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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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7話 笑顔でニコニコご挨拶.3



 ミルンが発見した、岩なのか何なのか分からない場所まで、どれ程離れているのだろう。

 徐々にだけど、近付いてるのは分かる。

 分かるんだけど……遠くね?


「なあドール。今の速度は何キロだ?」


「現在の迅号の速度……二百五十三キロ」


「結構でてんのね」


 直線距離で、しかも、この速度で進んでいるのに、中々着かないのよ。

 

「あの岩っぽいのって、何か分かるか?」


「了。解析致します……」


「んっ? 計測じゃ無いのか?」


「否。どちらでも構いません。ノリです」


 何なのノリって?

 アレか、俺をまた揶揄う気なのか?

 あまり揶揄い過ぎると、流さんのストレスが爆発して、空間収納内に保管しちゃうぞ。


「解析完了。脅威度Fと断定。アレは岩では無く、人工物になります」

 

「やっぱり、人工物だよなぁ。岩にしては、ゴツゴツ感が、無いと思ったわ」


「当機メモリー内に、情報有り。劣化しておりますが、当時の防衛施設と推測」


「ふぅーん。防衛施設ねぇ……?」


 ドールの奴、今さらっと、とんでも無い事を言ったのは、気の所為だろうか。

 "当時"の、防衛施設だって?

 ドールが言う"当時"とは、ドールが暮らしていた時代の話であり、そこから導き出される答えは、あの岩と言うか壁っぽい物は、古代の遺跡であると言う事。


「しかも、劣化? 壊れてるとかじゃなくて? あの施設っ、まだ動いてんのっ!?」


「了。"一部機能"のみ、稼働しております」


「お父さん。防衛施設って、なあに?」


 徐々にその、人工物へと近付いて行くと、成程これは、間違い無く防衛施設だなと、納得してしまった。

 

「お父さん?」


 だってね、付いてるんだ。


「どうしたの?」


 ドーツの外装そっくりの、アレが。


「またお父さんが、変になったの」


 巨大な人工物の上に、何砲も。


「熱源感知、自動操縦オン。回避します」


「はっ?」


 その人工物に付いた砲から、煙が出たと思ったら、急に迅号が右に傾き、その後直ぐに、凄まじい揺れが、機体を揺らした。


「のぢゃっ!? また揺れぶぢゅっ!?」


「ミルン何もしてないのっ!?」


「っ、ドールっ! 今の衝撃は何だっ!」


「旧型固定砲台による、砲撃と確定。推定射程距離……二十キロメートル」


 射程距離短いなっ!?

 じゃ無くてっ、何でそんなん撃たれんの!?

 落ち着け俺……こう言う時は、ミルンを眺めて、気分をもふもふに変えるんだ。


「取り敢えず離脱だ。連射されたら、面倒になりそうだし、このまま離れ……ミルン?」


「撃たれたの……」


「そうだなミルン。だから一旦ここから……」


『自動操縦、解除されました』


 今ミルンが、カチっと押したボタンは、暴れん坊迅号の、押しては駄目なヤバいボタン。


「えっと、ミルンさん?」


「何もしてないのに……撃たれたの」


 ミルンの可愛い左手が、推進力を調整するレバーを握り締め、震えている。


「ミルンっ、待て……それは駄目って、約束したよな? だからっ、止めるんだ……」


「お父さん」


「なっ、何だ?」


「"突然攻撃を受けた"から、突っ込むっ!!」


『緊急って言うぐらいだから、"突然攻撃を受けたり"、ヤバい魔物が来た場合だな』


 俺が言った言葉が、走馬灯の様に、頭の中を駆け抜けて、翼が生えて、飛んでった。

 そうかぁ、今が緊急時なのかぁ。


「っ、ちょっと待ってねええええええっ! 黒姫の下呂は置いといてっ『のぢゃっ!?』座席に縛って準備良しだっ!!」


「なっ、何ぢゃ一体っ!?」


「黒姫っ……死にたくなかったら、絶対にっ、シートベルトを、離すなよ……」


「何を言うて────へぶっ!?」


 迅号のリミッター解除。

 少し前、ミルンが爆走ドリフトをした時でさえ、他の安全装置は、作動していた。

 では、今はどうか。

 操縦者のみを保護対象として、それ以外の燃料を全て、推進力に変え、爆走する。

 あの、人間大砲を作った、馬鹿が考えたであろう、武装を持たない迅号の、本気の突撃。



「ミルンっ、行っきまあああ────すっ!!」



 その日俺は、人生で二度目となる、高速を超える音速のGを、身体全身に、浴びた。

 黒姫は、失神してるっぽい。

 強烈なGに、耐える事数秒。

 眼前に迫る人工物を突き抜け、轟音が機内に響いて直ぐ、迅号はそのまま、地面を擦りながら進み、ゆっくりと、その動きを止めた。


「うっぷ……胃の中身が、飛び出すかと思ったわぁ。ミルンっ! 大丈夫かっ!」


「平気っ。そんな事より、人が沢山居るの」


「人っ!? ちょっと待ってろよっ」


 シートベルトを外し、震える足を動かして、何とか操縦席へと向かい、それを見た。

 正直、自分の目を、疑った。


「何だ……この場所……」


「皆んな逃げてるの」


「ああ……そうだな」


 こちらには聞こえないが、慌てふためく人達が、我先にと、迅号から逃げている。

 それはこの際、どうでも良い。

 俺の一番の驚きは、アレだ。

 あの建物だ。


「っ、何で異世界に、高層ビルが建ってんだよ」


「当時の建造物と断定。防衛施設内部の保護機能が、生きている為と、推測されます」


「アレか? ドールが居た研究所と、似た様な保護がされているのか?」


「仮の管理者の、権限外にて、返答不可」


 そこは答えておけよな。

 兎に角これで、ヴォイド大陸には、先住民がいる事を、確認出来た訳か。


「問題は、これからどうするか……だよなぁ」



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