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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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10話 年齢不詳の古代人.4



 ジュウウウっと鉄板の上で、肉から染み出した油が、顔に向かって跳ねて来る。部屋に煙が充満して、ダイレクトに目を刺激するが、これぞ、焼肉の醍醐味だろう。


「旨んめぇーっ。バラ肉だけじゃアレだから、タンとハラミも焼きますか」


 薬味をちょいと、タンを焼く。

 薄切りにしてあるから、片面焼きでもしっかりと熱が入り、これは塩で頂こう。


「ん──っ、このコリコリ感が、堪りませんなぁ。お次はタレを付けてっと。ついでに明日の分も、下拵えしておくか」


 深皿を出して、ハラミをタレで揉み揉み。


「絶対旨いヤツじゃん。んじゃ、残りのハラミを、焼き焼きと……白米食べたい」


 異世界だろうと、焼肉に白米は、正義っ! そう思うので、米炊きの準備だ。

 空間収納から、予備のコンロ、土鍋、ファンガーデン産の米、水樽を取り出す。


「土鍋に米と水を入れて、優しく米研ぎしたら、水を入れ替えてっと。あとは火を付け、待つばかりっ……野菜も食べておくか」


 葉野菜を出して、軽く水洗い。肉を包んで、もしゃもしゃと食べる。

 最高です。

 肉ばかり食べると、胃もたれするからな。胃薬なんて持ってないし、気を付けないとだ。


 ゴンッ────「何っ!?」


 急に壁から、凄い音が聞こえた。方向的に、ミルンが待機してる部屋だろうか。


 ゴンッゴンッ────「またかっ」


 まるで、俺がお肉を一人占めしている事に対する、抗議の様だ。


「抗議をして来るって事は、ミルン達のご飯には、お肉が無いのか?」


 前見た時は、干し肉齧ってたよな? あの干し肉って、ソードファングの肉だろうか。


「ジュラ紀っぽい肉の……干し肉」


 食べてみたい気もするけど、さっきからゴゴゴゴゴッと、壁を連打する音を聞く限り、ミルン的には、かなり御不満なのだろう。


「いくら叩いても、ここは牢屋だからなぁ。食べれるのは、俺だけだぞーい」

 

 ミルンがここに来るなら、ご馳走しても良いんだけど……出入口は何処だろうか。

 そんな事を思っていたら、ガゴッと天井から音がして、扉の様に開いた。


「天井にあったのか……」


「煙たっ!? 貴方何してるのっ!」


「えっと……誰だっけ?」


「自己紹介したじゃないっ! 円堂(えんどう)兎留美(うるみ)よっ!」


 そうだったそうだった。ずっと放置されてるから、名前忘れんだよなぁ。


「何か用か? 今ご飯中なんだけど?」


「何でご飯があるのっ!?」


「んなもん、お前らが食べ物くれないから、自分で用意したに、決まってるだろ」


「そうじゃ無くてっ、何処から出したのよっ!」


「そんな事、お前に言う訳無いだろ」


 ギャンギャン煩い奴だ。リシュエルはウザい奴だが、こいつは面倒臭い奴だな。しかも顔が似てるから、ムカつき度も鰻登り。

 

「貴方反省しない子ねっ!」


「へいへい、御免なさいねーっ。おっ、米炊けたかなぁ、良い感じじゃん」


「人の話をっ……お米っ!?」


 上のあいつは無視だな。

 そんじゃぁ、米をよそって、その上にハラミを山盛りにしてっと、完成っ!


「ハフハフっ、旨んめぇーっ!」


「ちょっ、何でお米が有るのよっ!? それにその肉っ、美味しそうじゃないっ!」


「んぐんぐ、やっぱり米は最高だぁ」


「くっ、それ寄越しなさいよっ!」


「一粒金一キロと、交換なら良いぞ?」


「……貴方何言ってるのっ!?」

 

 米を見て、血相を変えたと言う事は、どうやらこのアッジスノードでは、米の栽培をしてないっぽいな。


「ここ数百年米を食べて無いのよっ! 少しくらいくれても良い『邪魔なのっ!』じゃぶっ!?」


 あの女、吹っ飛んで行ったなぁ。それに、数百年米を食べてないって……マジで何歳だよ。


「んしょっ、とうっ!」


 シュタっと飛び降り、すかさず箸を持ったのは、勿論、肉食系犬耳娘のミルンだ。


「お肉を下さいなっ!」


「はいよ。ご飯を盛り盛り、ハラミをのせて、ミルンは特盛りだよな。ほいどうぞ」


「じゅるっ……頂きますっ!」


 この涎具合から見ると、ここのご飯は相当、ミルンのお口に合わない様だ。

 特盛ご飯が、ものの数秒で消えました。


「お代わりっ!」


「炊いたご飯は、これで最後だからな」


「お肉食べるから、平気っ」


「そりゃそうだ。今度はゆっくり食べなさいな」


「りょっ」


 一人飯も悪く無いが、やっぱりこうして、誰かと食べるご飯の方が、美味しいよね。

 

『むっ? 何故扉が開いて……占い師殿っ!?』


 デンバー副団長の声が聞こえたな。あの女、ミルンの不意打ちを食らって、生きてるのか?


「なあミルン。ちゃんと手加減したか?」


「モゴモゴんぐっ、勿論なの」


「なら大丈夫か」


 にしても、あの女やデンバー副団長が来たって事は、そろそろ牢屋から、出られるのかね。


「今は飯時だから、後にして欲しいぜ」


「うまうまぁっ!」


「うしっ! 肉をモリモリ焼くぞーっ!」


「焼くのっ!」


 そりゃもう食べましまとも。

 天井の開いた扉から、匂いを嗅ぎ付けた騎士達が、ガン見して来たけど、これ見よがしに食べまくりました。


「げふっ……ご馳走様」


「もうっ、食べれないのっ」


 その後直ぐに、梯子が下されて、不貞腐れたあの女と対面し、話をする事となった。

 もの凄く、面倒臭いわぁ。


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