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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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8話 セーフアース開拓事業.2



 セーフアースでは、魔物達がお互いを餌と認識している程に、お肉が足りていない。海側では、人魚達がお魚の養殖場を作っているが、それだけでは駄目なのだ。

 世界樹の根っこから、十分程北に歩いた所に、コカトリス専用の小屋が有る。

 御披露目パーティー前に、パパ自ら、簡易小屋を作り替えた、渾身の小屋。


「……パパは建築には向いて無いの。モクメ、コカトリスの数は増えた?」


「トドコオリナク」


「良かったの。それなら、小屋を拡張しても、問題無いよね」


「ハンショクコヤ、ショクニクコヤ、タマゴヲウムコヤト、ワケラレテハイカガデショウ」


「ナイスな提案っ、採用します」


 ウッドドールのモクメは、魔物達の管理者兼コカトリスの養鶏場で、しっかりお仕事をしてくれるから、助かるの。

 ハーピィ達や、蛇女達に任せてしまうと、数刻も経たない内に、コカトリスが全滅します。


「せめて、モクメ並みに賢い魔物が居れば、楽になるんだけどなぁ」


「エトワルナラバ、シンヨウデキマスガ?」


「でも、教えた事、直ぐに忘れちゃうの」


「ハナセルダケデモ、スゴイコトデスヨ」


 そこは否定出来無い。

 魔物達は本来、自分達の仲間としか、意思疎通が出来ないのに、エトワルはちゃんと喋れてるし、他の魔物達も、そこそこ喋れる。


「それでも、養鶏を任せるのは先なの。お肉をお金で買う事を、覚えさせないと、本能でパクってなっちゃうから」


「デスガ、ココガオオキクナルト、サスガノワタシデモ、テガマワリマセンヨ」


「近いうちに、ファンガーデンからの応援を寄越すから、今はお願いします」


「カシコマリマシタ」


 応援と言うより、移住者だけどね。世の中は広いなぁ……と、思ったの。

 パパも相当変わり者だけど、パパ以上の変態達が居るなんて、思いもしなかった。


「怖かったなぁ……」

 

 あまり思い出したく無い記憶なのに、濃過ぎて、頭から離れず、忘れる事が出来ません。




 三月十八日、朝六時。パパ達を見送った後、その事を報告する為に、一度ファンガーデンの領主館へと戻った。


「ドゥシャ。パパの出発を、見届けたの」


「報告、有り難う御座います。ドーツ。至急この手紙を、機動部隊のニックへ」


「了。承りました奥様。速達ですか?」


「そうです。影にも報告させますが、表立っての報告も、必要ですので」


「了。行って参ります」


 やっぱりドゥシャは、抜け目無いの。

 ヴォイド大陸の情報は、一般にはまだ公にはされていないけど、それも時間の問題なの。


「あの時居た、他の貴族対策?」


「その通りに御座います。故意に情報を、漏らすとは思えませんが、何かの拍子に、口に出てしまう事も御座いますので」


「そこは、精霊達と変わらないの」


 寧ろ、そこに関してだけは、精霊達の方が、人種よりも酷いかも知れない。

 特に、風の精霊。

 口が軽く、噂話が大好きで、三度の御飯よりも、お喋りを優先する、困った精霊。


「それで、これからミユン御嬢様は、セーフアースの開拓ですか?」


「もちっ! ミルンお姉ちゃんが居ない間に、出来るところまでやるの」


「左様で御座いますか。それで御座いましたら、一つお願いしても、宜しいでしょうか」


「なあに?」


「セーフアースを、人種、獣族問わず、暮らせる環境に、して頂きたく存じます」


 中々難しい事を、しれっとお願いして来る辺り、やっぱりドゥシャは侮れないの。


「魔物達の、楽園にしちゃあ駄目?」


「駄目とは申しませんが、流様の"領土"となった地に、魔物だけと言うのは、不味い事かと」


「それは……確かにそうなの」


 セーフアースの存在が明るみになり、そこが魔物の地だとなれば、一般の人達からしたら、恐怖の対象になりかねない。

 そこに付け込んで、他の貴族が動くかも知れないし、内乱のきっかけにされるかも。


「魔物に友好的な人達を、住わせれば良い。だけなんだけど、難題なの……」


「ですが、それが叶いませんと、いざと言う時に、対処が難しくなりますので」


「ぬぅ。いっその事、セーフアースの存在を公表して、移住者を募るのは駄目?」


「それは……」


 機密情報を、大々的に公表して、魔物と一緒に暮らせそうな人を、募集するの。

 そんな人、パパ以外に居ないと思うけど、例外は何処にでも居る筈。


「パパの様に、ハーピィ大好きと迄はいかないにしても、魔物に忌避感を持たない人も、少なからず居る筈なの」


「成程……移住希望者の、選定に御座いますね」


「そう。下手に人が来て、魔物達をヒャッハーなんてされたら、パパがブチ切れちゃうの」


「想像に難く無い、状況に御座います」


「でしょ? パパがブチ切れたら、ドーツの自爆よりも、遥かに厄介っ」


 ハーピィ達がヒャッハーされたら、パパは恐らく、魔法でチュドンするの。そうなったら、セーフアースの地形が変わっちゃう。


「分かりました。一部情報を開示して、役場、冒険者ギルド、商業ギルドに、移住希望者の募集をかけましょう」


「それが賢明なの」


「移住希望者の面談は、ミユン御嬢様にお任せしても、宜しいでしょうか?」


「勿論なの。しっかり見定めて、魔物達に優しい人を、選んでみせるの」


 そんな人が、見つかればだけど……。



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