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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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7話 笑顔でニコニコご挨拶.4


 

 これからどうするか。

 高層ビルが立ち並ぶ光景を、のんびり眺めながら、頭を回していたら、鎧を着た者達が続々と、迅号の周りに集まって来た。


「……コスプレ感が半端ない」


「こすぷれって、なあに?」


「えっと、前にミルンが、ミルンレッドになってただろ? アレがコスプレだ」


 現代高層ビルに、鎧を着た人達。

 アンバランスと言うか、何かの催し物かと思ってしまうのは、俺だけだろう。


「何か言ってる?」


「だなぁ。ドール。外の音を拾ってくれ」


「了。迅号再起動……」


 おっ、迅号復活した。


「頑丈だねぇ。んじゃ、外の奴等は何を言ってるのか、聞いてみようか」


 あの感じだと、大体何を言ってるのかは、想像出来るんだけど、念の為にね。


『負傷者を中央塔へ集めろぉっ!!』


『デンバー副団長っ! この魔物っ、槍で突いても、傷一つ付きませんっ!』


『助けてくれぇ──っ! 娘がっ、瓦礫の下敷きになったんだ──っ!』


『こいつ、古代の魔物かっ!』


 うんうん、迅号の破壊した人工物って、どうやらこの場所の、城壁だった様だ。そこに突っ込んで、破壊を撒き散らしたとか、迅号は攻城兵器だな。


「お父さんっ、反省っ!」


「いや、これしたのミルンよ?」


「……んしょっ、ミルンは黒姫を介抱しますっ」


 しれっと俺に、罪をなすりつけて、操縦席から離れ、黒姫を揺さぶり始めるミルン。

 アレかな?

 子の責任は、親の責任って奴。


「解析完了。死傷者は居ませんが、瓦礫の下敷きになった者多数。時間の問題かと」


「放置してたら死ぬってか……っ、攻撃して来たの、アイツらが先だろうに。"知覚"っ!」


 迅号が突っ込んだ付近に、結構な数の反応が有り、相当数埋まってるっぽい。


「あああっ! もうっ、仕方無えなっ! ミルンとドールはここで待機っ! 何か有れば即離脱っ! 分かったなっ!」


「かしこまっ」


「了。迅号の燃料残、五パーセント。当機の燃料残、百パーセント。離脱可能」


「ふぅっ……昇降口を開けてくれ」


 プシューっと、開いた昇降口から、顔を出し、周囲を確認してから、そっと降ります。

 迅号は、常時浮いており、下には二メートル程の隙間が出来ている。更に、突撃した勢いもあって、地面が凹んでいるから、あの鎧を着たコスプレ風の奴等には、こっちは見えない。


「匍匐前進とか……軍人じゃ無いってのっ」

 

 知覚を使って、なるべく人の居ない、迅号の尻へ、えっちらおっちら匍匐前進。

 第四匍匐だったかなぁ、この匍匐。


「ふぅ……ようやく。どっこいせっと」


 地面の凹みから這い出て、辺りを確認。

 

「これで、死人が出てないとか……奇跡だろ」


 迅号の突撃した壁から、この地点まで、飛び散ったであろう瓦礫の山が、降り注いでいた。

 やらかし感が、半端ない。

 

「っと、呆けてる場合じゃ無いな」


 人命救助が最優先。

 可愛いケモ耳ミルンを、人殺しにはさせたく無いし、友好を示さねば。


「誰かぁっ! 娘がっ、娘が──っ!」


「ほいほい。んーっ、反応はあそこか?」


「だっ、誰だあんたっ!?」


「まぁまぁ。"空間収納"で、瓦礫を無い無い」


「……えっ?」


 娘さん発見っ! なのは良いんだけど、腹から血がどばどば出てるし、こりゃ不味いな。


「ロリーダっ!」


 叫んで居た父親が、娘に駆け寄ったんだけど、名前が気になって、感動出来ない。

 その名前で良いのか……父親よ。

 娘さんどう見ても、成人してるだろ。


「ぐぅっ、傷が、血が止まらないっ」


「ちょっと御免よーい」


 空間収納から、濃厚世界樹の葉エキスを取り出し、患部に一滴、二滴と、ポタポタさせる。

 ロリーダが光輝いて、完治しました。

 

「……ふぁっ?」


「ああっ、ロリーダっ! 良かったっ、良かったあっ! お前まで失ったらっ」


 娘さんは、訳が分からん顔してんな。

 んじゃサクサクっと、次行きますか。

 鎧を着たコスプレ共が、気付いていない人達を、サクサク助けて行きます。

 

『助けてーっ! 誰かーっ!』


「今助けるぞーっ! "空間収納"で、一気に瓦礫を撤去っ! ……何で裸っ!?」


「いやああああああっ!?」


 皆んな、誤解するなよ。今悲鳴を上げたのはっ、毛深いおっさんだっ!

 怪我も無い様だし、次に行きましょう。


「知覚の反応はここか? 声がしないな。"空間収納"で、瓦礫よっ、さようならっ!」


「ふんふん、この問題は解けた。次はこの例題を元に、こっちの問題に挑戦だね」


「……この状況で勉強っ!?」


「んっ? 何か御用でしょうか? 勉強の邪魔になる様でしたら、お引き取り下さい」


「あっ、はい。お邪魔しましたぁ」


 お邪魔する家が、破壊されてんのに、あのお坊ちゃんは、どうかしてると思うぞ。

 この状況下でも、勉強優先。


「恐ぇぇぇ……」


 そうして、知覚の反応を頼りに、瓦礫を撤去しまくって、無事、任務を果たしました。

 死傷者ゼロ名。

 負傷者には、濃厚世界樹の葉エキスを、ポタポタビシャっとかけ逃げして、全員完治。

 これで万事、解決したと言えるだろう。


「で……知らない間に囲まれてると」


「貴様、何者だ」


「えぇっと、ここの住民ですよ?」


 取り敢えずは、誤魔化してみよう。


「オースター。反応はどうだ?」


「反応が有りません。その者は、我が国の者ではありませんね。他国のスパイかと……」


「と言う事だ。どこの国の者かね?」


 オースターと呼ばれた、鎧の人は、手に何か持って、俺に向けてんだけど、何なの、あの機械的な物。

 と言うか、物凄く可愛い人です。

 男なのか……女なのか……気になる。


「総員構え……」


「「「ははっ!」」」


 うーん、やっぱり変な感じだ。

 高層ビルが建ってんのに、鎧の人達の武器は、異世界風味溢れる、長槍なんです。

 その長槍を、ガチャガチャと、俺にツンツンする気だとしたら、痛そうだなぁ。


「あのぉ……」


「何だ? 答える気になったのかね?」


「ここって、どこなんでしょう? えへへっ」


 社会人必殺の、営業スマイルっ!!

 それも、下請けが元請けに媚びるが如く、擦り寄る感じの、最上級の笑顔だっ!!


「……捕えよ」


「総員突撃っ!」


「「「ははっ!!」」」


 はい、捕まりました。

 その瞬間、迅号が動き出して、くるっと横に百八十度回転からの、爆速離脱。

 流石ドール、命令に忠実……でも無いか。



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