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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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11話 毎食カツ丼尋問タイム.2



 ドールが掌握している、地下施設。劣化して、崩れた所も多々有れど、こうして歩いていると、地球に帰って来たかの様な、錯覚に陥る造りだ。


「厨房発見っと、水は出るのか?」


 流し台の上に、蛇口っぽい物があるので、キュッと捻って確認してみる。


「……汚ねぇっ!?」


 水は出た。確かに水は出た。だけど、汚水をまんま、出してます的な臭いをさせ、直ぐに蛇口を閉める。


「水が出たって事は、浄化槽的な物があるんだろうけど……間違い無く壊れてんじゃん」


 ここは自前の、水樽を使うか。

 空間収納から、調理器具一式をだして、円堂に何を食わせるのかを、考えてみる。


「あいつ、米を食いたがってたよな……地平の日の本って、どう考えても、違う世界の日本っぽいし、食べさせてみるか?」


 米を食わせて、情報を吐かせる。若しくは、目の前で俺が米を食べて、自白を促す。


「……この場合だと、やっぱあの料理か」


 昭和の時代の刑事モノに、良く出ていたとされる、自白アイテムの一つ、カツ丼っ!


「鍋に油をドボドボ入れて、火を付け放置と。米を炊いている間に、カツを作るか」


 オークのロース肉に、溶き卵、小麦粉をほいほいと付けて、油の海へゆっくり沈める。

 高温で一気に揚げて、色が変わったら取り出し、コンロの火を弱火にして、再度投入。


「二度揚げは、正義だっ」


 別の鍋に、少量の油と魚醤、玉葱っぽい野菜を入れて、火を付け炒め、そこへ揚げたてのオークロースカツをぶち込む。


「軽く煮込んだら、溶き卵を入れて、卵が固まる前に別皿に避難っと。米は……まだか」


 時間配分をしくじったな。先に米を炊き終わってから、カツを作るべきだったか。

 

「……何枚かカツを作って、空間収納に入れておくか。腐らないから、マジ便利だわぁ」


 そうこうしていたら、米が炊けた。

 深めの皿に米をよそい、その上にカツを乗せ、鍋に残った汁をかけたら、完成。


「そんじゃ、味見しておくか。頂きます。むぐむぐ……やっぱ魚醤だと、味が濃いのか?」


 美味しいんだけど、俺は大豆の醤油派かな。

 和土国に行って、買い込むか? どうにかして、醤油や味噌を作りたい。


「美味しい事には変わり無いし、円堂の目の前に置いて、反応を見てみるとしますか」


 とその前に、ペペルーノにも朝御飯をやらないとだわ。捕虜と言えども、飢えさせて死なす訳には、いかないからな。

 ペペルーノの牢屋は、円堂の牢屋の直ぐ隣。

 牢屋牢屋と、散々言ってるが、ぶっちゃけただの、特殊な部屋なんだけどね。

 

「えっと部屋番号は、(2)(5)(2)(5)(4)(5)(10)っと……この施設、絶対ブラックだっただろ」


 ここの施設の部屋全て、番号を入力して、鍵を回さないと、出入り不可なのよ。


「おーいペペルーノ。起きてるかーっ」


「……チッ、起きてるわよぉ」


「舌打ちすんなよ。ほれ、カツ丼食いねぇ」


「んくっ……何この匂い、美味しそうじゃない」


 そりゃあ、そうだろう。

 この国では食べられない、魚醤と卵をふんだんに使った、肉厚カツ丼だからな。


「一日二食、朝と晩は食わせてやる。タイムリミットは一週間。その間に、何も喋らなかったら……デンバー副団長に引き渡す」


「っ、処刑って訳ねぇ」


「だろうな。猶予は与えてやるから、じっくり考えると良い。情報を吐くなら、デンバー副団長に掛け合って、減刑させるからよ」


「甘いわねぇ、貴方。それで貴族だなんて、私の国だと、笑われるわよ?」


「いくらでも、笑ってくれて良いぞ? 笑った奴全員の尻に、黒姫の角を刺すから」


 あっ、ペペルーノの顔色が変わった。


「冗談よね?」


「うんにゃ、本気も本気。実際俺の領地で、何人かにやった事有るし」


「ひっ、人の心は、無いのかしら」


「一生痔に悩まされるけど、死なないだけマシだろ。こんなん序の口だぞ?」


 ミルンは男を娘に変えるし、ミユンは生きたまま土に埋めて、畑の養分にするからな。

 男としての死か、じわじわ栄養を吸われて死か、痔に悩まされる一生。どれが良いと聞かれたら、間違い無く、俺の刑を選ぶだろう。


「豚野郎の尻に、大臣の顔面を突っ込んだ事もあるぞ。今となっては、懐かしい思い出だ」


「えっ、何それ。大臣って……」


「殺して無いぞ? 多少頭がパァになったけど、ちゃんと牢屋で、暮らしてる筈だ」


「前言撤回っ、貴方は甘く無いわ。今の話が全部、本当だったらだけど」


「はははっ、嘘だとでも?」


 全部本当の話ですからね。なんならペペルーノを、ジアストール城まで連れて行って、懐かしき豚野郎と、面会させてやろうか。

 

「それは無いか……そんじゃ、もう一人のスパイにも、ご飯あげなきゃだから、失礼するわ」


 部屋から出ると、不満そうな雰囲気を発するドールが、こっちを向いていた。


「どうしたドール?」


「不満。鍵を開けているのに、あの者が出て来ません。何故でしょうか」


「お前が居るのに、出る訳無いじゃん」


 古代の兵器が、拷問道具持って、扉の前に陣取っている状況なんだから。


「そのまま、ここで待機してろよ」


「了。燃料残六十五パーセント。待機します」


「……後で充填しろって事ね」


 部屋へ入ると、円堂が三角座りのまま、何やら一人でぶつぶつ言ってる。

 病んだ? 訳無いわな。


「おーい、自称大魔法使い様。米食いたいか?」


「お米っ! それっ、丼モノじゃないっ!?」


 急に大声とか、マジで煩いわぁ。


「食いたいかと、聞いたんだけど?」


「食べたいわよっ!」


「そうかそうか、食べたいか」


 円堂の手が、ギリ届かないくらいの位置に座って、カツ丼を見せびらかす。


「オーク肉と、コカトリスの卵を、贅沢に使用したこのカツ丼を、そんなに食べたいか?」


「意地悪しないで、寄越しなさいよっ!」


「情報を吐くなら、やらんでも無いぞ?」


「悪い子っ……」


 それはお前の事だろう。ペペルーノに、国王夫妻を洗脳させて、他国に情報を流している、スパイなんだから。


「さて、どうするよ。自称占い師様?」



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