池か?」


「そこは、デズロ大湿地帯だな。アッジスノード王国と、同程度の広さの湿地帯だ」


「成程ねぇ。コレが、ディヒケンが攻め込まれない理由か。羨ましい立地だな」


「そうだね。対して僕の国は、国境こそあれど、地形的には攻め易いだろうね」


 アッジスノードとノブストンとの間に、障害となるモノは無く、真っ直ぐ進めば良いだけだ。そして、アッジスノード側からならば、ディヒケンにそのまま、攻め込める。


「傭兵国ディヒケンは、この状況を理解してるのか? アッジスノードが滅んだら、次はディヒケンだろうに」


「彼の国は、力が全てなんだ。そこまで考える王では、無いだろうね」


「うわぁ……脳筋の国かよ」


「もっと言うと、力を持つ者ならば、何をしても良いと言う、ならず者の国かな」


 そこだけ聞くと、世紀末的な国だな。

 絶対モヒカン居るだろ。

 禿げ率とモヒカン率が、ヤバい国だろ。


「ノブストンの王様はどうなんだ? チャッフ国王は、会った事あるのか?」


「勿論あるさ……ノブストンの王は、ディヒケンの王よりも、酷いだろうね」


「脳筋の王より酷い?」


「そうさ。ノブストンの若き女帝、エルララルラ・ポーノグリトス・ノブストン。またの名を、"暴力の化身"」


 ノブストンは女帝なのか。若き女帝って、何歳なのかは気になるけど、それよりも先ず、暴力の化身て何よ?


「物騒な二つ名だな……暴力の化身って」


「そうだね。見た目は大人しい子供なんだけど、彼女が動けば、間違い無く死人が出るんだ。なんとも不憫な、女帝だよ」


 不憫? 暴力の化身と言われる程の存在を、何で憐れんでるんだ?


「おっと、また話が逸れていたね。周辺国の情報の補足としては、こんなところかな?」


「ありがとさん。それを踏まえた上で、これからどうするかだな」


「うむぅ……陛下。矢張りここは、ディヒケンに攻め込むべきかと、進言致します」


 おっと、デンバー副団長からの、爆弾発言が飛び出したぞ。ディヒケンに攻め込む? 急にこいつは、何言ってんのさ。



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