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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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7話 笑顔でニコニコご挨拶.9



「そうそう、海の向こうから来た。こう見えて、結構良い都市の、領主様だぞ?」


「貴様が……貴族や領主? 笑えぬ戯言だな。よしんばそれが、事実だとしてもだ、貴様の様な化物の巣窟であろう」


「んな訳あるか」


「だが、スパイでは無さそうだな」


 どうやらやっと、スパイでは無い事は、理解して貰えた様だ。もしも俺がスパイなら、こうしてお高い薬を使ってまで、デンバー副団長を、治す訳が無いからね。感謝して欲しいぜ。

 

「……疑いが晴れた訳では無い。妙な真似をすれば、その首を必ず、落としてやるぞ」


「縛られてんのに、態度がデカいな。呆れるを通り越して、感心するわ」


「デンバー副団長は、疑り深い性格ですので。それで、何故我が国へ来られたのですか?」


 何故アッジスノード王国に来たのかと言う、オースターからの質問だが、何と答えるべきか。ここは素直に、ありのままを伝えるかね。


「んな事知るか。言ったろ、調査に来たって。あっちの方角から、真っ直ぐ来ただけだ」


 そもそも、人が居るのかすら知らなかったのに、大砲撃たれて、捕まえられてと、踏んだり蹴ったりだわ。


「聖域の方角……成程。アッジスノード王国とは知らずに、入って来たのですね」


「そうだ。方法は言えんが、あの渦の先にある陸地から、ヒョイっと"飛んで"、真っ直ぐな」


「飛んで渦を越えたと」


「飛んでなどと、馬鹿らしいっ」


 デンバー副団長は、信じて無いな。


「疑うのなら、俺達が帰る時にでも、誰か付いて来ると良いさ」


「それは……王が何と言うかですね」


「そりゃそうだ。でもこれで、俺達に敵意が無い事は、分かってくれただろ。そもそも敵だったら、貴重な薬使って、お前等を治すなんて事、しないだろうからな」


「そこは理解しました。貴方達の事は、一度王に報告させて貰います」

 

 それなぁ、報告されて、やっぱ処刑ねっ! 何て事に、ならなきゃ良いんだけど。


「けぷっ。お話終わった?」


「ようやく起きたか。ミルン、この人達に、ちゃんと挨拶しなさいな」


「かしこまっ。ミルンです。さっきは玉を潰して、御免なさい……じゅるっ」


「うひっ、えっ、えぇ。ノッド・オースターと申します。宜しくお願いしますね……」


 怯えながらも、しっかり股間を押さえて、トラウマになっちゃったかな。


「我は黒姫じゃ。誇り高き最古の龍であるからして、平伏するが良いぞ」


 地面に寝そべりながら、偉そうに足で挨拶をするのは、誇り高き龍がする事では無い。


「ボソッ(最古の……龍? いやっ、そんなまさか。しかし、文献の特徴と……)」


「どうしたんだオースター? 黒姫の事、知ってんのか?」


「いえっ……何でもありません」


 黒姫が龍と言った途端に、デンバー副団長、ペペルーノ、オースターの三人の顔色が変わり、今にも下呂を吐きそうに見える。

 

「ボソッ(なぁ黒姫。お前さ、以前にこの大陸に来た時に、暴れたりでもしたのか?)」


「ボソッ(何ぞ急に。そんなのいちいち、覚えとらぬぞ。封印の所為で、色々忘れとるしのぅ)」


 いちいち覚えてられない程、色んな場所で、暴れ散らしていた訳か。黒姫の事だから、ノリと勢いで国滅ぼしてても、違和感無いな。


「で、オースターさんとやら。俺達の疑いは、晴れた訳じゃあ無さそうだけど、入国して良い感じなのか?」


「構いません、死罪も取り消します。が、少なくとも、王の許可を頂くまでは、軟禁させて頂きます。ご辛抱頂けますか?」


「危害を加えられず、監視付きでも良いから、出歩かせろ。じゃないと、このミルンがストレスで、暴れまくるからな」


「お前の玉をっ、丸齧りっ」


「……分かりました。それにしても、ワンブルの子供が、人間に懐くなんて、珍しいですね」


 ワンブルの子供? ヴォイド大陸だと、そんなアニマルな呼び方なのか。


「こっちだと、犬人族って呼ばれてんだけど、やっぱり呼び方変わるのな」


「犬人族ですか……変わった種族名ですね」


「そこらへんも、確認しないとだ」


 言語は同じっぽいけど、物の言い方が違ったりすると、色々と面倒が起きそうだし。

 

「そう言う訳で、デンバー副団長。彼等を我が国へ招き入れる事、許可願いますでしょうか」


「……許可する。しかしだ、勝手な真似はするなよ。王の命があるまで、大人しく待っておれ」


「へいへい、大人しく待ってるよ」


 こうして俺達は、デンバー副団長に連れられて、無事、アッジスノード王国へと、入国する事が出来た。

 ドールはどうしたって?

 あの穴から、正面に向かって左に直進したら、迅号共々燃料切れの状態で、発見された。

 

「ミルンが正解だった訳だな」


「黒姫は、方向う◯ちっ」

 

「ぬぐぅっ、誰がう◯ちぢゃっ!」


 因みに、このアッジスノード王国には、宿屋と言うモノが無かった為、高層ビルのワンフロアを、監視付きで貸して貰えたんだけど……ミルンがはしゃぎまくって、壁に穴を開けたのは、許して欲しい。


 そうして、アッジスノード王国内で、のんびりした数日間を過ごし、三月二十七日。とうとう、王様に謁見する事となったのである。

 


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