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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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10話 年齢不詳の古代人.2



 ビルの十五階の高さは、凡そ四十五メートル程だと、何かの本で見た事がある。その高さから落下して、果たして無事で済むだろうか。


「そーらを自由にって、猫型ロボじゃあるまいし。このままだと、落ちるなぁ。豪炎っ! おおっ、飛べそうっ!」


 連続豪炎かませば、あの部屋に戻れ……あの糞リシュエル、穴からこっちに手を向けて、何しようとしてんの?


「おいおいおいおいっ! 殺る気満々かよっ!」


「セカンドボムズっ!」


「豪────っ、発動早過ぎっ!?」


 空中で逃げ場の無い俺に向かって、追撃の魔法を、発動しやがった。


「ぐっ!?」


 頭上で魔法が炸裂して、ボヒュンッと言う音と共に落下して、そのまま地面を砕き、めり込みました。


「……昔のギャグ漫画で、落下したら人の形に、穴が開きましたなんて、ある訳無いからな?」


 魔神化解かずに、正解だわ。この鎧が無かったら、ダメージ通ってたかも知れん。


「にしてもあいつ……何で黒姫と戦った時の様な、イカれた魔法を使わない?」


 めり込んだ地面から、ゆっくりと抜け出して、ビルを見上げ、驚いた。


「マジか……何で"滞空"しないんだっ」


「サードボムズっ!」


 あのリシュエルが、普通に"飛び降りて"来て、更なる追撃の魔法を、撃ち込んで来た。

 

「同じ手がそう何度も、通じると思うなよっ!」


 めり込んだ穴に、背を向ける様に倒れ込み、受ける範囲を限定して、魔法を受け切る。


「ぬぉっ……やっぱり、威力は然程高く無いな」


 この魔法の面倒なところは、衝撃による吹き飛ばしのみ。地面にめり込んでいる、この状況ならば、その心配も無いし、反撃が出来るっ。


「上に放てば、被害も少なくて済むだろ……加減無しのっ、"豪炎"だああああああっ!!」


 随分と前に、セーフアースの海辺で放った、広範囲にまで、海水を蒸発させる程の威力。

 空中なら、逃げ場なんて無いだろ。

 こんがりリシュエルの、出来上がりだ。


「フォースボムズっ!」


 パンっと豪炎が爆ぜ、掻き消された。


「嘘ぉ……っ、なっ!?」


 それと同時に、落下の勢いを乗せた全体重を、俺の腹部に、突き刺して来た。


「硬っ、ラストボム────」


「糞があっ!!」


 なりふり構わない、ぶん殴り。それをリシュエルは避け、穴から飛び出して行く。


「痛っ、鎧に穴開いてんじゃん……マジかよ。アトゥナ並みのパワーを、持ってんのか」


 知覚を使うと、リシュエルは穴の直ぐ近くで、俺を待ち伏せている。


「さっきのあの顔……俺を揶揄うって言うより、必死に倒そうって感じだったな……」

 

 余裕が無い顔って、あのリシュエルが? 可笑し過ぎて、気味が悪いぞ。


「それに、さっきのアナウンス……目の前に居るのに、何で頭に響かせたんだ」


『出て来なさいっ! 出て来て挨拶してっ!』


 何か言ってるな。挨拶しろ? そんなん四年前に、済ましているだろうに。


『挨拶出来ない子は悪い子だってっ、小さい頃に習ったでしょっ!』


 国王様への挨拶は、ちゃんとしたぞ。俺にしては珍しく、敬意を持って挨拶した。


「お前巫山戯るのも大概にしろよっ! 俺の家族で遊びやがってっ! 良い加減顔面の一発でも殴らせろっ!」


「私はそんな事してないわっ! 人違いよっ!」


「うらぁっ!!」


「ぶふ──っ!?」


 顔を覗かせて来たので、見事にその鼻っ面に、拳がめり込みました。ゆっくりと近付いて来てたの、知覚で丸分かりだったから、ジャストミートだ。


「よっしゃああああああ──っ!」


 勢い良く穴から飛び出し、鼻を押さえているリシュエルにもう一発と、全力の拳を振るったが、『止めぬか馬鹿者っ!』何故か黒姫が、その拳を受け止めた。


「おい黒姫……どう言うつもりだ」


「止めよと言っておる」


「おまっ、それリシュエルだぞ? お前ともバチ糞殺りあった、リシュエルだぞ?」


「戯け。コレの何処が、リシュエルじゃ。何処からどう見ても、ただの人じゃぞ」


「はっ? 人? それが人?」


 もう一度、しっかりと顔を見てみる。

 

「あれっ……黒髪? でも顔はリシュエル。なあお前、リシュエルだよな?」


 さっきまで金髪だったのに、今は黒髪。この一瞬で、染めたのだろうか。

 鼻を痛そうに押さえて、無様な姿乙っ。


「リジュベルっでだでよっ!」


「えっと……なあ黒姫?」


「何じゃ」


「あの顔どう見ても、リシュエルなんだけど」


「多少似とるが、別人じゃ。そもそも、依代の力も感じぬし、リシュエルならば、今頃この地は更地じゃろうて」


「あ──納得」


 以前黒姫と、リシュエルが戦った時は、地上終わるんじゃね? と思った程に、ヤバい魔法を撃ち合っていたからなぁ。


「えっとぉ……占い師さん。貴女の名前を、お伺いしても、宜しいでしょうか?」


「ずずっ。円堂、円堂(えんどう)兎留美(うるみ)。長き時を生きる、大魔法使いよ」


「厨二病乙っ!」


「その言葉っ、やっぱり()()()古代人なのねっ!」


 古代人? 違います、現代人です。古代人と言うのは、人間音速大砲や、ドールやドーツを作り上げた、頭の愉快な奴等の事です。


()()()? その言い方だと、お前は古代人と言う事になるが?」


「長き時を生きるって、さっき説明したじゃない。人の話は、ちゃんと聞きなさいって、教わらなかったの」


「……今何歳?」


「言う訳無いでしょっ!?」



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