10話 年齢不詳の古代人.3
自称、大魔法使い、円堂兎留美。
若干タレ目で、全体的におっとりとした、あの糞リシュエルに似た顔を持つ、見ていると、再度グーパンしたくなる、見た目の奴。
「……古代人ねぇ」
自称、占い師。
自称、大魔法使い。
自称、古代人。
全てに自称が付くとか、ヤバ過ぎるわぁ。
「何か失礼な事を、考えてるでしょ」
「考えてない。んで、確認なんだけど。本当にリシュエルを、知らないんだな?」
「だから知らないわよっ! 誰よそれっ!」
「いちいち煩いっての」
こいつ、見た目はおっとり系なのに、喋るとギャンギャン煩い、迷惑系ですわ。
「リシュエルとは、関係無しか……」
「先走りおって。我が止めねば、その娘……間違い無く、消し飛んでおったのじゃ」
「そうよっ、何で攻撃して来たのっ! 私何もしてないのにっ! 貴方悪い子ねっ!!」
「悪い子って、マジで何歳だよお前」
「言わないって言ったでしょっ!」
黒姫の言う通り、止めて貰って無かったら、殴った後のトドメのミルン砲で、消し飛ばすつもりだった。
「危うく人殺しとか……黒姫、済まん。止めてくれて、有難う御座います」
「ふふんっ、礼は酒で良いのじゃ」
「分かった」
となるとだ、これは非常に不味いぞ。
国付きの占い師に、初対面で魔法を撃って、謁見のお部屋に、穴を開けた訳だ。
しかもこの惨状よ。
地面が砕けて、瓦礫が散乱しております。
「さてぇっ……どうしようか」
「先ずは私に謝りなさいよっ!? 貴方悪い子に加えてっ、失礼な子になりたいのっ!」
「あ──うん、めんごめんご」
「失礼な子っ!?」
あまりにもリシュエルに似てて、忌避感と言うか、嫌悪感しか湧かないの。
「失礼で悪かったな。そんじゃっ、ミルンと合流して、とんずらしますかっ」
「逃げるのかや? そこの娘が、御主に用があるから、謁見出来たのじゃろ?」
「そうよっ! 逃す訳無いでしょっ!」
そう言えば、そんな話してたな。でもなぁ、人が居る事を確認出来たし、謁見もしたし、逃げたい気分真っ盛り。
「黒姫さんや……走るぞっ!」
「ふむ、仕方無いのぅ」
「はっ? 待ちなさ────」
残念だが、ただ走るだけなら、俺はエンペラーマッスルホースより速い。これだけなら、ドゥシャさんにも勝てるぞ。
「ミルンと合流したら、再度穴からジャンプして、そのままこの国を出るぞ」
「更に先の調査じゃな」
「そうそう。逃げるついでに、調査再開だ」
ビルに突入して、階段を駆け上がり、騎士達がわらわら居たので、『流ダンプカーっ』で吹き飛ばしながら、十五階へと到着。したんだけど、ミルンとドールは何やってんの?
「ぬーんっ、こぇっ!」
「ぬふふ、甘いの。ここっ!」
「まけちゃ……もういっかいやゆっ!」
「かかって来るのっ」
ミルンは何故か、知らない幼児と、ボードゲームで遊んでいるんです。
「ドール様。ここの問題が、分からないのですが、どうすれば解けますか?」
「否。それを考える事こそ、勉強に御座います」
「ドール様。お兄様ばかりお相手をして、狡いですわ。私のお勉強も、見てくださいまし」
ドールは何で、子供達に勉強を教えてんの? と言うか、子供多くね?
「何この和やかムードっ!?」
「気付いておらなんだか。彼奴らは、あの壁の奥で、隠れておった者達じゃのぅ」
「気付いてたんなら、言えよ……」
男女三人ずつの、子供達。服装から見て、国王夫妻の、子供っぽいな。
「じゃ無いっ! ミルンっ! ドールっ! 撤収準備だっ! ささっと逃げるぞっ!」
その俺の声を聞いた、"子供達全員"が、一斉にこっちを向いて、俺をロックオン。
「ちょっ……」
「ふむ、ミルンが笑うとるのぅ」
「っ、あの国王っ……子供を使って、ミルンを丸め込みやがったなっ」
この廊下からでも見える、国王の穏やかな顔からは、悪意のカケラも感じない。
だからこそ、ミルンは敵対しないんだ。
「ミルンっ! 帰るぞーっ!」
何やらミルンの周りに、子供達が集まって、ヒソヒソ話をし始めた。
「っ、嫌な予感しかしないぞ……」
「そうぢゃのぅ」
「えっ!? 何でお前っ、ぷにっとモードになってんの!? 逃げ辛いだろそれっ!」
「直感なのぢゃ」
その直感は、良い方なのか、悪い方なのか。何て考える必要は無いよね。
「部屋の中に居る、ミルンの目が、遊ぶ気満々に、輝いているんだもん……」
「お父さんを捕まえるのおおおおおおっ!!」
「つかまえゆっ!」
「逃しませんわっ!」
「えっと、ここの問題は……」
ほらね? 子供達を指揮して、襲いかかって来るとか、良く考えているわぁ。
六人中三人が、迫ってくんのよ。
その内の一人は……何で勉強したまま?
「逃げるしか無いかっ……黒姫?」
「なんぢゃ?」
「何で俺の足を、掴んでんの?」
「それは……ミルンが怖いからぢゃっ」
あぁ、ですよね──っ。
そうして俺は、子供達に揉みくちゃにされ、デンバー副団長に捕まり、目隠しのまま、牢屋にぶち込まれたんだ。
回想終了っ! 四月五日、夕方五時になったので、小腹が空いて目が覚めたわ。
「ふわぁぁぁふ、夕飯何にしようか」
ミルン達は、不自由な扱いをされていない様だし、それだけは、国王に感謝だな。
「牢屋……いつ出れるんだろ」
空間収納から、鉄板とコンロを取り出して、ミノ肉のバラで、一人焼肉パーティーです。
秘伝のタレが、合うのよマジで。
「ミルンの好物なのに、一人占めだな」




