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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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間話 アッジスノードの迷宮.2



「くーろーひーめええええええっ!」


「のぢゃっ?」


「とう──っ!」


 黒姫を発見したので、走った勢いそのままに、ドゥシャ直伝"首狩り落とし"をお見舞いして、『ごふうっ!?』黒姫を縦回転させてみた。

 ヒュンヒュンとその場で回転して、床にビタンっと叩き付けられる、必殺技なの。


「これミルンっ! 何をするのぢゃっ!」


 何事も無かったかの様に、無傷……。


「ぬぅ……やっぱり、黒姫には通じ無い」


「我で実験するで無いわっ!?」


「普通の人にやったら、危ないでしょ?」


「流にすれば良いのぢゃっ!」

 

 お父さんにしようとすると、背丈が合わないから、威力が出ないの。そのまま捕まって、肩車されちゃいます。


「黒姫やゴブリンなら、丁度良い大きさっ」


「ゴブリンと同じ扱いぢゃとっ!?」


「黒姫はお暇?」


「スルーされたのぢゃっ!?」


 時間が勿体無いから、話を進めるの。


「近くに迷宮があるから、付いて来てっ」


「……唐突ぢゃのぅ」


「付いて来てくれないと、黒姫のお酒を全部、アルテラに呑ませるの」


「やめぬかっ!? まったくっ、流の悪い所ばかり真似しおって……」


 そんな事は無いの。むしろこう言った事は、ドゥシャから学びました。敵以上仲間未満の相手と、黒姫だけには、手加減不要。


「と言う事で、迷宮へゴーっ!」


「強制かやっ!?」


「強制って、なあに?」


「無理矢理言う事をっ、聞かせる事ぢゃっ!」


 それならコレは、強制じゃ無いよね? 


「ボソッ(お酒、教会に寄付……)」


「っ……行くのぢゃっ! 行けば良かろうっ!」


「むふふっ、流石黒姫なの」


 アッジスノード王国の首都から、東に徒歩五分の距離にある、小さな迷宮。

 目録によると、もっと先に行けば、未踏破の迷宮もあるらしいけど、今日の目的は、動き回りたいだけだから、放置します。


「ここが、迷宮?」


「この形状から見て、超初心者向けぢゃのう。冒険者の色無しでも、問題無かろうて」


「遊び場に、最適な場所っ」


 パッと見ただの、小さな洞窟の入口。

 踏破済みなのに、入口があるって事は、核となる何かは、そのままにされているっぽい。


「迷宮の核って、見た事無いの。黒姫なら、どんな物なのか知ってる?」


「核のぅ……迷宮によって、変わるのぢゃ。大型の魔石や、意思を持つ武具などかや。この様な迷宮ぢゃと、魔石であろうて」


「意思を持つ武具? この迷宮には無い?」


「無かろうの。若過ぎるのぢゃ」


 迷宮が若過ぎる? それなら、ミユンが潜ったって言ってた迷宮なら、可能性がある?


「ぬぅ……意思を持つ剣か、斧が欲しい」


「欲しいと思っても、手に入らぬ物の、代表格ぢゃろうの。この我でも、数える程しか、見た事が無いのぢゃ」


「それは、レア過ぎるっ」


 生きた化石の黒姫でさえ、数える程しか見た事が無いなら、ミルンには難しいの。


「ふんっ! 気を取り直してっ、行くのっ!」


「油断はせぬようにの。超初心者迷宮と言っても、死ぬ時は死ぬのぢゃ」


「油断はしないっ。全力で……遊ぶのっ!!」


 そう意気込んで、迷宮へと入った。

 一歩を踏み出した。筈だった。

 

「……ねえ黒姫?」


「何ぢゃミルン?」


「出して?」


「油断せぬようにと、言ったぢゃろうに」

 

 迷宮に入って一歩目で、落し穴にズポンっと嵌り、顔だけ出た状態になりました。


「一歩目で落し穴はっ、分かる訳無いのっ!!」


「うむぅ……確かに、我でも察知出来なんだ」


「早く出して下さいなっ!」


「ちょっとま────」


 ミルンを助けようとして、近付いた黒姫も、ズポンっと落し穴に嵌り、頭まで埋まって、角だけが見えてる。


「何この迷宮っ!?」


「むぐぐぐっ、のぢゃぷっ……顔を出せたのぢゃぁっ。ミルンや、大丈夫かや?」


「ふんぬっ! 大丈夫だけど、中々抜け出せないっ! 綺麗に嵌ってるのっ!」


 罠を見破る斥候部隊のリーダーが、こんな醜態を晒すなんてっ、恥ずかしいっ。


「許すまじ迷宮っ……踏破して、核を壊してやるのおおおおおお──っ!!」


 魔法を使用して、周りの土をごっそりと削り取り、何とか脱出に成功。イコール、魔法が無ければ、長時間放置プレイだったの。


「黒姫も早く出るのっ」


「……手伝ってはくれぬかや」


「魔法を使えば、ささっと出れるよ?」


「我、こう見えて、大技以外は苦手なのぢゃ」


 確かに、この黒姫。お父さんが集中して使うような魔法を、ポンポンと撃てるのに、他の魔法を使っている姿を、見た事が無い。


「仕方無いっ。んしょっ、んぐぐぐぐっ!」


「首が伸びるのぢゃああああああっ!?」


「えいやっ!」


 ズボっと、ミユンの畑で時々採れる、大きな大根を抜いた様な、達成感を得ました。


「……首が痛いのぢゃぁ」


「直ぐ治るでしょっ。行くの黒姫っ!」


「分かってるのぢゃっ」


 気を取り直して、再出発。の、筈だった。


「黒姫……」


「なんぢゃ……」


「この迷宮嫌いっ」


「同感ぢゃのう」


 本日二度目の落し穴。

 入口から、五歩目の位置だろうか。

 油断せずに進んだのに、罠が感知出来ないなんて、意味不明な迷宮です。


「むきいいいいいいいいいっ! 魔法の無駄撃ちをさせられてるのっ! 許せないっ!」


「ふむぅ……厄介な迷宮っぽいのぅ」



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