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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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間話 アッジスノードの迷宮.5



 只今、アッジスノード王国の首都にある、ビルの軟禁室で、ふて寝中です。

 結局、あの魔物を倒せず、帰って来たの。

 もう無視して、迷宮踏破しようと思い、先へと進んだら、同種の魔物が沢山群がって来て、うんち爆撃をされた。

 あんなの、逃げるしか無かった……。


「ぬぅぅぅっ、悔しいっ!」


「我……以前に、あの魔物と同じ事を、したんぢゃなぁ。もううんちは、撒き散らさぬのぢゃ」


「あの魔物っ、いつか必ず、鶏鍋にするっ」


 そもそも、攻撃がまったく当たらないとか、反則級の強さだと思う。


「ヴォイド大陸の、固有種なのかな?」


「どうぢゃろうの。この我でも、見た事の無い魔物であったから、この地の固有種と言う訳では、あるまいて」


「それなら、迷宮で産まれた?」


「可能性はあるのぢゃ。迷宮は謎が多いからのぅ。神の試練、神の悪戯、星の意思。昔から色々と、云われておるのぢゃ」


 そんなのはどうでも良いっ。ミルン的には、このアッジスノードに居る間に、何としても、あの魔物を倒して、鶏鍋にしたいの。


「動きをもっと先読みして、次こそは……」


「再度潜る前に、迷宮の情報を、集めてはどうぢゃ。下調べは大事ぢゃぞ?」


「黒姫の言う通りっ。デンバーは起きてるだろうから、聞いて来るっ!」


「そうすると良いのぢゃ。あの様な臭い思いは、二度と御免ぢゃからのぅ」


 そうと決まれば、早速行きます。こう言った事は明日にせずに、今日中に終わらせる。

 階段を上がって、十階にお部屋があるの。


「ノックして、失礼しまーす」


 ドバンッと扉をこじ開けて、パキィッてまた鍵が壊れたけど、やっぱり壊れ易いのね。


「ワンブルの子よ……二度目であるぞっ!?」


「言われた通り、ノックはしたの。直ぐに返答しないから、居留守かと思いましたっ」


「数秒ぐらい待てぬのかっ!」


「そんな事より、教えて欲しい事があるの」


「無視だとっ!?」


 名前を教えたのに、ずっとワルブルって言ってくるから、デンバーに払う礼儀は無いの。

 これに気付かない限り、いくら鍵を直しても、またぶち破る気満々っ。


「この目録に書かれてる、近場の迷宮の事を、教えて下さいな」


「どうりで……起きたら部屋が、荒らされておった訳だ。薬には感謝するが、御主のやっている事は、盗っ人と同じであるぞっ」


「ちゃんとデンバーには、伝えたよ?」


 寝ていたから、気付いていないだけっ。


「意識の無い私がっ、聞ける訳無かろうがっ!」


「職務中に寝た、デンバーが悪いの」


「ああ言えばこう言う……」


 ドゥシャに鍛えられたミルンに、口で勝てると思わないでね? わざと相手を苛々させて、煽って煽って呆れさせ、最終的にこっちの要望だけを、押し通すの。


「早く教えて下さいなっ」


「ジアストールの貴族とは、こんな者達ばかりなのか……頭が重い」


「これ飲む?」


 そっと懐から小瓶を出す。


「いや、遠慮しよう。また気絶してしまっては、仕事にならぬ」


 今度のは、普通の回復薬なのに。

 吐き気、胃もたれ、腹痛に、ちょっとした傷も治る、リティナ印のお薬です。


「ふぅ……迷宮の話であったな。近場の迷宮となると、ビルジョの洞窟かね」


「名前は知らないの。くるぽって鳴く、小さな魔物が居る迷宮です」


「その鳴き声ならば、間違いあるまい。新兵の心を鍛える為の、危険の少ない迷宮であるな」


 確かに、命の危険は無かったの。


「心を鍛えるって、なあに?」


「行ったのであろう。ならばビルジョに、翻弄されたのでは無いか?」


「ぬぐっ……ミルンの頭にっ、うんちされたの」


「それに耐えながら、最新部を目指すのだ。騎士たるもの、落し穴に嵌ろうと、糞塗れになろうとも、前に進まねばならぬ」


 ミルンは、うんち塗れは嫌だから、諦めたけど、ここの騎士達は違うみたい。


「デンバーも、うんち塗れになった?」


「昔の話だ……嫌な思い出である」


「うんちデンバー?」


「窃盗罪で、説教部屋行きにすべきかね?」


 ミルンをそんな場所に、放り込んだら、お父さんが発狂して、攻めて来るのに。


「冗談です。それじゃああの迷宮は、宝箱とか、隠し部屋とかは無いの?」


「あの大きさの迷宮に、ある訳が無かろう」


「それは残念っ」


 一気にやる気が失せちゃった。

 あの魔物に挑むのも良いけど、迷宮の楽しみが無いのなら、潜る意味が無いの。


「用はそれだけだから、もう行きます」


「待ちたまえ。盗んだ目録を、置いて行って貰おうか。機密という訳では無いが、大事な資料なのでな」


「黒姫に渡してるの」


「嘘を吐くのは止めたまえっ! 目録の端が、見えておるでは無いかっ!」


「……駄目?」


「駄目に決まっておるわっ!?」


 仕方無い、今は返しておくの。


「ちゃんと元の場所に、んしょっと。これで良い? 返したからね?」


「見ておる……写しておらぬであろうな?」


「紙はお父さんしか、持って無いから、写していないの。残念だけど」


「ならば良い。次同じ事をすれば、説教部屋に放り込むからな。止めたまえよ」


「分かったの、うんちデンバー」


「……っ!!」


 あっ、うんちデンバーが怒ったの。


「また来まーすっ!」


 怒られる前に、即座に退室。

 どうやらこの国は、ミルンの年齢だと、牢屋に入れられずに、お説教部屋と言う、不穏な名前のお部屋に、入れられるみたい。

 お説教は、聞きたく無いの。


「次迷宮に行きたくなったら、また取りに来よう。その時は、ちゃんと写しを作らないとっ」


 お父さん、まだ終わらないのかなぁ。

 紙が欲しいのにっ。



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