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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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9話 朕を探してヴォイド大陸.1



 魔神様と別れて、丸一日。

 面白い位に、魔物に襲われるが、報告書にあった魔物では無く、別種の魔物の様だ。


「ふんっ! アレス様のご指示です」


 地中から突然現れ、マロンを捕食せんと、その牙だらけの口を大きく広げ、襲いかかって来るが、マロンの拳一発で爆散する。

 見た感じ、ワーム系の魔物だろうか。


「ふんっ! アレス様のご指示です」


 正直言って、敵では無いのだが、マロンばかりが狙われるので、私は暇なのだ。何故この魔物達は、私に向かって来ないのだろうか。


「ふんっ! アレス様のご指示です」


 それにしても、マロンは強くなったと思う。

 毎日欠かさず、私と模擬戦をしているし、影の下部組織、雲の中であれば、間違い無く一番の実力だろう。


「ふんっ! アレス様のご指示です」


 それでもまだまだ、脇が甘いな。


「マロン、全体的に気配を探れ。見えてから攻撃では無く、見える前に動いて、相手に攻撃する隙を与えるな」


「ふんっ! 分かりましたっ」


 こうして、マロンの訓練をしつつ、海沿いを歩いているが、本当に何も無い。

 歩けど歩けど、魔物しか来ない。

 

「ふぅ……アレス様、殲滅完了しました」


「ああ。魔石を抜き取り次第、先へ進むぞ」


「畏まりました」


 もしこのまま、食えそうに無い魔物ばかりと遭遇するならば、長期の探索は無理……か。


「せめて、ソードファングとやらが来てくれれば、腹も満たせるのだがな……」


 生息域が違うのか、姿を現さない。

 流石の私でも、ワーム系の魔物を食べるのは、危険過ぎて無理だな。


「アレス様。魔物の死骸の中に、小さな粒々が有るのですが、コレは何でしょうか?」


「矢張りか……絶対に口にするな。ワーム系の魔物は、色々と寄生され易いからな。他の魔物の卵だろう」


「分かりました。アレス様に従います」


 このまま崖に沿って進むか、少し陸地寄りを進むか、悩む所ではある。

 左手は崖となっており、その下は海。しかも渦の所為で、落ちたら私でも、助からないであろう、荒れた海だ。

 釣り糸を垂らしても、魚は捕れまい。


「アレス様、終わりました」


「良し、先へ進むぞ」


「はい」


 魔物の情報を紙に記しながら、またひたすら崖に沿って、真っ直ぐ進む。緩やかな下りになっているので、若しかしたら、砂浜が有るかも知れない。


「マロン。周囲への警戒を、怠るなよ」


「畏まりました」

 

 そうしてまた、歩く事一日。変わり映えしない風景に、内陸地へ行こうかと本気で考えたその時、マロンが突然倒れた。


「マロンっ!」


「アレス様……体が動きませんっ」


 直ぐ様体温を確認し、服をめくって、体に異常が無いかどうかを探る。

 頭、顔、胸、腕、腹、脚には、異常は無し。背中や尻にも、異常は見られない。そして、目線を少し上にした時、その異常を発見した。


「っ、コレかっ!」


 首の後ろの、小さな穴。

 

「虫系の魔物っ、少し切るぞ。我慢しろ」


「はい……っ、ぎっ!?」


 穴を少し切り、確認する。

 

「あのワームの子供? あのワーム自体も、寄生するタイプだったのか……」


 小さな小さな、幼虫みたいなモノが、マロンの中へゆっくりと、入ろうとしていた。

 

「……火だな」


 皮袋から、火打石を取り出し、木屑を集めて直ぐに火を付け、ナイフを炙って、それをマロンの首の穴に、慎重に刺し込む。


「ぎぃっっっ」


「動くなマロンっ!」


 ただでさえ、首の奥へと、魔物が入り込もうとしているのだ。少しでも手元が狂うと、首の神経を傷付けかねない。

 

「虫は取れたか……後はコレで」


 世界樹の葉を擦り潰し、傷口へ塗り込むと、一瞬マロンが光り輝いた。

 首の後ろには、小さな穴どころか、傷痕一つ残っておらず、少しだけ安心する。


「マロン。手足が動くか、確認しろ」


「はいっ……大丈夫そうです」


 マロンはゆっくりと立ち上がり、血を流した所為か、多少ふらつくものの、問題無く動けている様だ。


「今のワーム、いつマロンに寄生した……」


 マロンは攻撃を、全て避けていたし、寄生されるタイミングも無かった筈。マロンばかりが狙われている事と、関係があるのか。


「マロンに無くて、私に有るモノ……まさか、世界樹の葉? コレのお陰で、魔物が私に寄って来ないのか?」


 マロンの分も、私が預かっていたが、確認の為に渡しておくか。コレでマロンが襲われ無ければ、最低でもこの一帯では、世界樹の葉を手放せなくなる。


「マロン。世界樹の葉は残り五枚。念の為四枚は、マロンが持っておけ」


「宜しいのですか?」


「構わん。ちょっとした実験だ」


「アレス様に従います。お見苦しいモノをお見せして、申し訳御座いません」


「気にするな。私とて、同じ目に遭うやも知れんのだ。その時は頼むぞ」


「はいっ」


 せっかく焚火をしてるのだからと、軽くお昼を済ませ、手に付いていた世界樹の残りを、水に溶かして、マロンに飲ませる。


「少しばかり、ヴォイド大陸を舐めていたか。少し休んだら、先へ進むぞ」


「はいっ、アレス様に従います」


 そうしてまた、歩く事一日。とうとうヴォイド大陸で、村を発見したのであった。

 前に調査をした影は、長期に渡り、何も発見出来ずに居たが、それは進む方向を、間違えていたのだろう。


「三日で村を見つけたか……」


「小さな漁村の様ですね」


「そうだな、宿が有ると良いが」



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