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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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間話 アッジスノードの迷宮.3



 じっくりと地面を観察しながら、落し穴が無いかどうかを確認して、一歩一歩進んでます。


「むうううっ、走り回れないっ」


「我慢せよミルン。走った瞬間落し穴ぢゃと、最早笑うしか無いかや」


「落し穴嫌いっ」


 時間がかかり過ぎるのっ。このままだと直ぐに、タイムオーバーで帰る羽目になる。


「この洞窟、妙に明るいの。なんで?」


「ふむぅ、これはアレぢゃ。セーフアースの遺跡と同じく、光鉱石ぢゃのぅ」


「光る壁っ。ここは遺跡?」


「この感じぢゃと、迷宮で間違い無いのぅ。魔物の気配も感じるし、気を付けるのぢゃ」


「かしこまっ」


 ここの魔物は、強いのかな? 感じる気配からすると、妙に小さい気もするけど。それにしても……焦ったいのっ。


「苛々が積もる迷宮っ」


「迷宮ぢゃと、忍耐も必要なのぢゃ。ミルンの得意とする斥候職ならば、尚の事、冷静に行動せねばならぬかや」


「分かってるのっ。冷静に、冷静に……右に曲がって、魔物を発見したのおおおおおおっ!!」


「これミルンっ!?」


 完璧に捉えた。筈だった。

 魔物は『クルッポゥ』と一鳴きする程の余裕を見せ、ミルンの飛び掛かりを回避。そしてまた、落し穴にズポンっと嵌りました。


「……」


「ポッ、クルゥッポッ、ポッ」


「馬鹿にされてる気分なのおっ!?」


「ミルンっ! 動くで無いのぢゃっ!」


「何でっ!?」


 今現在、ミルンの頭の上に、鳥型の魔物が座っていて、苛々が止まらないのにっ。

 

「見た事の無い魔物なのぢゃ。爪も小さくて、毒も無さそうぢゃのぅ……ふむふむ」


「分析してないでっ、助けて下さいなっ!」

 

「待っておれ、今助け────」


 この状況で、黒姫までもが、また落し穴に、ズポンっと嵌ったの。


「クルゥポッポッ、ポッポッ……ポホッ」


「なっ、こやつ今笑いおったのぢゃっ!?」


「鍋にしてやるのっ! 絶対に捕まえてっ、鶏鍋にしてやるのおおおおおおっ!!」


「ポーッ、ポホッ」


 魔法を使って、落し穴から脱出し、魔物に向かって飛び掛かるが、何故か避けられる。


「ぬぅぅぅ、当たらないっ」


「よいしょっ、ふぅ。その魔物、動きは遅い癖に、良く避けておるのぢゃ」


「魔物のスキル?」


「可能性はあるのぢゃ。攻撃する力が無い変わりに、避ける事に、特化しとるのぢゃろう」


 お父さんに似てるの。しかも、体が小さい分、下手をしたら、お父さんよりも厄介。


「ポホッ────」


「あっ、飛んで逃げたのっ!?」


「追いかけんで良いのぢゃっ! 不用意に動けば、また落し穴に嵌るかやっ!」


「ぬぎぎぎっ、屈辱っ」


 今まで、色んな魔物に会って来たけど、馬鹿にされたのは、初めてです。必ず捕まえて、その場で鶏鍋にしてやるのっ。


「一旦落ち着くのぢゃ」


「うんっ。すぅぅぅ、はぁぁぁ」


「のぢゃ? のうミルン。頭に何か付いて……」


「何が付いてるの?」


 頭を触ると、何やらベチャッとしたものが、手に付いたので、確認してみた。


「……うっ、うんちっ!?」


「ミルンやっ、これで洗い流すのぢゃっ」


「あの魔物……ミルンの頭に……うんちした?」


 黒姫から水袋を受取り、しっかりと洗い流して、手拭いでちゃんと、拭き拭きします。


「ねえ黒姫?」


「なっ、何ぢゃ?」


「この迷宮って、広い?」


「どっ、どどどうぢゃろうの……」


 その場で屈伸をして、息を整える。

 さっきの魔物の臭いは、しっかりと覚えたから、今からでも、追いかけれるの。


「うふふふふふふふっ」


「みっ、ミルンや。この迷宮で、我を忘れるのは、あまりにも、きっ、危険なのぢゃっ」


「大丈夫だよ?」


「目が怖いのぢゃっ!」


 懐に仕舞っている、斬撃効果付きのナイフを、二本取り出し、両手に構える。


「あっ、駄目ぢゃ……本気で怒っておるっ!?」


「黒姫。今日のお昼は、鶏鍋にするの」


「その目をこちらに、向けるで無いのぢゃっ!」


 あの魔物を追うにあたって、落し穴に嵌まらない様にする為には、どうすれば良いのか。

 そんなの、簡単な事なの。

 地面を歩かなければ、良いだけの話。


「ねえ黒姫……飛んで?」


「ぬぐっ、この姿で、ミルンを乗せろと?」


「飛んで」


「分かったからっ、その目を止めるのぢゃっ!」


 ミルンを抱っこする様に、黒姫が背中に引っ付いて、小さな翼でパタパタと、地面からほんの少し、浮いた状態で移動する。


「最初から、これで進めば良かったの」


「いやっ、我が普通に疲れるかやっ。今も結構っ、ギリギリなのぢゃぞっ」


「すんすんっ。あの魔物に近付いてるっ」


 大人の姿になれば良いのに、黒姫は何で、小さい姿のままなんだろう。そんな事を思いながらも、迷宮の奥へと進むんだけど、あの鳥の魔物以外、全然姿が見えない。


「変な迷宮なの。落し穴ばっかりで、魔物が襲って来ない。なんで?」


「人を襲わぬ魔物も、そこそこ居るのぢゃ。ゴブリンイーターなどが、良い例ぢゃのう」


「なにその魔物? 聞いた事無いの」


「そうかや? 兎族と同じ耳を生やした、温厚な魔物なのぢゃ。地域によっては、守り神扱いされておるのぅ」


「兎耳……お父さんなら、喜びそうっ」


「ぬっ、奥に広い空間があるのぢゃ」


 広い空間っ! 臭い的にも、あの鳥の魔物が居る事は、間違い無いの。捕まえて魔石を取ったら、鶏鍋にして食べるっ。絶対に……逃さない。



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