8話 セーフアース開拓事業.4
「あの人達がここに来ると、騒がしくなるだろうなぁ……頑張ってね、モクメ」
「ドウサレマシタカ?」
「少しだけ、パパみたいになってたの」
今頃、あの変態達は、アルカディアスに向けて、出発した頃だろう。ファンガーデンから、海路を使ってここまで来るのに、三ヶ月はかかるだろうから、準備しておかないと。
「と言う事で、養鶏場の完成っ」
「ボーットシナガラウゴイテイタノデ、スコシキモチワルカッタデスヨ?」
「失礼なモクメなの。でもこれで、千百羽ぐいなら余裕で入るから、もっと沢山、コカトリスを増やせるの」
「イッタイドコマデ、フヤスキデスカ?」
「最低でも、これの百倍を目指すっ」
十万羽以上の規模じゃ無いと、卵を贅沢に使えないし、食用も確保出来ない。ファンガーデンですら、食用で出回っているのは、年老いたコカトリスだから、そこを改善したいの。
「移住者達には申し訳無いけど、地獄を見て貰う。ふっふっふっ、楽しみに待ってるの」
「ドノヨウナシマニナサルノデ?」
「ファンガーデンを巨大化させた様な、立派な要塞島を作り上げます」
「ヨウサイ……」
「そうなの。周りは海だから、"他国"から攻められ難いし、最適な土地なの。問題は、鉱物資源が足りない事だけど、そこは、ファンガーデンから取り寄せて、補えるから安心っ」
「タコク……アルカディアスハ、ドウメイコクデハ? ナニカシンパイゴトデスカ?」
ウッドドールのモクメは、頭は良いのに、想像力が足り無いと思う。
「"ヴォイド大陸は"、渦で囲まれているけど、海は広いの。"他の大陸"から万が一、敵となる存在が来ちゃったら、嫌でも防衛しないと、不味いでしょ」
「……タシカニ、ソレハマズイデスネ」
「だからこその、要塞化なの」
特に港の近くには、ドーツの外装の様な、海に向かって撃てる砲を、何とかして設置しないと、直ぐに攻め込まれるの。
「パパは嫌がってるけど、ドーツの砲を研究して、なんとかして作らなきゃ」
「ホウ? ガイデキノタイオウナラバ、ハーピィタチガユウコウデハ?」
「それも考えたの。でもハーピィ達は、急降下からの"接近戦"だから、どちらかと言うと陸地戦向きなの」
「ソレデハ、ニンギョタチハドウデスカ?」
「船が大きかったら、太刀打ち出来ないよ? 実際、スカルペネトレイト号相手だと、人魚達は負けちゃうだろうし」
「……ムズガシイノデスネ」
本当に難しいの。
せめて、オクトパスマンティスや、パラダイスクラーケンの様な、大型の海の魔物が、パパの下僕になれば、簡単な話なのに。
「あの魔物達、前に沢山焼いたから、セーフアースに寄り付かないし……」
「ナンノオハナシデスカ?」
「この島に来た時の、お話なの。海の魔物達って、人魚以外来ないでしょ?」
「ソウデスネ。トオクカラミテイルダケデ、チカヅイテクルコトハ、ナイデスネ」
「それね、パパの所為なの。大型の海の魔物達からしたら、パパは恐怖の対象です」
「アー、ソウゾウデキマス」
大型の海の魔物達からしたら、人魚は美味しいご馳走なのに、手を出してしまったら、パパに焼き焼きされて、逆に食べられてしまう。
スカルペネトレイト号が、魔物に襲われず、安心して海を渡れる、理由でもある。
人魚が先導しているから。
人魚が関わるモノに手を出すと、恐怖の魔神が現れて、焼き焼きされちゃうから。
「ミユンサマ?」
「ちょっと考え事してたの。兎に角、出来る事から進めて行くの」
「ツギハナニヲ?」
「コカトリスはこれで良いから、次はコレを、沢山埋めて行きます」
ウサ鞄から取り出したるは、木の苗。
「……タダノ"キ"デスカ?」
「ただの木の苗なの。植林をしますっ!」
「ナゼショクリンヲ?」
「オークとミノ達の、住処を作るの」
セーフアースの端っこに、沢山の森を作って、オークとミノタウロスを放逐し、増えたら狩ってお肉にする。
「コカトリスよりも、お肉の量が多いし、ハーピィ達の、良い訓練にもなるの」
「オークノハナシハ、イゼンニモキイテイマシタガ、モリガデキルノハ、アリガタイデスネ」
「モクメはウッドドールだから、相性良いもんね。世界樹の根っことも、仲良いんでしょ?」
「ソコソコカト。ワタシトセカイジュトデハ、モジドオリ、"カク"ガチガイマスノデ」
「それもそうなの。それじゃあモクメっ、植林を手伝って下さいな」
「カシコマリマシタ」
植林を行う場所は、ヴォイド大陸側の崖から、左側面の崖に沿って、二十キロ四方程度の範囲になる。
これも、実験をしながらの拡張となる為、先ずはこの広さで、オークやミノタウロスを放ち、様子を観察する。
「"メス"ハドウナサルノデスカ?」
「そこなの。オークもミノタウロスも、雌が中々産まれないから、代案としては、死刑囚を使って、繁殖させる事なの」
「オソロシイデス」
「大事にされるから、長生き出来るよ?」
「ワタシナラバ、イキジゴクデスヨ」
「死刑囚だから、問題無いの」
オーク達に与えるのは、快楽を求めて殺人を犯した、死刑の中でもヤバい人達だから、こっちが気に病む必要も無し。
「この場所には法が無いし、パパが居ない今の内に、色々とやっておきます」
「マジンサマニ、オコラレナイノデスカ?」
「報告しなかったら、ドゥシャの説教半日コースだけど、事後でもちゃんと報告すれば、怒られれ事は無いの。だから大丈夫っ」
「ハァ……」
モクメが若干呆れてる? 何故に……。




