間話 アッジスノードの迷宮.1
あの間諜を達を捕まえてから、お父さんは忙しそうなので、今日は一人で冒険するの。そう意気込んで、色々見て回っているけど、面白味に欠けます。
「……首都なのに、露店も無いっ」
しかもこの場所、獣族が少ないの。
子供達も、皆んな引き籠もってばっかりで、誰もお外で遊ば無い。
「何でだろ?」
お父さん曰く、机に向かってのお勉強も、大事だけど、体を動かして、自分の目で見て触って、色んな体験をする事も大事って、言ってたから、この国は不思議です。
「どこかでうんと、体を動かしたいなぁ」
そんな時は、地元の人に聞いてみます。
デンバーなら、お部屋にいるかな。そう思って、お部屋の前まで来ました。
「失礼しまーすっ!」
ドバンッと扉をこじ開けて、パキィッて鍵が壊れたけど、脆い物を使ってるのね。
「ワンブルの子よ……先ずはノックをして、誰か居るかを、確認するのだっ」
「確認したら、蹴破って良い?」
「蹴破らずともっ、待てば鍵を開けるであろうっ……あの者と言い、君と言いっ……」
「居留守をされてたら、分から無いよ? お父さんなら、絶対居留守するもん」
「常識を覚えるのだっ!?」
お父さんを基準に行動したら、怒られたの。
次からはノックして、鍵に手をかけた瞬間を狙って、扉を開けてみよう。
「その尻尾……何か良からぬ事を、考えておるであろう。君は礼儀を、学ばなかったのか?」
「学んだよ?」
「学んでその行動なのかねっ!?」
「ちょっとしたお茶目です。言い方を変えると、暇だから遊んでるだけっ」
「余計にタチが悪いぞっ!?」
このデンバーって言う人、どことなくリティナに似てるの。顔とかじゃ無くて、残念な雰囲気が、そっくりなの。
「今お仕事中?」
「ふぅふぅっ、そうだ。捕縛中の、二人から得た情報を、まとめておる」
「ミルンはお邪魔?」
「ぐっ、そこまでは言ってないだろうっ」
「なら、お邪魔して良い?」
「邪魔をするならば、出て行ってくれっ!」
やっぱり、残念な雰囲気がします。お父さんがコレを知ったら、デンバーは過労死するの。
「聞く事聞いたら、出て行くの」
「……何が聞きたいのだ」
「どこか、暴れても問題無い場所って、なあい? あったら教えて下さいな」
「物騒過ぎるっ」
「無かったら、このお部屋で暴れるっ」
「今度は脅迫かっ!?」
準備運動からの、お部屋の壁を使った、オリジナル体操を始めます。
この建物の壁は、中々堅いから、ミルンの本気を出したとしても、問題無いの。
「しゅっ、しゅっ。頑張ってこの壁を、叩き壊せる様になるのっ!」
「壊すで無いわっ!?」
「なら、暴れる場所を、下さいなっ」
デンバーが、頭を抱えたの……。
そう言えば村長も良く、お父さんの尻拭いで、頭を抱えて居たの。
「お薬あるよ?」
「頭が痛い訳では無いっ」
「仮病?」
「そう言う事ではなああああああいっ!?」
今度は大声? 疲れてるのかな。仕方無い。あのお薬を、飲ませてあげよう。
「疲れたら、元気の源これ一本っ」
デンバーの前に、コトっと小瓶を置く。
「何だねコレは……」
「飲んだら、三日は寝れなくなる程元気になる、ただの栄養剤。飲んでみてっ」
「薄緑なのだが、飲んでも平気なモノなのかね。毒では無いだろうな……」
「毒じゃないの」
嘘は言って無い。正確に言うと、世界樹の葉を煮詰めた後に出る、残りカスと、オークの心臓、ミノタウロスの角の粉、各種薬草を混ぜ込んだ、リティナ印の栄養剤。
オークの睾丸を使った精力剤より、効果はイマイチだけど、それでも目がバキバキになる、美味しく無い栄養剤なの。
「心労、肩こり、頭痛になったら、これ一本っ」
「先程は元気の源と、言っておっただろ。まあ良い。毒で無いなら、頂こう……(ゴクっ)」
「どう? 疲れ取れた?」
ジッと見詰めて、効果を確認。そう思っていたら、『ゲフッ……』デンバーはそのまま、机に顔面を打ち付けて、寝てしまった。
「……効き過ぎたの」
折角、動き回れる場所を、聞こうとしたのに、これじゃあ意味が無い。仕方無いので、お部屋を物色します。
「んー、ここの地図は無いかなぁ」
棚や机の引き出しを、ゴソゴソ漁っていたら、一枚の地図らしき物を発見。
「地図? えっと、"攻略済みの迷宮目録"……迷宮っ!? 遊んでも問題無い場所っ!」
一番近い迷宮だと、ここから東に徒歩五分の場所に、迷宮が存在するのっ。
「これは……行くしか無いっ!」
目録を懐に仕舞って、デンバーを放置したまま、部屋から飛び出す。
一人で勝手に行くと、お父さんに知られたら、毎日お野菜の刑にされるから、ついでに黒姫も、連れて行こう。
「何か起きても、黒姫の所為に出来るっ。何処にいるのかな……すんすんっ、あっちっ!」
次回は3月21日0時30分頃更新!




