8話 セーフアース開拓事業.1
パパがヴォイド大陸に渡って、早三日。ミユンは楽しく、セーフアースを整備してるの。
一人でじゃ無いよ?
ファンガーデンで、惰眠を貪っていた、水の精霊であるピュアを捕まえて、こうして二人で働いてるの。
「早く水を出すのっ! ほら早くっ!」
「やってるじゃ無いっ! 私の能力落ちてるんだからっ、少しは待ちなさいよっ!」
「直ぐサボるから駄目っ!」
喧嘩はしてません。
ピュアと喧嘩しても、お互いに相性が良過ぎて、決着が付かないから、意味が無いの。
だからこうして、セーフアースの山の上で、二人仲良く、湖を整備をしています。
「何で私まで、こんな事を……」
「働かざるモノ、食うべからずです。大精霊だって、ファンガーデンでは働いてるの」
「それ、今だに信じられないわ。何で大精霊が、露店の売り子なんてしてんのよ」
「世界樹が目の前だから?」
「それにしたって、可笑しいじゃない」
そう言われても、それ以外の理由が無い。
何故か居住権も持っていたし、ミルンお姉ちゃんと、契約でもしたのだろうか。
「ピュアは何で、パパに付いて来たの?」
「何でって、今更ね。あの容器って言っても、ミユンは知ら無いか……折角精霊神様に出逢えたんだから、お膝元に居たいじゃない」
「あの容器?」
「そうよ。今の人達からしたら、古代の話らしいけど、その時に作られた、私達の様な存在を捕まえる為の、変な容器よ」
「ふーん。ミユンは精霊に成って、日が浅いから、良く分からないの」
古代の話をするって事は、ピュアは間違い無く、ミユンよりお婆ちゃん。
「ピュアは何歳? お婆ちゃん?」
「貴女ねぇ……精霊が、歳なんて覚えてる訳、無いじゃないの。変な事聞いてくるわね」
「確かにっ。じゃあピュアは、お婆ちゃんで」
「この見た目でそれは嫌っ!」
お婆ちゃん呼びが嫌と言うピュアも、精霊として、相当変わった存在なの。ファンガーデンに住んでる精霊達に、お爺ちゃんと言っても、嫌がられないのに。
「貴女もつくづく、変わった精霊ね。地の精霊なのに、色々混じってて、不思議だわ」
「元は妖精だからっ!」
「へぇ……珍しいわね。妖精から精霊に成るなんて、私でも数回しか、見た事無いわよ。しかもそれが、四属性の一つに成るなんてね」
「違うの。妖精から、語りべの精霊に成って、パパの力で、地の精霊に変えて貰ったの」
「……あの男、精霊神様の力を使って、なんて事してるのよ。だから地の精霊なのに、そんなにも強力なのね」
「そうなの?」
ピュア以外の他の精霊と、力比べなんてした事無いから、ミユンが強いかどうかなんて、判断のしようが無いの。
「私、これでも結構長く、生きてるのよ?」
「お婆ちゃん?」
「それやめてってっ!」
「りょっ。それで、何が言いたいの?」
「……本来なら、相性云々関係無く、私の方が強い筈なのに、ミユンと五角なのよ」
「ふーん」
「ふーんって、自覚してないのね……」
比較対象が、ピュアだけだもん。
「ミユンは、精霊二人分って事?」
「それに加えて、世界樹との相性も良いから、若い精霊相手だと、相手にならないわよ」
「ふーん。で、お水まだ?」
「今やってるでしょっ!?」
そう言われても、水の精霊なのに、さっきからチョロチョロっとしか、お水を出して無い。
もしかして、手を抜いてる?
「ミユンの畑をダメにした時は、もっと凄かったのに……手抜きはギルティだよ?」
「あそこは川があったでしょ。ここは水気も無いし、結構大変なのよ」
「確かに。ここは元々、砂漠化が進んでいたお山だから、納得の答えなの」
「砂漠化っ!? なんて所に私を連れて来てんのよっ! 地の精霊のミユンなら兎も角っ、水の精霊の苦手な場所じゃないっ!」
「そこはそれ、ミユンが居るから大丈夫っ」
湖の底は、水を通さない様ガチガチに固めてあるし、ここから川を作る時も、同じ様に土を固めるから、問題無いの。
「っ……勘弁して欲しいわ」
「まだ時間かかる?」
「この広さの穴に水を張るなら、まだまだかかるわよ。夕方ぐらいには、終わるかしら」
「りょっ。それならミユンは、他のお仕事が有るから、ここは任せて良い?」
「やるしか無いんでしょ。良いわよ」
「それじゃあお願いね? もしも夕方までに、終わっていなかったら、ねっ?」
「わっ、分かってるわっ!」
ピュアがビクッと震えたの。
ここまでピュアが、恐れるモノとは、黒姫の天敵である、あの影達の事なの。
「それじゃあ、宜しくねーっ」
ピュアに手を振って、次なるお仕事が待っている、お花畑の方へと向かった。
何のお仕事かって? そんなの、第二のファンガーデンを、作るお仕事なの。
「ミルンお姉ちゃんが、帰って来るまでに、色々と終わらせないとっ」
城壁や家屋は後回しで、先ずやるべき事は、家畜小屋を増設して、育てる事。
「有って良かったウサ鞄っ、頑張るのっ!」




