11話 毎食カツ丼尋問タイム.5
ペペルーノと円堂を交代。カツ丼を前に涙目になって、そんなに食べたいのだろうか?
「これはミルンのお代わりだぞ。そんなに食べたいなら、直ぐに用意出来るけど?」
「これで四杯目っ。食べる?」
「要らないわよっ!?」
「まあまあ、遠慮せずに」
「美味しいよ?」
「要らないって言ってるでしょっ! 昨日のアレでっ、胃もたれが凄いのよっ!」
円堂って、うん千歳だから、見た目以上に、胃腸が弱ってるのか?
「それじゃあ、"空間収納"っと。コレ試してみるか? 胃もたれ、胸焼け、腹痛に効く、お高い薬なんだけど」
「薬? 何か……変な色してるわね。飲んでも大丈夫なモノなの?」
「大丈夫だよな、ミルン?」
「大丈夫っ。デンバーで試した物より、効能は低いから、眠ったりしないの」
「眠る? まあ良いわ。毒じゃ無いなら、飲んでみるわよ。んぐっ……」
どうやらミルンは、デンバー副団長に、上手く毒味をさせた様だな。この薬より、効果の高い物って言うと、強壮薬か。
「どうだ円堂? スッキリしたか?」
「……クソ不味いわっ!?」
「味の補償はして無いの。効いた?」
「効いたわよっ! 胃もたれが嘘の様に無くなったけどっ、口の中が最悪じゃないっ!」
ふむふむ、やっぱり味が課題だな。ファンガーデンに帰ったら、リティナに報告するか。
「ちょっと、何メモしてるのよ」
「んっ? 実験結果を、メモしてるんだけど」
「実験っ!? 今の実験なのっ!?」
「円堂……」
「なっ、何よ」
「治ったんだから、問題無しだっ」
「問題大有りでしょっ!?」
体に悪いモノは使ってないし、新薬は、試せる時に試さないと、機会が無いからな。
「それじゃあ、円堂の胃もたれも治った事だし、前回の話の、続きをしようか」
「私で実験した事を謝りなさいよっ!」
「煩いなぁ、めんごめんご。ほらっ、これで良いだろ。念の為、ミルンも言うか?」
「ミルンも? ごーめんさいよーっ」
「二人共失礼な子っ!?」
だって、リシュエル顔のスパイ女に、謝る必要なんて無いだろう。
「カツ丼地獄、再開しようか?」
「ぐっ……」
「モゴモゴっ、ご馳走様でしたっ! まだ食べれるけど、お昼まで我慢するっ」
今日は四杯で終了か。昨日から食べっぱなしなのに、良くお腹に入るな。
「ねぇ、一つ良いかしら。そのワンブルの子、どんな胃袋してるのよ……うぷっ」
「ミルンの胃袋は、時々こうなる。以上だ」
「腹八分目っ。動くと直ぐに、お腹が空くの」
「本当に、変な子達ね……」
そうこうしつつも、円堂から色々と、聞き出す事に成功した。
レッツマーダ魔導国とは、祖、シアード・エルファスが興した、生き残っている古代人を、保護する為の国であるらしい。だからこそ、国民は少なく、大国と上手く交渉して、何とか国の形を、保っている状況の様だ。
「シアード・エルファスって、なーんか聞いた事ある様な……無い様な?」
「貴方がお師匠様を、知っている訳無いでしょ」
「お師匠様? えっ、お前より歳上なの?」
「当たり前よっ! お師匠様はハイエルフなんだからっ! 私の何倍も生きてるわよっ!」
ハイエルフって、マジか……院長影さんの親戚とかじゃあ、無いだろうな。
「そんなに長生きなら、俺の父さんとも、会ってるかもな……ハイエルフか」
「父さんって何よ」
口に出してしまっていたか、しくじったな。どうにかして、誤魔化さないと。
「そうだっ、なあ円堂」
「何よ」
「魔龍って言葉、聞いた事無いか?」
「魔龍? それって確か……」
また本を取り出したな。円堂ってアレだな。何かに集中すると、静かになる奴。
「有ったわ。魔龍って、この大陸の魔王と戦ったとされる、歩く災害の事よね?」
「歩く災害って、何?」
「魔王が邪魔をして、飛べなかったから、その巨体で歩き回ったって、資料に残ってるわ」
あいつ、以前この大陸に来た時に、やっぱり問題起こしてたんだな。魔龍状態で歩けば、そりゃあ歩く災害だわ。
「そうか……円堂は見て無かったな」
「魔龍って、黒姫の事?」
「はっ? 今何て言ったのよ?」
「えっとだな。円堂お前、魔龍に会ってるぞ」
「魔龍になんて、会える訳無いじゃない。資料だって、嘘かも知れないし、魔龍が存在するかどうかだって、怪しいものよ」
実際会ってるんだよ。ノブストンの奴等が攻めて来た時に、黒姫に魔龍の姿になって貰ったんだけど、円堂は見て無かったもんな。
「ボソッ(誤魔化し完了)」
これで、俺の父さん云々は、忘れただろう。
「まあコレで、大体の状況は分かった。要は大国ノブストン、レッツマーダ魔導国、傭兵国ディヒケンの三国に、アッジスノード王国が、侵略されている真っ最中な訳か」
「そうよ。でも……この遺跡が使えるのなら、早々負けないでしょうね」
「そう願いたいもんだわ」
三国に狙われるとか、それだけこの古代遺跡が、魅力的なのだろう。ドールが居なけりゃ、使い方すら分からん物だけどな。
「デンバー副団長に、報告するか。先に文書にまとめてから、説明するべきかねぇ」
この話を聞いて、デンバー副団長がどんな反応をするのか、少しだけ楽しみだな。




